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名古屋 通常の入れ歯はもう嫌、インプラント入れ歯(72歳、女性)
インプラントを使用した入れ歯の症例
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治療前

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治療後

患者背景と症例概要
「上の入れ歯が大きくて気持ち悪い」「食事のときに落ちてくる」「人と話すのが億劫になった」——従来型の総入れ歯を長く使ってこられた方から、こうしたお悩みを伺うことは少なくありません。今回ご紹介するのは、まさにそのお悩みを抱えて来院された患者様の症例です。「歯がほとんどなく、上の入れ歯がどうしても合わない」という方に、当院がどのように診断し、どの治療法をご提案したのかを、担当医の視点で詳しくお伝えします。
ご来院されたのは72歳の女性です。長年にわたり上顎の総入れ歯をお使いでしたが、口の中(特に上あごの天井部分)を大きく覆う従来型の入れ歯に強い違和感があり、食事や会話といった日常生活に支障を感じておられました。「インターネットでインプラントで支える入れ歯という治療法を知り、しっかり安定して、覆う面積が少ない快適な入れ歯にしたい」という明確なご希望を持って来院されました。
上顎の総入れ歯は、構造上どうしても上あごの天井(口蓋)を広く覆う設計になりがちです。これは入れ歯を吸盤のように吸着させて安定させるための仕組みですが、その一方で「味や温度を感じにくい」「話しづらい」「えずきやすい」「食べ物がうまく味わえない」といった違和感につながることがあります。今回の患者様も、まさにこの「覆われる不快感」と「外れやすさ」の両方に長年悩んでこられました。同じように、合わない入れ歯を我慢して使い続けている方は決して少なくありません。この記事が、その我慢の先にどんな選択肢があるのかを知る手がかりになればと考えています。
総入れ歯がうまく合わない背景には、入れ歯そのものだけでなく、あごの骨の状態や噛み合わせなど複数の要因が関係していることがあります。総入れ歯が合わない原因の整理については → 総入れ歯が合わない原因とは でも解説しています。また、歯がほとんど残っていない場合は、入れ歯・インプラント・固定式(All-on-4など)のどれが向くかを比較して考える必要があり、その全体像は → 名古屋で歯がほとんどない方の治療法 にまとめています。
**症例まとめ(Case Summary)**
| 年代・性別 | 72歳・女性
| 主訴 | インプラントを使った(安定した)入れ歯がほしい
| 部位 | 上顎
| 選択した治療 | インプラントオーバーデンチャー(4本のインプラントで支える入れ歯)
| 治療回数 | 8回
| 治療期間 | 約8ヶ月(治癒期間を含む)
| 費用 | 150万円(自由診療)
初診時の診断
まず行ったのは、現状を正確に把握することです。今お使いの入れ歯がなぜ合わないのか、あごの骨はどのような状態か、噛み合わせはどうなっているかを、目で見える範囲だけでなく断層的に確認していきます。
当院では、インプラントを安全な位置に計画するためにCT撮影による三次元的な診査・診断を行いました。CTでは、レントゲン(二次元)では分かりにくい骨の幅・高さ・厚み、そして神経や上顎洞(じょうがくどう=鼻の脇の空洞)との位置関係まで立体的に確認できます。CT検査での必要性については → CTでどこまで骨不足が分かるのか で詳しく解説しています。
本症例では、上顎前歯部を中心にインプラントを支えとして利用できる骨量が確認できました。骨幅は約9mm、骨高は約10mmで、4本のインプラントを義歯の維持に最適な位置へ配置できると判断しました。長年の義歯の使用により骨の吸収(やせ)が進んでいる部位もありましたが、入れ歯を「支える」目的であれば対応可能と考えました。
歯を失ったあとの顎の骨は、噛む刺激が伝わらなくなることで少しずつ吸収(やせていく)が進みます。とくに総入れ歯を長く使われている方では、骨が平坦に近づき、入れ歯が安定しにくくなる悪循環に陥りがちです。だからこそ、「今どれだけ骨が残っているか」「どの部位なら支えとして使えるか」を立体的に把握する初診時の診断が、その後の治療の成否を大きく左右します。
診断で重要なのは骨の「量」だけではありません。骨の硬さ・質(骨質)も、インプラントが安定するかどうかを左右します。同じ高さ・幅の骨でも、質が軟らかければ初期の固定が得にくく、治癒期間や設計を慎重に調整する必要があります。なぜ骨質まで診るのかについては → 骨量だけでなく骨質も重要な理由 をご覧ください。噛み合わせについては、上下の顎の位置関係と現在の入れ歯の咬合状態を確認し、新しい入れ歯で安定した噛み合わせを再構築できる状態であることを確認しました。噛み合わせの高さ(垂直的な位置)が崩れたまま新しい入れ歯を作ると、見た目や発音、顎の負担に影響するため、ここを丁寧に診ることも欠かせません。
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治療計画と設計思想
