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重度歯周病で「抜歯」と言われても、歯周病専門医との連携で残せる可能性を見直せます
「抜くしかない」と言われた歯こそ、まず再評価するという考え方

別の歯科医院で「重度の歯周病だから、この歯は抜くしかない」と説明され、不安を抱えたまま名古屋でセカンドオピニオンを探している方は少なくありません。まず結論からお伝えします。
「抜歯」という診断は、担当医一人の判断で揺れやすく、第三者の視点で再評価する価値があります。特に歯周病では、抜くか残すかの境界線が専門家の間でも一致しないことがあります。
- 残すのが難しい(予後不良)と判定された歯でも、包括的な治療で10年間に88%が生存したという報告があります。
- 抜歯予定だった歯に歯周組織再生療法を行い、5年間で92%を保存できたという報告もあります。
- 14か国136名の歯科医師に同じレントゲンを診断させた研究では、全員の判断が一致した項目はなかったと報告されています。
- 別の調査では、21.1%の歯科医師が「誤った歯を抜いた経験がある」と回答したという報告があります。
だからこそ、重度歯周病で抜歯を勧められたときは、歯周病専門医の視点を含むセカンドオピニオンが判断材料になります。歯周病専門医とは、日本歯周病学会が厳格な基準で認定する、歯周病治療の知識と技術を持つ歯科医師のことです。
ただし歯周病専門医は全国で約1,000名程度とされ、歯科医師全体の約1%と希少で、身近に見つけにくいのが実情です。そのため、診断と全体設計を担う歯科医師が、再生外科などの高度な処置が必要な場面で歯周病専門医と連携する形が現実的です。
名古屋・栄/伏見エリア(愛知県中区)にある当院は、補綴(ほてつ)を軸にこの再評価を行います。補綴とは、噛む機能を回復させる歯科分野のことです。抜くか残すかを、最終的な噛み合わせの設計から逆算して見直します。診断そのものに医院ごとの違いがある背景は → 補綴専門医と一般歯科の診断の違い でも整理しています。
なぜ「重度歯周病だから抜歯」と説明されやすいのか
不安の正体を整理するために、まず「なぜそう説明されるのか」を理解しておくことが大切です。抜歯が勧められる背景には、いくつかの構造的な理由があります。
- 骨の吸収が進んでいる:歯を支える骨(歯槽骨)が大きく溶けると、歯がグラつき、保存が難しく見えます。
- 動揺度が大きい:動揺度とは歯の揺れの程度を示す指標で、揺れが強いほど抜歯の判断に傾きやすくなります。
- 予後判定に主観が入る:予後とは治療後の見通しのことで、同じ状態でも「残せる」「残せない」の評価が医師によって分かれます。
- 再生外科の設備や経験が限られる場合がある:歯周組織再生療法(骨や歯ぐきの回復を促す治療)は、行う医院と行わない医院があります。
つまり「抜歯」という説明は、必ずしも間違いではなく、その医院で実施できる範囲での最適解であることも多いのです。ただ、別の視点を持つ歯科医師なら、残す選択肢を提示できることもあります。
ここで問題になるのが、抜歯の判断が医師ごとに大きくばらつくという事実です。前述の14か国136名の研究では、ある1本の歯について、ある国では多くの歯科医師が抜歯を提案した一方、別の国ではほとんど提案されなかったと報告されています。判断は国・医院・個人で揺れます。
- 「抜歯 したくない 他の方法」と検索する方が多いのは、この揺れを直感的に感じているからです。
- 「歯周病 抜歯 セカンドオピニオン」という調べ方も、同じ不安から生まれています。
歯周病専門医は、この「抜くか残すか」の境界を専門的に判断し、一般的な歯科医院では行っていない外科・再生処置まで含めた選択肢を検討できる立場にあります。専門医の研修施設は全国で181件程度とされ、その多くが大学病院です。
セカンドオピニオンをどこで受けるべきか迷う場合、大学病院と専門医それぞれの特徴を知っておくと選びやすくなります。その違いは → 大学病院と専門医のセカンドオピニオン|どちらを選ぶ で詳しく解説しています。
名古屋で歯周病のセカンドオピニオンを検討する際も、まずは「なぜ抜歯と言われたのか」を落ち着いて理解することが、比較検討の出発点になります。
「歯を残す」選択肢それぞれのリスクと限界
比較のためには、残す選択肢にも限界があることを正直にお伝えする必要があります。過度な期待は、かえって後悔につながるためです。
① 歯周組織再生療法(リグロス・エムドゲイン)
- リグロスは日本で開発され、2016年に承認された保険適用の再生剤で、FGF-2という成長因子を主成分とします。成長因子とは、骨や組織の再生を促すタンパク質のことです。
- 大阪大学の報告では、リグロス使用後にポケット(歯と歯ぐきの隙間)の深さが平均6.0mmから約3.5mmに減り、新生骨の増加率は9か月以降で約49%だったとされています。
- 一方で、適応は深い垂直性骨欠損(縦方向に深く骨が溶けた欠損)が中心で、根分岐部(奥歯の根の分かれ目)や重度の水平的な骨欠損には効果が限定的なことがあります。
- エムドゲインは約30年の世界的な実績がある材料ですが、日本では主に自費診療となります。
② 非外科治療とメインテナンス(SPT)
- SPTとは、治療後に定期的に受ける歯周病の管理のことです。これを継続しないと再発しやすくなります。
- 管理を続けた患者でも、5〜20年で9.6%の方が1本以上の歯を失ったという報告があり、「残す=一生保証」ではありません。
③ 抜歯してインプラント・ブリッジ・入れ歯にする
- 15年以上追跡した19研究のレビューでは、インプラントの生存率が「適切に治療・維持された歯周病の歯」を上回るわけではないと報告されています。
