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残っている歯がある方の部分入れ歯×インプラント併用設計

部分入れ歯の調子が悪い方へ|入れ歯を支えるインプラントという方法があります

部分入れ歯が沈む、外れる、バネが見える。そういう不調に対して、入れ歯をインプラントで支えるという方法があります。名古屋でインプラントと入れ歯の併用を調べている方に、まずこの選択肢があることをお伝えしたいと思います。入れ歯は取り外し式のまま、支える場所だけを足す考え方です。そして大事なのは、どこに置くかで入れ歯のどこが良くなるかが変わることです。この記事では、その置き場所ごとの違いを整理します。

この記事でわかること

  • 入れ歯を取り外し式のまま、支えだけをインプラントで足す方法があると分かります
  • 置く場所によって、バネを外せるのか、噛む力が上がるのかが変わると分かります
  • 残っている歯が多い方ほど、変化を感じにくい場合があると分かります
  • 相談の前に、ご自身で整理しておけることが決まります

入れ歯はそのまま、支える場所だけを足せます

インプラントと聞くと、抜けたところに1本ずつ歯を入れる治療を思い浮かべる方が多いと思います。ここでお話しするのは、それとは違う使い方です。

入れ歯は取り外し式のまま残し、その入れ歯を支えるためだけにインプラントを使います。歯科では併用設計と呼びます。入れ歯の内側に留め具が付き、口に入れるとインプラントの上でかちりと収まる形になります。

表から見えるのは、これまでと同じ入れ歯です。インプラントは歯ぐきの中に収まっていて、頭の部分が少し出ているだけです。ご自身で外して洗い、戻すときに軽く押さえる。使い方としては、それだけの違いです。

ですから、いま使っている入れ歯が沈む、浮く、バネが見えて気になる。そうした不満のある方に、検討していただける方法です。取り外して洗うという扱い方は、これまでと変わりません。

この方法があること自体を知らないまま、入れ歯を諦めてしまう方がいらっしゃいます。合わないから使わない、使わないから顎の骨がさらに痩せる、という流れになりがちです。全部をインプラントに置き換えるか、我慢して入れ歯を使い続けるか。その二つしかないと思っておられた方に、間にもう一つあるとお伝えしたいのがこの記事です。

後ろ側が沈むのは、支えがないからです

いちばん奥の歯がなくなると、部分入れ歯の後ろ側には支える歯がありません。この形を遊離端と呼びます。前側は歯にかけたバネで支えられていますが、後ろ側は歯ぐきの上に乗っているだけです。

歯の根は骨に固定されているのに対し、歯ぐきは押せば沈みます。同じ入れ歯の中で、支え方の性質が前と後ろで違うということです。噛むたびに後ろが沈み、前のバネをかけた歯が引っ張り上げられます。

この動きが続くと、支えにした歯に横向きの力がかかり続けます。歯は上下方向の力には強い一方、横に揺さぶられる力には弱い性質があります。入れ歯そのものより先に、支えの歯のほうが弱っていく理由がここにあります。沈む量そのものはわずかですが、噛むたびに繰り返される点が問題になります。入れ歯の側の設計をどう組み立てるかは、別の記事にまとめました。

「入れ歯か、インプラントか」の二択ではありません

多数歯欠損の相談では、取り外し式か固定式かで迷われる方が多くいらっしゃいます。ただ、この二つの間には幅があります。取り外し式のまま支えだけを足す設計は、その中間にあたります。

固定式を中心に考えたい場合の整理は、別の記事にあります。

なお、歯が1本も残っていない場合の併用は、この記事の範囲から外れます。残っている歯があるかどうかで、設計の考え方がまるごと変わるためです。残っている歯は、支えとしても使えますし、負担をかけすぎれば失う対象にもなります。

置く場所で、入れ歯の良くなり方が変わります

バネをかけている歯の隣に置くと、バネを外せます

ここがこの記事の中心です。同じ1本でも、どこに置くかで得られるものが違います。

前寄りの位置、つまりいまバネをかけている歯のすぐ隣にインプラントを置くと、その場所で入れ歯を留められるようになります。留める役目をインプラントが引き受けるので、その歯にかけていたバネを外せます。

