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歯周病で歯を失い続けている方へ|これ以上失わないための再建手順
歯周病で歯を失う流れを止める手順は、順番が決まっています
歯周病で歯を失う流れを止めるには、手順があります。国際的なガイドラインは治療を4つの段階に分け、各段階のあとに測り直して次を決める形をとっています。名古屋で歯周病により歯を失い続けている方に、まずお伝えしたいのはこの点です。何をするかより、どの順番でするかで結果が変わります。順番を守ることで、途中で計画をやり直す場面を減らせます。この記事では、その段階と、各段階で何が決まるのかを順に説明します。報告されている数値も添えます。
この記事でわかること
- 歯周病の治療が4つの段階に分かれている理由が分かります
- 歯を5本以上失った状態で、歯周治療だけでは足りない事情が分かります
- 定期管理に入った方がどれくらい歯を失っているのかが数値で分かります
- 相談の前に、ご自身で整理しておけることが決まります
治療は4つの段階に分かれています
欧州歯周病連盟が2020年に公表したS3レベルの臨床実践ガイドライン(Sanzら、Journal of Clinical Periodontology)は、歯周病の治療を4段階に整理しています。
第1段階は、清掃の方法を身につけることと、危険因子を減らすことです。喫煙への対応や、糖尿病がある方の血糖の管理も含まれます。第2段階は、歯ぐきの中に付いた細菌の膜と歯石を取り除く処置です。ここで治りを待ち、測り直します。
第2段階で反応しなかった深い部位に対しては、第3段階として外科的な処置を検討します。歯ぐきを開いて清掃する方法や、骨の欠損に対する再生療法が含まれます。第4段階は支持療法です。3か月から12か月の間隔で通っていただき、再発を抑えます。
順番が決まっているのは、前の段階の結果を見ないと次の判断ができないからです。清掃が届くようになる前に外科をしても、同じ場所がまた深くなります。逆に言えば、いまどの段階にいるのかが分かれば、次に何が起きるかも見通せます。説明のときは、その位置をお伝えするようにしています。
歯を5本以上失っている場合、歯周治療だけでは足りません
Herreraら(2022年、Journal of Clinical Periodontology)は、重度の状態を対象にしたガイドラインを別に出しています。歯間部の付着の喪失が5mm以上、骨の吸収が根の中央より深く、歯周病で5本を超えて歯を失った状態が対象です。噛み合わせの崩壊や歯の移動を伴うことも条件に含まれます。
このガイドラインは、歯周治療だけでは足りないとはっきり書いています。歯周治療に加えて、機能の回復と、その後の支持療法を組み合わせる形です。機能の回復には、被せ物や入れ歯、矯正的な歯の移動、噛み合わせの調整、歯どうしの連結が含まれます。
連結でどこまで守れるのかという話は、別の記事に整理しました。
守れる場面と、巻き添えになる場面の両方があります。
止まった方は、失わなくなっています
不安を先に和らげておきたいので、この数値を挙げます。Carvalhoら(2021年、Journal of Clinical Periodontology)は33研究・16か国のデータをまとめ、定期管理を受けている方の歯の喪失が1人あたり年0.1本から0.2本だったと報告しています。
治療後に残っていた75,776本のうち、管理期間中に失われたのは6,640本、割合にして8.8%でした。著者の結論は、支持療法を受けた患者の多くは歯を失わなかった、というものです。
失い続けている状態は、止まらないものではありません。歯科から足が遠のいていた年数によって何が変わるかは、別の記事にまとめています。
時間の経過という切り口で読みたい方は、そちらもどうぞ。
段階ごとに何が決まるのか、数値と一緒に見る
各段階で判断していること
| 段階 | 主な内容 | この段階で得られること | 注意点・限界 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 清掃指導、禁煙支援、糖尿病の管理 | 危険因子を減らせるかどうかが見える | 生活の側の変化が要る。本人の負担が大きい |
| 第2段階 | 歯ぐきの中の細菌の膜と歯石の除去 | 深い部位が反応するかどうかが分かる | 数回に分けて行う。治りを待つ期間が要る |
| 再評価 | 治りを待って測り直す | 外科が要るか、どの歯を残せるかが決まる | ここを省くと、後の設計がすべて仮定になる |
