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名古屋「下の入れ歯が痛くて硬いものが噛めない」下顎オールオン4で噛む機能を取り戻した症例
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治療前

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治療後

患者背景と症例概要
名古屋でオールオン4治療を検討されている方の中には、「下の入れ歯がどうしても痛い」「やわらかいものは噛めるけれど硬いものになると噛めない」「入れ歯を作り直したけれど結局同じ」など、下顎の総入れ歯特有のお悩みを長年抱えている方が大変多くいらっしゃいます。今回ご紹介する症例は、まさにそうしたお悩みでご来院された患者様です。
患者様は女性で、長年にわたり上下とも総入れ歯を使用しておられました。上顎の入れ歯については「審美的にも噛み心地にも問題はなく、口蓋を覆うこと自体にも不快感はない」とのことで、上顎は現状維持を強く希望されました。問題は下顎の入れ歯で、主訴は「硬いものを噛もうとするとどうしても下の入れ歯が痛い、噛めない」というものでした。長く我慢されてきたものの、生活の質を取り戻すために何らかの方法を探したいとのことで、当院へご相談に来られました。
下顎の総入れ歯が痛みを生じやすい背景には、解剖学的な理由があります。下顎の顎堤を覆う粘膜は上顎より薄く、また舌が義歯の床面積を制限するため、咬合圧を負担する面積が上顎に比べて圧倒的に少なくなります。私はまず、このメカニズムを患者様に丁寧に説明したうえで、いきなり外科治療に進むのではなく、まず現在の義歯のリラインで適合を改善し、もう一度試していただく方針を取りました。
オールオン4と総入れ歯の食べられるものの違いについては、
→ オールオン4で総入れ歯では食べられなかったものは食べれる?
のページでも整理していますので、入れ歯との比較を検討されている方はあわせてご参照ください。
リラインで適合が大きく改善した状態でも、患者様は「やはり硬いものになると痛みが出る、噛めない」というご感想でした。下顎総入れ歯の解剖学的な限界が、本症例にとって決定的な要因となっていることが確認できた段階で、外科治療を含む選択肢を再度ご提示しました。
ご自身に近い症例をお探しの方は、
もあわせてご参照ください。
症例まとめ
・患者:女性
・主訴:下の入れ歯が痛くて硬いものが噛めない
・治療対象:下顎のみ(上顎は既存の総入れ歯を継続使用)
・既往:長年の上下総入れ歯使用、下顎顎堤の高度吸収あり
・ブラキシズム既往:なし
・骨隆起:なし
・最終治療方針:下顎オールオン4(インプラント4本)
・使用インプラント:ストローマン BLX 直径4mm/長さ8mm
・埋入位置:下顎2番部および4番部に左右計4本
・骨造成:なし
・上部構造:メタルフレームワーク+PMMA+硬質レジン人工歯
・治療期間:約7ヶ月
・費用:下顎オールオン4 3,500,000円/上顎総入れ歯 440,000円(自由診療)
初診時の診断
初診時には、口腔内診査、現使用義歯の評価、パノラマX線撮影、歯科用コーンビームCT撮影、咬合診査、軟組織検査を行いました。本症例では上顎を温存し下顎のみを変更する方針が想定されたため、上下のバランス、咬合関係、対合との力学的整合性を慎重に評価する必要がありました。
CT所見と骨条件
下顎のCT計測の結果、下顎前歯部から小臼歯部までは比較的骨量が確保されていたものの、第一大臼歯相当部(6番付近)から後方は高度に顎堤吸収が進行しており、下歯槽管と歯槽頂が極めて近接していました。垂直的に必要な骨高径が確保できる部位は、おおむね下顎2番から4番までに限られるという所見でした。