バネは金属ですから、笑ったときに見えることがあります。前歯に近いほど気になります。見た目を理由に入れ歯を使わなくなる方は少なくありません。人前で口を開けにくい、写真に写りたくない。そうした話は診療室でもよく伺います。バネを外せる位置に支えを作れれば、その理由が一つ減ります。

もう一つ、バネをかけられていた歯の負担も軽くなります。引っ張り上げられる力がかからなくなるためです。バネは見た目の問題だけでなく、かけられた歯を少しずつ疲れさせる部品でもあります。その歯を長く持たせたい場合にも、外せることには意味があります。

いちばん奥に置くと、支える力が上がります

反対に、いちばん奥の位置に置く場合は、狙いが変わります。ここに支えができると、入れ歯の後ろ側が沈まなくなります。前で留めるのではなく、下から突っ張る役目です。

沈まないということは、噛んだ力がそのまま食べ物に伝わるということです。入れ歯が動いてしまうと、力は逃げます。後ろで受け止められるようになると、これまで避けていた硬いものも噛みやすくなります。噛むたびに歯ぐきが押されて痛む、という訴えが軽くなることもあります。

咬合力や咬合接触面積が増えたという報告もあります。ただし、どのくらい変わるかは状態によります。ここは後の章で正直に書きます。

同じ1本でも、前寄りに置けば留める力が、奥に置けば支える力が得られます。どちらが欲しいのかは、いまの入れ歯の何に困っているかで決まります。見た目が主なら前寄り、噛めないことが主なら奥、という組み立て方になります。両方が理由なら、両方に置く設計も選べます。

場所で結果が変わることは、報告にも出ています

Ichikawaら(2021年、International Journal of Implant Dentistry)は2,410件から19研究を選び、遊離端の併用設計をまとめています。インプラントの生存率は、最も低い報告で91%台でした。

このレビューでは、入れ歯とインプラントをつなぐ部品が8種類使われていました。ただし著者は、部品の種類によって生存率にも満足度にも差は認められなかったと結論づけています。

差が出たのは位置のほうです。大臼歯の位置に埋めた場合、小臼歯の位置より歯ぐきからの出血が多かったと報告されています。奥は掃除の道具が届きにくい、という現実がそのまま出た形です。

置く場所 主に良くなること 注意点・限界
バネをかけている歯の隣(前寄り) 見えるバネを外せる。その歯にかかる引っ張る力が減る 沈み込み自体は残る。前だけでは後ろの支えにならない
いちばん奥(遊離端の後方) 後ろ側が沈まなくなる。硬いものが噛みやすくなる 大臼歯の位置は歯ぐきからの出血が多いと報告されている
前寄りと奥の両方 留める力と支える力の両方が得られる 本数と外科の範囲、費用と期間が増える
骨が足りず位置をずらす 埋入自体は可能な場合がある 狙った場所から外れると、動きは止まらない

※スマートフォンでは表を横にスクロールできます

置く場所を決めるときは、噛み合う相手の歯も見ます。上に硬い被せ物が並んでいるのか、上も入れ歯なのかで、下にかかる力の大きさが変わるためです。相手が硬いほど、支えは奥に欲しくなります。

上下がすれ違って噛み合う相手がいない状態では、この位置決めがさらに難しくなります。

正直にお伝えしている、限界と条件

残っている歯が多い方ほど、伸びしろは小さいことがあります

これは先にお伝えしておきたい内容です。Wolfartら(2016年、Clinical Oral Investigations)は30名を対象に、すでに使っている入れ歯の下にインプラントを追加し、その前後で噛む効率を測っています。

歯が1本も残っていない方の群では、噛む効率が有意に改善しました。ところが、歯が残っている部分入れ歯の方の群では、有意な改善が出ませんでした。もともとの噛む効率が高かったためです。

満足度はどちらの群でも改善しています。ただ、測って出る数値としての伸びしろは、残っている歯が多いほど小さくなりうるということです。ですから期待できる範囲は、検査のうえで先にお話しします。

言い換えると、いま何とか噛めている方ほど、噛む力の変化は感じにくいかもしれません。その場合は、バネを外せることや、外れにくくなることのほうが、実際に感じられる変化になります。

歯は守られる方向、インプラントは引き受ける方向

Dinuら(2025年、Dentistry Journal)は19研究、1,765名をまとめています。併用型では、支えにした歯の10年生存率が90.2%でした。歯だけで支える従来型は10年83.8%、20年66.3%です。

