症例
名古屋 入れ歯が合わずお悩みの方へ|右下奥歯2本欠損に対してインプラント2本でしっかり噛めるように改善した症例
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治療前

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治療後

患者背景と症例概要
名古屋でインプラント治療を検討されている方へ
インプラント治療では
・骨の状態
・噛み合わせ
・補綴設計
などを総合的に診断することが重要です。
当院のインプラント治療の考え方や治療の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
→ 名古屋でインプラント治療を検討されている方へ
症例まとめ(Case Summary)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢・性別 |
66歳 女性 |
| 主訴 | 入れ歯が合わず、もう使いたくない |
| 欠損部位 | 右下臼歯部の連続2歯欠損 |
| 既往 | 約5年間、部分入れ歯を使用 |
| CT所見 | 骨幅 約8mm、骨高 約13mm |
| 治療方針 | インプラント2本による固定式修復 |
| 使用インプラント | ストローマン BLT 2本 |
| GBR | なし |
| 手術時間 | 約45分 |
奥歯を失ったあと、部分入れ歯で日常生活を送っている方は少なくありません。ただ、実際には「噛みにくい」「話しにくい」「違和感が強い」「何度作り直しても合わない」といった悩みを抱えたまま我慢している方も多くいらっしゃいます。特に下顎の奥歯は、食事のときに強い力がかかる部位であり、入れ歯の安定が得にくいケースでは、どうしても不快感が残りやすくなります。
今回ご紹介するのは、46歳女性の患者様です。患者様は右下の臼歯部で連続する2歯を以前むし歯で失い、その後は部分入れ歯を約5年間使用されていました。しかし、時間の経過とともに入れ歯が合わなくなり、作り直しを行っても違和感が改善せず、「もうこれ以上入れ歯を使いたくない」「しっかり噛める固定式の方法にしたい」と考え、当院を受診されました。
奥歯の欠損を放置すると、単にその部位で噛めないだけではありません。噛み合わせのバランスが崩れ、周囲の歯に負担が偏ったり、残っている歯が少しずつ動いたりすることがあります。そのため、見た目だけでなく、長期的にお口全体を守る視点で治療法を考えることが大切です。
また、奥歯のインプラント治療では、単に「骨があるから埋入できる」という発想では不十分です。将来的に壊れにくいこと、清掃しやすいこと、噛み合わせの力を適切に受け止められることまで含めて設計する必要があります。
インプラント治療が入れ歯とどう違うのかを詳しく知りたい方は、こちらも参考になります。
→ インプラントのメリットデメリット
さらに、奥歯の欠損をそのままにした場合の問題については、こちらでも詳しく解説しています。
→ 奥歯を失ったまま放置するリスク
初診時の診断
初診時には、まず口腔内診査、歯周組織の確認、CT撮影、口腔内スキャンを行い、欠損部の骨と周囲組織の状態を詳細に評価しました。
CT上、右下欠損部の骨幅は約8mm、骨の高さは約13mmあり、インプラント埋入に必要な骨量は十分に確保されていました。骨の形態にも大きな問題はなく、追加の骨造成を前提としなくても、比較的シンプルに治療計画を立てられる状態でした。骨量が少ないケースとの違いについては、こちらで詳しく解説しています。
→ 名古屋で骨が少ない場合のインプラント治療
また、粘膜の状態も安定しており、炎症や圧痛、異常所見は認めませんでした。清掃状態は非常に良好で、プラークコントロールも保たれていました。インプラント治療では、手術そのものだけでなく、治療後に清潔な状態を維持できるかどうかが長期安定に大きく関わります。その点で、この患者様は術後管理の面でも良好な条件を備えていました。
残存歯についても、大きな歯周病や咬合の崩壊はなく、全体として安定した口腔内環境でした。一方で、欠損部を長く入れ歯で補っていたことから、患者様ご本人には「しっかり噛めない」「入れ歯が浮く感じがある」「食事のたびに気になる」という機能的・心理的ストレスがありました。
欠損部を詳しく診るうえでは、骨の量だけでなく、どのような力がその部位にかかるかも非常に重要です。特に下顎の大臼歯部は咬合力が強く、上部構造の設計次第でトラブルの起こりやすさが大きく変わります。インプラントの構造や力の受け方については、こちらもご覧ください。
→ インプラントの構造
総合的に判断すると、本症例は「骨量」「歯周状態」「清掃状態」「全顎的な咬合の安定性」のいずれも良好であり、適切な設計のもとでインプラント治療を行えば、機能回復と長期安定の両立が期待できる症例でした。
治療計画と設計思想
この症例で検討した治療選択肢は、大きく分けて3つありました。
1つ目は、部分入れ歯を再度作り直す方法です。