| 第3段階 | 歯ぐきを開く手術、再生療法など | 保存の限界がどこにあるかが分かる | 適応が限られる。効果の予測は確立していない |
| 第4段階 | 3〜12か月間隔の支持療法 | 再発を抑えられるかどうかが決まる | 通い続ける必要がある。中断すると戻りやすい |
| 機能の回復 | 被せ物、入れ歯、矯正、噛み合わせの調整 | どこまで噛み合わせを戻せるかが決まる | 歯周が安定してからでないと設計が崩れる |
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます
どの歯から失われるのかは、ある程度分かっています
Katoら(2021年、BMC Oral Health)は、297名・7,584本の歯を平均13.9年にわたって追跡しました。年あたりの抜歯率は全体で2.39%です。
内訳を見ると、神経が生きている歯は0.95%、神経を取った歯は9.78%でした。同じ口の中でも、差がついています。著者は、歯の神経を取る処置をできるだけ減らすことを勧めています。歯周病の話をしているようで、むし歯の治し方の話にもつながっています。抜歯の理由は破折が31%、歯周病が30%、むし歯が22%でした。
この研究のハザード比も参考になります。神経を取った歯が3.31、糖尿病が2.24、喫煙が2.18、ポケットの深さが2.17、被せ物や入れ歯がかかっていることが1.88、大臼歯であることが1.62でした。
並べてみると、変えられる因子と変えにくい因子が分かれます。喫煙と糖尿病は生活と医科の側で変えられます。ポケットの深さは治療で変えられます。歯の位置は変えられませんので、そこは管理を厚くして補います。
被せ物や入れ歯がかかっている歯のハザード比が1.88という点も、設計に関わる数値です。支えとして働いてもらう以上、負担はかかります。だからこそ、どの歯に何をさせるかを決めるのは、歯周が落ち着いてからになります。
これらの数値は平均の傾向であって、個々の歯の運命を決めるものではありません。同じ深さのポケットでも、清掃が届く位置かどうかで見通しは変わります。数値は判断の材料の一つです。
奥歯は、別枠で考えたほうがよさそうです
Costaら(2022年、Journal of Clinical Periodontology)は、222名・1,329本の大臼歯を約12.4年追いました。この期間に235本、割合で17.7%が抜歯されています。
強く影響した要素として挙げられているのは、根の分かれ目に病変が及んでいること、神経を取ってあること、平均のポケットが深いこと、探ったときに出血することです。根が複数に分かれている奥歯は、その分かれ目に清掃の器具が届きにくい構造をしています。患者側では50歳超、男性、糖尿病、喫煙、定期管理に来ないことが挙がっています。
この研究で挙がっている因子のうち、定期管理に来ないことは、通院の工夫で変えられる部分です。間隔が空くこと自体を責めるつもりはありません。ただ、間隔が空いたときに何が起きやすいかは、共有しておいたほうが再開しやすくなります。
奥歯を失うと噛み合わせの高さが落ち、前歯に力が集中します。前歯は本来、強い力を受け止める形にできていません。噛み合わせ全体が崩れているときの進め方は、別の記事で詳しく扱っています。
左右の奥歯を失って上下がすれ違う状態になると、さらに難しくなります。
名古屋で歯周病の再建を始める前に、正直にお伝えしていること
段階を踏むぶん、期間はかかります
再評価を挟むということは、待つ期間があるということです。第2段階のあと、歯ぐきが治るのを待ってから測り直します。その結果によって第3段階に進むかどうかが決まります。
ですから、初診の日に最終的な治療計画を確定させることはできません。おおまかな方向はお示しできますが、確定は再評価のあとです。ここを飛ばして被せ物や入れ歯を先に作ると、歯ぐきが引き締まった段階で合わなくなります。
通院の回数も、失った本数ではなく工程の数で決まります。清掃、治りを待つ期間、再評価、必要なら外科、そして噛み合わせを戻す作業。それぞれに来ていただく必要があり、途中に待つだけの期間も入ります。仕事の都合で間隔が空くこと自体は問題ありません。どの工程で止まっているのかを共有しておけば、再開しやすくなります。
期間を短くしたい事情がある方もいらっしゃいます。何を優先すると期間が縮み、代わりに何を後回しにするのかは、別の記事に整理しました。