一方で、併用型のインプラント側の生存率は5年90.4%、10年76.3%でした。歯が守られる方向に働くかわりに、インプラント側が負担を引き受けている可能性があります。この点は、埋める前に知っておいていただきたいところです。

支えの数についても報告があります。Molinero-Mourelleら(2022年、Clinical Oral Investigations)は12研究・408名を解析し、支台が5つ以上のときに合併症が減ったと述べています。ここで数えるのはインプラントだけではありません。残っている歯も支えの一部として合計します。

維持部品の交換が前提の設計です

Persic Kirsicら(2023年、Medicina)は92名・184本の細い径のインプラントを5年追いました。成功率は下顎93.3%、上顎93.4%です。注目していただきたいのは、その間に起きたことのほうです。

3年の時点で、入れ歯を留める樹脂部品の交換が62件ありました。5年までに裏打ちの調整を7床で行っています。これは失敗ではなく前提です。取り外し式である以上、留め具はすり減ります。

すり減ったまま使うと入れ歯の動きが戻り、支えの歯に負担が戻ります。逆に言えば、交換すれば性能が戻る設計でもあります。留め具は消耗品だと考えて、確認の間隔を最初に決めておきます。

骨の幅や高さが足りず、支えを作りたい位置に埋められないこともあります。位置をずらして本数だけ増やしても、動きは止まりません。その場合は併用にこだわらず、別の設計を並べて考えます。

相談の前に、ご自身で整理しておけること

  • ☑ 今の入れ歯のどこが不満か。沈む、痛い、外れる、バネが見えるのどれが主かで、置く場所が変わります
  • ☑ どちら側で噛んでいるか。片側だけで噛む癖があれば、支えの位置を決める材料になります
  • ☑ 取り外すことをどう思うか。取り外し式を続けたいのか避けたいのかで、選択肢の並べ方が変わります
  • ☑ 通える頻度。部品の交換や調整に通える範囲を先に共有いただくと、無理のない設計にできます

私が置く場所を決めるときに、見ていること

本数より先に、回っている軸を読みます

私は米国インディアナ大学大学院で補綴学を3年間学びました。そこで最初に教わったのは、1本の歯を診る前に顔と噛み合わせの全体を診ろ、ということです。治療計画の授業では、個々の治し方より、順序をどう決めるかに大半の時間が割かれていました。

併用設計でも同じです。私が最初に見るのは、いまの入れ歯がどこを軸に、どちら向きに回っているかです。バネをかけた歯の並びを結んだ線が、その軸になります。軸が分かると、止めるための支えをどこに置けばよいかが決まります。

軸を読むために、私はいまの入れ歯を実際に指で押してみます。どこを押すとどちらが浮くかを見れば、力の逃げ道が分かります。左右で軸の位置が違うことも珍しくありません。その場合は左右で本数が変わります。

本数から入ると、この読み取りが飛ばされます。2本入れたのに沈み方が変わらない、ということが起きるのはそのためです。分かりやすく言えば、ぐらつくテーブルに脚を足すときと同じで、どちら向きに傾いているかを先に確かめる必要があります。

噛み合わせ全体が崩れている場合は、支えの位置だけでは解決しません。

今の入れ歯に足すのか、作り直すのか

すでにお使いの入れ歯に支えだけを足せませんか、というご相談はよくいただきます。できる場合もありますし、できない場合もあります。

分かれ目は、いまの入れ歯が、支えが増えた状態を前提にしていないことです。バネの位置も人工の歯の並べ方も、後ろが沈む前提で組まれています。そこに支えだけを足すと、沈まなくなったぶん別の場所に力が集まることがあります。

ですから、いまの装置を診てから、足す設計と組み直す設計の両方をお見せします。費用と期間は変わりますが、判断の材料を片方だけにしたくないからです。いまの入れ歯が比較的新しく、設計も無理のないものであれば、足すほうを選べる可能性が上がります。片顎だけが総崩れの場合は、また判断が変わります。