2つ目は、ブリッジによって欠損部を補う方法です。
3つ目は、インプラント2本を用いて固定式で回復する方法です。
1.入れ歯を作り直す選択肢
患者様はすでに約5年間部分入れ歯を使用されており、その間に適合が悪くなって作り直しも経験されていました。しかし、それでも違和感が改善せず、「もう入れ歯そのものが嫌だ」という明確な訴えがありました。
入れ歯は外科処置を避けられるという利点がありますが、下顎の奥歯では安定性の確保が難しいことがあり、噛んだときの沈み込みや揺れ、不快感が残ることがあります。患者様の希望とこれまでの経過を踏まえると、再度義歯を作り直しても満足度が高くなる可能性は低いと判断しました。
入れ歯とインプラントの違いについては、こちらでも詳しく解説しています。
→ インプラントと入れ歯の違い
2.ブリッジの選択肢
次に考えたのがブリッジです。ブリッジは固定式で違和感が少なく、比較的短期間で治療できることがあります。しかし本症例では、欠損が連続2歯であったこと、さらに後方の歯がすでに根管治療されており、残存歯質が十分とは言えなかったことから、支台歯にかかる負担が大きいことが問題になりました。
奥歯の2歯欠損をブリッジで補うと、支える歯に曲げの力やねじれの力が集中しやすくなります。特に大臼歯部では咬合力が大きいため、長期的には支台歯の破折や脱離、二次的なトラブルにつながる可能性があります。
ブリッジとインプラントの考え方の違いについては、こちらも参考になります。
→ インプラントとブリッジの違い
3.インプラント2本の選択肢
最も有力だったのが、欠損部に対して2本のインプラントを用いる方法です。
患者様から見ると「2本失っているなら1本で2本分支えられないのか」と思われることもあります。前歯など部位や条件によっては、そのような設計を検討することもありますが、奥歯では慎重な判断が必要です。特に第一大臼歯の部位は咬合力が非常に強く、1本のインプラントで2歯分の負担を受ける設計は、上部構造の破損、クラウンの破折、スクリューの緩みなどのリスクを高めます。
この症例では、長期的に安定させることを重視し、無理な連結設計を避けて、欠損部それぞれに適切な支持を持たせるためインプラント2本を選択しました。インプラントの本数設計について疑問がある方は、こちらもご覧ください。
4.放置のリスク
欠損をそのままにすることも、もちろん望ましい選択ではありません。
奥歯がない状態が続くと、隣の歯が傾斜してきたり、噛み合う相手の歯が挺出したりして、咬合が少しずつ乱れていきます。特に大臼歯が近心に傾いてくると、普段の咬合では問題がなくても、下顎を横に動かしたときに対合歯と干渉し、不要な咬合調整が必要になったり、最終的には別の歯まで失う原因になり得ます。
「今は困っていないから様子を見る」という判断が、数年後にはより大きな治療につながることもあります。インプラントを入れる時期や寿命の考え方は、こちらでも解説しています。
→ インプラントの寿命
最終決定と設計思想
以上を踏まえ、本症例ではインプラント2本による固定式修復を最終方針としました。
当院が重視したのは、単に欠損部を埋めることではなく、「長く壊れにくく、噛みやすく、清掃しやすい状態をつくること」です。
設計においては、咬合接触を過大にせず、奥歯として必要な咀嚼機能を確保しながら、インプラント体や上部構造に無理な力が集中しないようコントロールしました。固定方式についても、将来のメインテナンス性やトラブル時の介入のしやすさを考慮することが重要です。
また、インプラント治療では「埋入できるか」よりも「その後も安定するか」の視点が大切です。補綴設計、清掃性、咬合力の逃がし方まで含めて設計することで、長期的な予後は大きく変わります。噛み合わせがインプラントに与える影響については、こちらでも詳しく説明しています。
→ インプラントと噛み合わせ
手術と治療経過
手術に先立ち、CTと口腔内スキャンのデータをもとにサージカルガイドを作製し、埋入位置・角度・深さを事前に精密に設計しました。ガイドを用いることで、解剖学的なリスクに配慮しながら、補綴主導で安全に手術を進めることができます。ガイド手術について詳しく知りたい方は、こちらも参考になります。
→ サージカルガイドを用いたインプラント治療
今回埋入したのは、ストローマン社のBLTインプラント2本です。埋入トルクは30Ncmで、初期固定は良好でした。術前の骨量が十分にあり、骨欠損形態にも大きな問題がなかったため、GBR(骨造成)は行っていません。大きくフラップを展開する必要もなく、比較的侵襲を抑えた形で手術を行うことができました。
手術時間は約45分でした。奥歯のインプラント2本というと大がかりな印象を持たれる方もいますが、骨造成を伴わず、十分な術前計画のもとで行える症例では、手術自体は比較的スムーズに進みます。
術後経過は非常に良好でした。骨造成を行っていないこと、フラップ操作が過度でなかったこともあり、患者様の腫れや痛みは最小限で、術後1日ほどでほぼ消失しました。もちろん術後反応には個人差がありますが、本症例では身体的負担を抑えた形で治療を進めることができました。術後の腫れや痛みがどの程度出るのか気になる方は、こちらもご覧ください。