診断結果をもとに、考えられる選択肢を一つずつ患者様にご説明しました。当院では、いきなり一つの治療法をおすすめするのではなく、それぞれの利点と限界を並べてご納得いただいたうえで決めることを大切にしています。
① 従来型の総入れ歯を作り直す
最も体への負担が少なく費用も抑えられる選択肢です。ただし、今回の主訴である「上あごを大きく覆う違和感」と「安定性(外れやすさ)」という根本のお悩みは、設計を工夫しても完全には解消しにくいという限界があります。
② 固定式(All-on-4などのインプラント治療)
インプラントの上に取り外さない歯を固定する方法です。安定性と噛む力の回復という点では優れますが、本数や費用、外科的な負担が大きくなる傾向があります。固定式と入れ歯の違いについては → 総入れ歯とAll-on-4は何が一番違う? をご参照ください。
インプラントオーバーデンチャー(今回採用)
少数のインプラントを「支え(維持装置)」として使い、その上に取り外せる入れ歯を安定させる方法です。覆う面積を小さくでき、入れ歯の安定性が大きく向上します。固定式に比べて本数を抑えやすく、ご自身で取り外して清掃できる利点もあります。インプラントと入れ歯がボタンのように着脱する仕組みのため、「外れる・落ちる」という不安が大きく軽減され、上あごを覆う部分を減らした設計もしやすくなります。一方で、外科処置が必要なこと、アタッチメント(維持装置)は消耗するため定期的な調整・交換が必要なことは、あらかじめご理解いただく必要があります。総入れ歯が合わない方の選択肢としてのオーバーデンチャーは → 総入れ歯が合わない方はインプラントオーバーデンチャーも選択肢になる? で詳しく触れています。
放置した場合のリスク
合わない入れ歯を使い続けると、噛みにくさから食事内容が偏る、特定の部位に負担が集中して骨の吸収が進む、発音や見た目に影響が出るといったリスクがあります。
多数の歯を失った場合の治療法全体の比較は → 多数歯欠損の治療法を比較 にまとめています。これらを踏まえ、患者様の「覆う面積を減らして快適にしたい」「安定させたい」「ご自身で清掃して長く使いたい」というご希望に最も合致する **インプラントオーバーデンチャー** を、最終的に一緒に選択しました。
設計思想(当院の考え方)
当院は「入れる治療」ではなく「長く使い続けられる治療」を重視する、補綴(被せ物・入れ歯)主導の設計を心がけています。本症例では次の点を設計しました。
インプラントの配置と維持方式:4本のインプラントを、入れ歯を安定させる力が均等にかかる位置に配置しました。維持装置にはロケーターアタッチメントなどの着脱しやすい方式〔要確認〕を想定し、患者様がご自身で取り外して清掃できることを前提に設計しています。
咬合(噛み合わせ)接触設計:取り外し式の入れ歯では、左右の歯が同時にバランスよく当たる両側性平衡咬合(フルバランスドオクルージョン)を基本とし、特定の部位に力が集中しないように配慮します。
上部構造(入れ歯)の素材:今回は、インプラントオーバーデンチャーであること、対合も義歯であることで、硬質レジン歯を使用しました。
咬合力のコントロール:噛む力をインプラントと粘膜(歯ぐき)にうまく分散させることで、長期の安定につなげます。インプラントだけに力を集中させず、入れ歯の床(しょう=歯ぐきに乗る部分)でも力を受け止める設計にすることで、インプラント・骨・粘膜それぞれの負担を抑えることを意識しています。
これらの設計は、見た目をよくするためだけのものではありません。「10年後・20年後も、ご自身で清掃しながら快適に使い続けられるか」という長期視点から逆算して決めています。短期的に「噛める」状態を作ることと、長期的に「壊れにくく管理しやすい」状態を作ることは別の設計判断であり、当院は後者を重視しています。
手術と治療経過
治療は、いきなり手術から始めるのではなく、まず「ゴールを決める」ところから始めました。
手術前の準備
インプラントを最適な位置に配置できるよう、現在の入れ歯を正確に再製作し、噛み合わせや位置関係を確認しました。これは、完成形(どこに歯を並べ、どう噛ませるか)から逆算してインプラントの位置を決める、補綴主導の考え方によるものです。最終的にどんな入れ歯を、どの位置に、どう噛ませて入れたいのかが先に決まっているからこそ、それを支えるのに最適な場所へインプラントを埋入できます。逆に、位置を先に決めてから後で歯を並べようとすると、清掃しにくい・インプラントが理想的な位置になく、入れ歯が不必要な部分が厚くなって、違和感が生じやすいということが起こります。準備の段階に時間をかけることが、結果的に長期の安定につながると考えています。
手術概要
– 埋入本数:上顎に4本
– 使用システム/メーカー:straumann BL
– 埋入トルク:約35Ncm前後
– 付加処置(骨造成・GBR等):本症例では大きな骨造成は行わず埋入
– 手術時間:約90分
術後の経過