インプラントを選ぶ場合、リスクは高めに見ておきます
歯周病で歯を失った方がインプラントを選ぶ場合、注意点があります。Jordanaら(2024年、Dentistry Journal)は18研究・1,571名・4,030本のインプラントをまとめ、歯周病の既往がある方ではインプラント周囲炎の発生が4.8倍だったと報告しています。生存率についても、既往がない方のほうが1.7倍高いという結果でした。
ただし著者は、病状が安定していればインプラントは選択肢として成立するとも述べています。使えないという話ではなく、管理の前提が変わるという話です。骨や全身の条件から検討したい方向けの整理は別にあります。
外科の量を抑えて、残った歯と少数のインプラントで支える組み方もあります。
全部を固定式にしなくても、支点は増やせます。
経緯をうかがっても、責めることはありません
長く歯科から足が遠のいていた方が多くいらっしゃいます。私は経緯をうかがいますが、それは状態を正しく把握するためであって、評価するためではありません。歯が揺れている、膿が出ている、といった状態を見て驚くこともしません。
Herreraらのガイドラインは、天然の歯を残すことを第一の戦略とし、抜歯は歯周的に維持できない歯に限ると書いています。私も同じ方針で見ていきます。残せるかどうかを判断するのは、清掃が届く状態を作ってからです。初診の日の見た目だけで抜歯を決めることはしません。
相談の前に、ご自身で整理しておけること
- ☑ いつ頃から、どの順番で歯を失ったか。思い出せる範囲で構いません。進み方の見当がつきます。
- ☑ 喫煙と、糖尿病などの持病の有無。どちらも歯を失うリスクに関わるため、先に共有できると早く進みます。
- ☑ いま上下で噛めている場所があるか。左右のどこかで上下の歯が当たっている場所です。
- ☑ 通院にどれくらい時間を割けるか。段階を踏むぶん回数が要りますので、現実的な見通しが役立ちます。
- ☑ これまでの歯科での説明で分からなかったこと。そこから整理し直すと、判断がしやすくなります。
診療室で、私が再建の順序をどう決めているか
順序を決めることに、いちばん時間を割きます
私は米国インディアナ大学大学院で補綴学を3年間専攻し、MSDとCertificate in Prosthodonticsを取得しました。そこで受けた治療計画の授業は、個々の歯の治し方より、治療の順序をどう決めるかに大半の時間が割かれていました。
指導医からは、1本の歯を診る前に顔と噛み合わせの全体を診ろ、と繰り返し言われました。歯周病で失い続けている口では、この見方がとくに効きます。揺れている歯を1本ずつ見ていると、なぜその歯に力が集まったのかを見落とすからです。
歯周病の再建で私が最初に決めるのは、抜くか残すかではありません。順番はこうなります。
- どの歯が支えとして使える可能性があるかを、仮に置く。確定は再評価のあとです。
- 噛み合わせの高さと面の傾きを、どこに戻すかを決める。ここが全体の基準になります。
- その設計に必要な支えが、残る見込みの歯で足りるかを確かめる。足りない場合の代替案も同時に用意します。
- 歯周治療の段階と、機能回復の段階をどう重ねるかを決める。待つ期間に何ができるかを組み込みます。
1番目を仮に置くところが要点です。歯周治療の前に確定させると、治りが良かった歯を早々に諦めることになりかねません。逆に決めないまま進めると、どこに向かっているのかが患者さんにも私にも見えなくなります。仮に置いて、再評価で修正する。この往復を前提にしています。
日本と米国では、この順序に割く時間の量が違うと感じています。両方の現場を経験して、そこがいちばん大きな差だと思うようになりました。
ゴールを決めてから、最初の1本に着手します
米国で驚いたのは、診断の文化でした。お口全体の治療では、完成形の模型を先に作り、ゴールを患者と共有して合意してから、最初の1本に着手します。ゴールを決めずに走り出さない、という考え方が徹底されていました。
歯周病で失い続けている状態では、これがとくに大事だと考えています。どの歯を残す前提で設計するのかを先に共有しておかないと、1本抜けるたびに計画全体が振り出しに戻るからです。仮に1本を失っても、設計の枠組みが決まっていれば、その部分だけ差し替えれば済みます。
残る歯の数が少なくなる見込みの場合、入れ歯を軸にした設計を並行して検討します。支えの配分をどう組むかは、それだけで一つのテーマです。
歯の総数から方針を組み立てる考え方も別にまとめました。
治療用の装置で、答え合わせをします