- つまり「抜いてインプラント」が常に優れているとは限らず、天然の歯を残す努力を先に尽くす価値があります。
費用の目安も、判断材料として整理しておきます。固定額ではなく幅で捉えてください。
- リグロスによる再生療法は保険適用で、3割負担なら概ね1〜2万円程度とされます(別途、検査・手術費が加わります)。
- エムドゲインは自費で、症例により幅があります。
治療計画を比較したときに「本当にこの計画が妥当か」という疑問が生まれることがあります。実際のセカンドオピニオンでどんな点に気づくのかは → 補綴専門医が見る|セカンドオピニオンで気づく治療計画の問題 でも紹介しています。
補綴の視点で、抜くか残すかをどう診断し、専門医とどう連携するか
ここからは、当院がどこを診て判断しているかという臨床の中身に踏み込みます。信頼していただくには、抽象論ではなく具体的な診断の順序をお示しすることが大切だと考えています。
当院院長は、米国インディアナ大学大学院の補綴科(MSD修了)で診断を学びました。米国の補綴教育では、抜歯を最終手段と位置づけ、まず最終的な噛み合わせと補綴の設計を描いてから、必要な処置を逆算して決める文化が根づいていました。この「設計を先に、削る・抜くは後に」という順序が、抜歯の再評価では大きな差を生みます。
具体的には、次のような点を診ています。
- CTや診断データで骨の残り方を立体的に見る:平面のレントゲンでは見えにくい骨の形を把握し、再生療法の適応があるかを判断します。
- 咬合(噛み合わせ)でその歯が担う役割を確認する:抜くと隣の歯や噛み合わせ全体にどう影響するかを設計段階で見ます。
- 患者ごとの骨格や噛む力の違いを踏まえる:同じ「重度歯周病」でも、噛む力が強い方と弱い方では長期の安定性が変わります。
- 長期の安定という時間軸で考える:5年後・10年後に食事を楽しめる口腔環境を保てるかを基準に置きます。
再治療の症例を長く診てきた経験から、早い段階で抜いた歯が、後になってより大きな補綴治療を必要にしてしまう場面を何度も見てきました。抜歯は一度行うと元に戻せません。だからこそ、可逆的(元に戻せる)な選択肢を先に検討することを重視しています。
そして重要なのが連携です。当院は歯周病専門医そのものではなく、補綴の診断を軸とする医院です。診断の結果、歯周組織の再生外科など高度な処置が必要と判断した場合は、歯周病を専門とする医師と連携し、役割を分担します。
当院では、アメリカで歯周病学を専門的に学んだ歯科医師(米国の歯周病専門医)と連携しています。日本と米国、双方の視点から「抜くか残すか」を検討できるため、一方向の判断に偏りにくくなります。
- 当院が担うこと:診断、噛み合わせと補綴の全体設計、抜くか残すかの再評価。
- 連携する歯周病専門医が担うこと:再生外科など、歯周組織の専門的な回復処置。
この「診断 → 再生 → 補綴」という順序で連携することが、歯周病専門医とのセカンドオピニオンで残せる可能性を高める鍵になります。
納得して選ぶために、整理しておきたいこと(よくあるご質問)
最後に、これまでの内容をまとめます。重度歯周病で抜歯を勧められたときの考え方は、次の3点に整理できます。
- 抜歯の判断は医師ごとに揺れやすく、再評価に価値があります。
- 深い骨欠損などでは、再生療法で残せる可能性が残る場合があります。ただし適応と限界があります。
- 診断を担う歯科医師と歯周病専門医が連携することで、抜くか残すかを多角的に検討できます。
大切なのは、誰かに決めてもらうことではなく、判断材料を揃えて、自分が納得できる選択を考えることです。名古屋で歯周病のセカンドオピニオンを検討される際の一助になれば幸いです。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 最初に診てもらった歯科医院に、角が立たないか心配です。 セカンドオピニオンは患者さんの正当な権利で、多くの医院が前提として理解しています。「別の視点も知って納得して決めたい」と伝えれば、角は立ちにくいです。診断書やレントゲンの提供を求めても、問題になりにくいのが一般的です。
Q2. 抜歯と言われた歯は、必ず残せますか。 残せると断定はできません。根が割れている、むし歯が歯ぐきの下深くまで進んでいるといった場合は保存が難しくなります。ただし、深い骨の欠損など再生療法の適応であれば、保存を試みる余地が残る場合があります。
Q3. 歯周病専門医が近くに見つからない場合はどうすればよいですか。 まず診断と全体設計ができる歯科医師に相談し、再生外科など高度な処置が必要と判断された段階で、専門医へ連携・紹介してもらう方法があります。最初から専門医を探し当てる必要はありません。当院のように、アメリカの歯周病専門医と連携している医院を窓口にする方法もあります。
Q4. セカンドオピニオンの費用はどのくらいかかりますか。 相談料は医院により幅がありますが、数千円からが一つの目安です。再生療法はリグロスなら保険適用で3割負担で概ね1〜2万円程度、エムドゲインは自費で幅があるとされます。
Q5. 今の説明を断って、治療方針を変えてもよいのでしょうか。 最終的にどの治療を選ぶかは、患者さんご自身が決められます。納得できないまま進めるのではなく、判断材料を揃えたうえで、ご自身が納得できる方針を選ぶことが大切です。
重度歯周病で「抜歯」と診断され迷われている方は、判断の考え方を他のケースとあわせてセカンドオピニオンで見えてくる診断の違い【ガイド】で全体像から整理しています。あわせてご覧ください。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
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