術後の腫れや痛みは、痛み止めでコントロールできる一般的な範囲で経過しました。術後出血のリスクに配慮し、経過を確認しています。インプラントが骨としっかり結合するまでの治癒期間として約3ヶ月をおきました。その治癒期間は、ガイドのために作製した入れ歯を仮歯として使用してもらっていました。
治療期間(時系列)と術後評価
診断・準備から最終的な入れ歯の完成まで、通院8回・約8ヶ月で進めました。治癒期間を経て新しいインプラント支持の入れ歯を完成させ、装着後は入れ歯の安定性が向上し、上あごを覆う面積を小さくした設計でも安定して機能する状態を確認しています。
長期管理と歯科医師の解説
インプラントオーバーデンチャーは、入れたら終わりではなく、その後の管理で寿命が大きく変わります。
メンテナンス計画
当院では、装着後も定期的なメンテナンス(目安として3〜6ヶ月ごと〔要確認〕)をおすすめしています。インプラント周囲の歯ぐきの状態確認、維持装置(アタッチメント)の調整・交換、入れ歯と粘膜の当たりの調整、噛み合わせのチェックを行います。とくにオーバーデンチャーは、入れ歯を支えるアタッチメントが使ううちに少しずつすり減るため、維持力が落ちてきたら部品を交換することで、装着当初の安定感を保つことができます。これは故障ではなく、長く快適に使うための想定内のメンテナンスです。インプラント周囲炎を防ぐには、ご自宅でのお手入れと定期的なプロのケアの両輪が欠かせません。長く清掃しやすい形にしておく考え方は → All-on-4で清掃しやすい形とは が参考になります。
取り外せることはオーバーデンチャーの大きな利点で、入れ歯本体とインプラント周囲の両方をしっかり清掃できます。一方で「取り外して洗う」という日々の手間は必要になるため、ご本人が無理なく続けられるお手入れ方法を、装着時にしっかりお伝えしています。
FAQ(よくあるご質問)
Q. インプラントで支える入れ歯は、従来の入れ歯とどう違いますか?
A. 最大の違いは安定性と、上あごを覆う面積です。インプラントが支えになるため外れにくく、覆う面積を小さくした設計がしやすくなります。一方で外科処置と自由診療の費用が必要になります。
Q. 入れ歯は取り外して洗えますか?
A. はい。インプラントオーバーデンチャーはご自身で取り外して清掃できる設計です。取り外して洗えることは、衛生管理のうえで大きな利点です。
Q. インプラントは何本必要ですか?
A. あごや骨の状態によりますが、入れ歯を「支える」目的では本症例のように4本程度で計画することが多くあります。固定式(取り外さない)治療とは必要本数や設計の考え方が異なります。
Q. どのくらい長く使えますか?
A. お口の中の環境や全身の状態、メンテナンスの状況によって変わります。長期の安定は噛む力をうまく分散できるかにも左右されます。力の分散の考え方は → 長期安定を左右する“力の分散”とは をご覧ください。
Q. 全身疾患があっても治療できますか?
A. 全身疾患をお持ちの方や喫煙者の方は治癒が遅れる場合があり、診査のうえで慎重に判断します。まずはご相談ください。
Q. 手術は痛い・怖いというイメージがありますが大丈夫ですか?
A. 外科処置である以上、術後に腫れや痛みが出ることはあります。ただし、事前のCT診断で神経や血管の位置を立体的に把握し、計画的に進めることで負担を抑えることを心がけています。痛みは一般的に痛み止めでコントロールできる範囲〔要確認〕です。不安な点は事前のカウンセリングで一つずつ確認していきます。
院長からのコメント
今回の症例で改めて感じたのは、「入れ歯が合わない」というお悩みの中身は人によって違うということです。安定性が問題なのか、覆う面積による違和感なのか、噛む力なのか——そこを丁寧に切り分けることで、固定式ではなくオーバーデンチャーという選択が最適解になることがあります。大切なのは、流行や一つの治療法ありきではなく、その方の骨・噛み合わせ・ご希望から逆算して設計することだと考えています。
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治療のリスク・副作用・費用・期間
治療期間:約8ヶ月(インプラントが骨と結合する治癒期間を含む/通院8回)
費用:本症例の費用は150万円です。インプラント治療は自由診療となり、費用は使用する材料や治療内容、本数により異なります。費用の考え方は → 総入れ歯とAll-on-4の費用をどう比較するか も参考になります。
主なリスク・副作用
– 外科処置が必要になります。
– インプラントが骨と結合しない場合があります。
– 人によっては追加の骨をつくる治療(骨造成)が必要になる場合があります。
– 将来インプラント周囲炎になる可能性があるため、定期的なメンテナンスが重要です。
– 全身疾患をお持ちの方や喫煙者の方は治癒が悪い場合があります。
– 術後出血のリスクがあります。
他の治療方法も含めてご覧になる方は以下のページへ
→ 【症例集】名古屋オールオン4治療実績3件|歯ボロボロ・総入れ歯・難症例を網羅
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
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