米国では、仮歯は仮の歯ではなく完成形のテスト走行だと教わりました。噛み合わせの高さ、発音、見た目をそこで十分に確かめてから、最終の歯に置き換えます。
歯周治療の途中でも、この考え方は使えます。治療用の被せ物や入れ歯で高さを試しておけば、歯ぐきが安定した時点で最終の設計に移りやすくなります。待つ期間を、確かめる期間に変えられるということです。噛み合わせの高さを変える場合は、話しにくさや違和感をこの段階で洗い出しておきます。
上下のどちらか一方だけが崩れている場合は、片方の顎の土台ごと考え直すことになります。
私自身、通常は歯科技工士に委ねられる製作の工程まで自分の手で行ってきました。設計から製作まで一人で仕上げた入れ歯は100床近くになります。自分で作ると、図面の上では成立していた形が、実際には無理をしている場所が見えます。模型の段階で支えきれない配分を見分けられるのは、この経験によるところが大きいです。
まとめ|名古屋で歯周病により歯を失う流れを止める手順
歯周病で歯を失う流れを止める手順は、段階を踏んで、各段階のあとに測り直すという形です。清掃と危険因子の管理、歯ぐきの中の清掃、必要なら外科、そして定期的な支持療法。噛み合わせを戻す作業は、歯周が落ち着いてからになります。
名古屋で歯周病による喪失が続いている方は、まず全体を一度見てもらってください。定期管理に入った方の喪失は1人あたり年0.1本から0.2本という報告があります。止まらない流れではありません。いま何段階目にいるのかを知るところからで構いません。
多数歯欠損の治療選択を全体から見渡したい方には、まとめ役の記事があります。
この記事は歯周病を起点にした手順に絞っていますので、選択肢の全体像を先に知りたい方はそちらが入口です。
まずは無料相談で構いません。今の状態を数えてこなくても大丈夫です。
よくあるご質問
Q1. 何年も放置していました。今から相談しても怒られませんか。
怒りません。経緯をうかがうことはありますが、それは状態を把握するためであって、責めるためではありません。名古屋市中区栄の当院は、カウンセリングルームが完全個室で、診療室は半個室です。完全予約制ですので、待合で長くお待ちいただくこともありません。話すだけの相談から始めていただけますし、Zoomでの相談にも対応しています。
Q2. 揺れている歯は、抜くしかないのでしょうか。
抜く前提では見ません。2022年の国際的なガイドラインは、天然の歯を残すことを第一の戦略とし、抜歯は歯周的に維持できない歯に限ると述べています。揺れの原因が炎症であれば、歯ぐきの中を清掃して落ち着く場合があります。噛み合わせの力が原因なら、力の逃がし方を変えます。まず検査で原因を切り分けてから判断します。抜くかどうかの判断は、再評価まで待てる場合も少なくありません。
Q3. 治療はどれくらいの期間かかりますか。
段階ごとに再評価を挟みますので、初診の日に確定はできません。第2段階のあとに治りを待って測り直し、外科が要るかを判断します。その後に噛み合わせを戻す作業が入ります。おおまかな見通しは初回にお示しし、確定した費用と期間、主なリスクは検査・診断のうえで治療前にまとめてご説明します。段階ごとに区切ってお伝えしますので、先が見えないまま通うことにはなりません。
Q4. 歯周病でもインプラントはできますか。
条件によります。2024年のまとめでは、歯周病の既往がある方でインプラント周囲炎の発生が4.8倍と報告されていますが、病状が安定していれば選択肢として成立するとも述べられています。つまり、先に歯周を落ち着かせることが前提になります。入れ歯を含めた別の選択肢と並べて、検査のうえでご説明します。インプラントにした場合の管理の間隔も、最初に決めておきます。
名古屋市中区栄、地下鉄「伏見駅」7番出口から徒歩2分がEden Dental Officeです。CTと口腔内スキャナーを備え、完全予約制で診療しています。保険と自費のどちらにも対応しています。
※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。検査・診断のうえで、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明し、書面でお渡ししたうえで進めます。歯周治療の反応には個人差があり、経過によって計画の見直しや追加の処置が必要になることがあります。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