このような高度顎堤吸収を伴う症例では、骨造成によって埋入部位を広げる選択肢もありますが、侵襲・治療期間・費用が大きく増加するため、本症例ではまず「現存する骨量で安全に埋入可能な部位を最大限に活用する」方針で計画を立てました。
歯周病状態と既往
患者様には総入れ歯使用歴の長さに比して全身状態は良好で、外科処置に支障となる既往は認められませんでした。喫煙歴はなく、ブラキシズム(歯ぎしり)の既往もありませんでした。下顎舌側・頬側の骨隆起も認めず、力学的にもインプラント周囲組織への過大なストレスが想定されない条件でした。これらは後の補綴設計上、カンチレバー長を含めた力学的安全率の判断に重要な情報となります。
咬合状態
上顎は総入れ歯のままで継続使用されるため、最終補綴のオールオン4は粘膜支持の総義歯(上顎)と機能的に調和させる必要がありました。下顎は現在の咬合高径と咬合平面を基本的に踏襲することとし、上顎総義歯側の人工歯咬耗を再評価したうえで、最終的な咬合関係の再設定を計画しました。
治療計画と設計思想
治療選択肢の比較
リラインでも改善しきれなかった段階で、患者様に提示できる現実的な選択肢は2つに絞られました。総入れ歯のままで運用を続ける選択肢は、患者様ご自身が「もう硬いものが噛めるようにしたい」と明確に希望されたため、最初から除外しました。
①4本のインプラントを用いたオーバーデンチャー(IOD)
下顎にインプラント4本を埋入し、取り外し式の入れ歯をインプラントで支える方法です。維持と支持の両方をしっかりと得られ、清掃性は固定式より有利な面があります。一方で「奥歯でしっかり硬いものを噛みたい」「入れ歯の床自体を小さくしたい」というご希望に対しては、固定式に比べると噛む力の伝達効率と床形態の自由度で劣ります。
②下顎オールオン4
4本のインプラント上に固定式の補綴物を装着し、取り外す必要のない歯列を再建する方法です。咀嚼能率が高く、義歯床特有の異物感や違和感も大きく軽減できます。デメリットは費用が大きくなる点と、清掃方法が天然歯やIODと異なる点です。
オールオン4とオーバーデンチャーの違いについては、
のページで詳しく整理しています。
なぜオールオン4を選択したか
患者様は「硬いものも痛みなくしっかり噛みたい」「入れ歯の大きさや違和感をできるだけ減らしたい」というご希望が明確で、費用とリスク、治療期間をすべて丁寧にご説明したうえで、ご自身でオールオン4を選択されました。
下顎のみオールオン4とすることで、上顎の総入れ歯はそのまま使い続けられる利点もあり、上顎の不必要な治療を回避できる点も本症例の合理性を支える要素でした。
設計思想
埋入位置の決定
通常、下顎オールオン4では3番(犬歯)部と6番(第一大臼歯)部に4本を分散させ、前後拡がり(A-P spread)を最大化する配置が基本です。しかし本症例は4番より後方に垂直的な骨が乏しく、6番相当部への埋入は下歯槽神経との安全距離を確保できない状況でした。
そこで私は、骨量を安全に活用できる範囲として下顎2番部に2本、4番部に2本の計4本という配置を採用しました。これは標準的なオールオン4配置とは異なる構成です。決定にあたっては、本症例の力学的条件を1つずつ確認しました。
・上顎が総義歯であり咬合力の絶対値が下がる
・患者様が女性であり、平均的に咬合力が男性よりやや低い
・ブラキシズムの既往がない
・骨隆起がなく、過大な咬合習慣を示唆する所見もない
これらは「カンチレバーを通常よりやや長く設定しても、補綴物および周囲骨への力学的負担が許容範囲に収まる」と判断できる条件でした。今回の症例では、骨量を優先して2番・4番配置を採用しても、長期安定を目指せると診査診断の結果として結論づけました。