その後は治癒期間を経て、インプラント体の安定を確認し、最終的な上部構造へ移行しました。治療経過全体を通じて、軟組織の状態は安定しており、清掃性も確保しやすい形で仕上げることができました。
インプラント治療では、手術の成功だけでなく、その後に違和感なく使えるか、きちんと噛めるか、清掃しやすいかが非常に重要です。本症例では、患者様が長年感じていた「入れ歯の不快感」から解放され、固定式ならではの安定感を得ることができました。手術から補綴までの一般的な流れは、こちらで詳しく解説しています。
長期管理と歯科医師の解説
インプラントは、入れたら終わりの治療ではありません。長く安定して使うためには、日常のセルフケアと定期的なメインテナンスが不可欠です。特に奥歯は食片が入りやすく、咬合力も大きいため、清掃不良や噛み合わせの変化を放置すると、インプラント周囲炎や上部構造のトラブルにつながることがあります。
本症例の患者様はもともと清掃状態が非常に良好で、治療前から口腔管理の意識が高い方でした。このような患者様は、術後も安定した経過を取りやすい傾向があります。とはいえ、天然歯と同じ感覚で使えるようになった後ほど注意が必要です。違和感がないからこそ、気づかないうちに噛み込みが強くなったり、清掃が甘くなったりすることがあるためです。
メインテナンスでは、インプラント周囲組織の炎症の有無、咬合の変化、スクリューの状態、補綴物の摩耗などを総合的に確認します。長期管理については、こちらでも詳しく解説しています。
→ インプラントのメインテナンス
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 入れ歯が合わない場合は、必ずインプラントが必要ですか?
必ずしもそうではありません。入れ歯の設計や適合を改善することで快適に使える場合もあります。ただし、何度調整・再製しても違和感が強い方、固定式を希望される方では、インプラントが有力な選択肢になります。
Q2. 奥歯2本の欠損をインプラント1本で治すことはできますか?
症例によっては検討されることもありますが、奥歯では力の負担が大きくなるため慎重な判断が必要です。本症例では長期安定性を優先し、2本で支持する設計としました。
Q3. 骨造成をしないと治療は簡単ですか?
一般的には侵襲を抑えやすく、術後反応も軽い傾向があります。ただし、簡単かどうかは骨量だけでなく、位置関係、咬合、清掃性、補綴設計まで含めて判断する必要があります。
Q4. インプラントはどれくらい持ちますか?
適切な設計、良好な清掃、定期的なメインテナンスが継続できれば、長期にわたり安定して機能することが期待できます。ただし、噛み合わせや生活習慣によってリスクは変わります。
Q5. 手術後すぐに強く噛めますか?
インプラント体と骨が安定して結合するまでには治癒期間が必要です。最終的な補綴物が入るまでは、段階に応じた使用の仕方が大切です。
歯科医師コメント
この症例で重要だったのは、「インプラントが入るかどうか」ではなく、「どの設計なら長く安定するか」を最初から考えた点です。
奥歯の2歯欠損は、患者様から見ると単純に見えても、実際には咬合力、支台条件、清掃性、補綴物の耐久性など、多くの要素を整理して判断しなければなりません。
当院では、治療の見た目だけでなく、10年先、20年先まで見据えた補綴設計を重視しています。特に奥歯では、無理な本数設計や過大な咬合負担を避けることが重要です。今回のように骨条件が良く、口腔衛生も安定している症例では、適切な設計のもとでインプラント治療を行うことで、入れ歯では得られなかった快適さと機能回復が期待できます。
治療のリスク・副作用・費用・期間
治療期間
約4〜6か月程度(手術後の治癒期間を含む)
費用
84万円
リスク・副作用
・術後に腫れ、痛み、内出血が生じることがあります
・感染、創部治癒不全、しびれなどのリスクがあります
・骨の状態によっては追加処置(骨造成など)が必要となることがあります
・上部構造の破損、スクリューの緩み、咬合調整が必要になる場合があります
・清掃不良や喫煙、噛み合わせの問題により、インプラント周囲炎のリスクがあります
・長期的な安定のためには定期的なメインテナンスが重要です
名古屋でインプラント治療を検討されている方へ
インプラント治療では
・骨の状態
・噛み合わせ
・補綴設計
などを総合的に診断することが重要です。
当院のインプラント治療の考え方や治療の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
→ 名古屋でインプラント治療を検討されている方へ
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implntology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