完成形を先に作り、そこから逆算します

米国の大学院で驚いたのは、診断の文化でした。お口全体を治す場合、完成形の模型を先に作り、ゴールを患者さんと共有して合意してから、最初の1本に着手します。

併用設計でも、この順番を守っています。先に完成形を決めると、支えをどこに置くかは自動的に決まります。逆に、埋めてから入れ歯を設計すると、位置の都合に設計が引きずられます。骨があるから、という理由だけで場所を決めることはしません。

私は通常なら歯科技工士に委ねる製作の工程まで自分の手で行ってきました。設計から製作まで一人で仕上げた入れ歯は100床近くになります。その経験から言えるのは、図面の上で成り立つ設計と、実際に作れて交換もできる設計は別だということです。部品を後から交換できるか、手の力が弱い方でも着け外しできるか、掃除が届く形か。そこまで含めて最初に決めます。

留め具の強さも、その場で決める要素です。強く留めれば外れにくくなりますが、外すときに力が要ります。ご本人の手の力を見ながら、ちょうどよいところに合わせます。

歯周病が進んでいる最中の方は、順番が先です。支えになる歯の状態が動いている間は、設計が固まりません。

欠損を長く放置されていた場合は、噛み合う相手の歯が動いていることがあります。

まとめ|名古屋でインプラントと入れ歯の併用を考えるために

部分入れ歯の調子が悪いとき、入れ歯をインプラントで支えるという方法があります。全部を作り替えるのでも、我慢して使い続けるのでもなく、取り外し式のまま支える場所だけを足す設計です。バネをかけている歯の隣に置けば見えるバネを外せますし、いちばん奥に置けば後ろが沈まなくなり、硬いものが噛みやすくなります。

決めるのは本数ではなく場所です。いまの入れ歯の何が不満かを分けて整理していただくと、置く場所はかなり絞れます。いまお使いの入れ歯をお持ちいただければ、押して確かめるところから始められます。まずは無料相談で構いません。

いまの入れ歯をお持ちいただければ、押して確かめるところから始められます。

多数歯欠損には、取り外し式・固定式・併用の三つの方向があります。全体の見取り図から確認したい方は、まとめ役の記事をご覧ください。

残っている本数から設計を考えたい方は、こちらが近い話になります。

期間を短くしたい場合の考え方は、別に一本あります。

よくあるご質問

Q1. 何年も歯科に行っていません。今から相談しても怒られませんか。

怒ることはありません。経緯をうかがうのは、これまでを評価するためではなく、これから何をどの順番で行うかを決めるためです。当院のカウンセリングルームは完全個室で、診療室は半個室です。周りを気にせずお話しいただけます。話したくないことは話さなくて構いません。今の状態を一緒に確認するところから始めます。

Q2. 今使っている入れ歯に、インプラントを足すことはできますか。

できる場合とできない場合があります。今の入れ歯は、後ろが沈むことを前提に設計されています。そこに支えを足すと、力の流れが設計と合わなくなることがあるためです。実際の装置を拝見したうえで、足す設計と組み直す設計の両方をお見せします。今の入れ歯を作られた経緯も、差し支えなければうかがいます。

Q3. バネを全部なくすことはできますか。

場所によります。バネをかけている歯の隣に支えを作れれば、そのバネは外せます。ただし、すべてのバネを外すには、それぞれの場所に支えが要ります。本数が増えれば外科の範囲も費用も変わりますので、どのバネがいちばん気になるかを先に伺います。見た目に関わる前寄りから順に検討することが多くなります。鏡を見ながら、どこまで見えているかを一緒に確認するところから始めます。

Q4. 併用にすれば、硬いものが噛めるようになりますか。

いちばん奥に支えを作れれば、後ろが沈まなくなるぶん噛みやすくなります。咬合力や咬合接触面積が増えたという報告もあります。ただし、残っている歯が多い方では、測って出る改善が確認できなかった研究もあります。期待できる範囲は状態によって違いますので、検査のうえで正直にお伝えします。何が食べにくいかを具体的に挙げていただけると、支えを置く場所を決める材料になります。お煎餅なのか、繊維の多い肉なのか、前歯で噛み切るものなのかで、必要な支えの位置は変わります。

※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。検査・診断のうえ、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。無料相談は無料、セカンドオピニオン外来は5,500円(税込)です。当院は名古屋市中区栄、地下鉄「伏見駅」7番出口から徒歩2分にあります。完全予約制で、Zoomでのご相談にも対応しています。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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