前後的配置とカンチレバー設計
A-P spreadは前後の最大拡がりで決まりますが、本症例では2番から4番までの限られた範囲が埋入域となるため、カンチレバー長と支持範囲のバランスが補綴設計の最重要テーマでした。後方カンチレバーは咬合接触の範囲を制限することで力学的負担をコントロールし、最後方部の咬合接触は弱めの設計で仕上げる方針としました。
咬合接触と咬合様式
上顎が総義歯である症例の咬合様式は、リンガライズドオクルージョンかフルバランスドオクルージョンの2択になります。本症例ではフルバランスドオクルージョンを採用しました。これは上顎総義歯の安定が患者様の満足度に直結するためで、義歯側の維持を最大化する咬合様式を選択しました。咬頭嵌合位および側方運動時のいずれにおいても、上顎総義歯が浮き上がらない接触様式を再現することを目指しました。
上部構造素材:メタルフレームワーク+PMMA+硬質レジン人工歯
本症例では、対合が総義歯であることを踏まえ、上部構造の素材としてジルコニアではなく、内部にメタルフレームワークを入れ、その上にPMMAと硬質レジン人工歯を配列するタイプを選択しました。
ジルコニアは破折に強い反面、対合義歯の人工歯を急速に咬耗させるリスクがあります。レジン系の補綴物は、人工歯のチッピングや咬耗といった微小な合併症は起こり得る一方、致命的な大破折が起こりにくく、調整・修理も容易です。中にメタルフレームワークを介在させることで、プロビジョナルと比べて強度を大幅に向上させながら、対合義歯と長期にわたって調和させやすい仕上がりを得られます。
固定方式と清掃性
上部構造はスクリュー固定です。万一の修理、咬耗時の人工歯交換、メンテナンス時の取り外しが容易な点は、長期管理上の大きな利点となります。清掃性についても、ブリッジ底面と歯肉との間に器具がアクセスできる形態を確保し、患者様ご自身でも管理しやすい設計にしました。
手術と治療経過
デュアルスキャンとサージカルガイド
患者様は現在の上下総入れ歯の形態にご満足されており、配列や歯の見え方そのものは変更する必要がありませんでした。そこで現使用義歯を用いてデュアルスキャンを実施し、最終補綴の位置から逆算してインプラントの位置・種類・長さを決定しました。この補綴主導型計画から、当院でサージカルガイドを作成し、術中はガイドに従って計画位置に正確に埋入しました。
オールオン4に関するよくあるご質問は、
→ オールオン4でよくある質問
のページにもまとめています。
手術概要
・埋入本数:4本(下顎2番部に2本、下顎4番部に2本)
・インプラント体:ストローマン BLX 直径4mm/長さ8mm
・GBR(骨造成):なし
・サージカルガイド使用
・即時プロビジョナルセット
ストローマン BLXは初期固定獲得性能に優れ、即時荷重プロトコルにも対応可能なインプラントです。本症例では埋入直後にプロビジョナルのオールオン4を装着する即時プロビジョナル法を採用しました。
術後経過
術後の腫脹・疼痛は処方薬で十分にコントロール可能な範囲に収まり、創傷治癒は概ね順調に推移しました。感染や創開などの合併症は認められませんでした。プロビジョナル装着後の3ヶ月間は固いものを避ける食事指導を行い、インプラントの骨結合を待ちました。

治療期間と最終補綴装着
3ヶ月の治癒期間ののち、最終印象を採得し、上述のメタルフレームワーク+PMMA+硬質レジン人工歯による最終オールオン4を完成・装着しました。

あわせて上顎の総入れ歯も44万円の費用にて作り直し、咬合関係を上下で再構築しました。


初診から最終補綴装着および上顎総義歯の完成までの総治療期間は約7ヶ月でした。
術後評価
最終補綴装着後の評価では、フルバランスドオクルージョンによる上顎総義歯の安定、咬頭嵌合位における均等な接触、カンチレバー長を踏まえた咬合接触の制御がいずれも設計通りに再現されていることを確認しました。インプラント周囲骨はCT上で安定しており、補綴物の適合精度にも問題は認められませんでした。

長期管理と歯科医師の解説
定期メンテナンス
オールオン4は装着後の長期管理が前提となる治療です。当院では装着後3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスを推奨しており、本症例の患者様も継続的に通院されています。メンテナンスでは、インプラント周囲組織のプロービング、X線による骨レベル確認、咬合接触の再評価、スクリュー緩みの有無確認、人工歯の咬耗・チッピングの確認、専門的なクリーニングを行います。
特に上部構造がレジン系である本症例では、人工歯の咬耗・チッピングの早期発見と対応が重要です。
よくあるご質問
質問1:上顎総入れ歯のままで下顎だけオールオン4にできますか
可能です。本症例のように上顎の総入れ歯にご満足されている場合、下顎のみオールオン4とする設計は十分に成立します。ただし上顎総義歯の安定を担保する咬合様式(フルバランスドオクルージョンなど)を採用する必要があります。
質問2:6番に骨がなくてもオールオン4はできますか
状況によっては可能です。本症例のように後方に骨が乏しい場合、より前方の部位(2番・4番など)に4本を埋入し、カンチレバー長と咬合接触の設計でバランスを取る方法があります。ただし、患者様の咬合力やブラキシズムの有無を慎重に評価する必要があります。
質問3:ジルコニアとレジン系(PMMA+硬質レジン人工歯)はどちらが良いですか
一長一短があります。ジルコニアは破折に強い反面、対合の天然歯や義歯の人工歯を咬耗させやすく、修理性は低くなります。レジン系は破折・咬耗・チッピングが起こり得ますが、修理・人工歯交換が容易です。対合や咬合条件、ブラキシズムの有無で使い分けます。
質問4:即時プロビジョナルは誰でも可能ですか
初期固定や骨条件など、適応条件があります。本症例ではストローマン BLXの初期固定性能と良好な骨条件、サージカルガイドによる正確な埋入位置、対合が総義歯であることなどが揃ったため、即時プロビジョナルを採用できました。
質問5:費用は分割払いに対応していますか
当院ではデンタルローンや分割支払いに対応しています。詳細はカウンセリング時にご相談ください。自由診療であるため医療費控除の対象となりますので、領収書の保管をおすすめします。
歯科医師からのコメント
今回の症例で私が最も重視したのは、「教科書通りの配置に固執しない」という判断でした。下顎オールオン4の標準配置は3番・6番ですが、本症例ではこの位置に必要な骨量が確保できませんでした。骨造成で骨量を増やすという選択肢もありましたが、侵襲と費用、治療期間の増加を考慮し、まずは現存する骨を最大限活用する方針を選びました。
そのうえで、2番・4番配置でも長期安定を目指せると判断するためには、力学的な条件を1つずつ確認する必要がありました。上顎が総義歯であること、患者様が女性であること、ブラキシズムや骨隆起の所見がないこと、これらをすべて加味して「カンチレバーを通常より長めにしても許容範囲に収まる」という結論に至り、最終的に2番・4番配置を採用しました。
設計上の注意点として、対合が総義歯である症例の咬合様式選択は、長期予後に直結します。本症例ではフルバランスドオクルージョンを採用し、上顎総義歯の浮き上がりを抑える設計としました。また上部構造の素材選択も対合に応じて慎重に判断する必要があり、本症例ではジルコニアではなくメタルフレームワーク+レジン系を採用することで、対合義歯への負担と修理性の両立を図りました。
長期予後については、3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンス、年1回の咬合再評価、人工歯の咬耗チェックを継続することで、長期にわたって機能を維持していくことを目指していきます。
治療のリスク・副作用・費用・期間
治療期間:約7ヶ月(埋入・即時プロビジョナル・治癒期間・最終補綴・上顎総入れ歯製作を含む)
費用:
・下顎オールオン4:3,500,000円
・上顎総入れ歯:440,000円
オールオン4治療および総入れ歯製作はいずれも自由診療であり、費用は使用するインプラント本数、上部構造の素材、義歯素材、追加処置の有無により変動します。
主なリスク・副作用:
・術後に腫れや疼痛が生じる可能性があります
・創部の感染、出血の可能性があります
・術前の骨条件によっては骨造成が必要となる場合があります
・インプラント周囲炎を発症する可能性があるため、定期的なメンテナンスが不可欠です
・レジン系上部構造では、人工歯の咬耗・チッピング・破損が生じることがあり、調整・修理が必要となる場合があります
・スクリューの緩み、咬合変化に伴う調整が必要となる場合があります
・全身状態や服薬状況により治療計画の変更が必要となることがあります
名古屋でオールオン4治療を検討されている方へ
オールオン4治療では、
・骨の状態
・噛み合わせ
・補綴設計
・インプラントの埋入位置
などを総合的に診断することが重要です。
当院のオールオン4治療の考え方や治療の流れについては以下のページで詳しく解説しています。
当院では骨量不足症例や重度歯周病症例、多数歯欠損症例など、さまざまなオールオン4治療を行っています。
ご自身に近い症例を探したい方は以下の症例一覧も参考にしてください。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



