症例
名古屋「入れ歯を試したけど、やっぱり噛めない」ソケットリフト併用インプラント2本で治療した53歳女性の症例
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治療前

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治療後

患者背景と症例概要
名古屋でインプラント治療を検討されている方の中には、こんな経過をたどってきた方が少なくありません。
- 根管治療(根っこの治療)を何度も繰り返したが、結局抜歯になった
- 入れ歯とインプラントで迷っている
- まず入れ歯を試してみたが、どうしてもなじめない
今回ご紹介するのは、この3つをすべて経験された患者様の症例です。
根管治療の繰り返しから抜歯へ
患者様は53歳の女性。奥歯の虫歯が進行して過去に2回の根管治療を受けられましたが、再び根の先に膿が溜まり(根尖性歯周炎)、病変が隣の歯にも拡大。最終的に2本とも抜歯となりました。
重要なのは、この患者様には歯周病の既往が一切なかったことです。歯を失った原因は虫歯(カリエス)であり、インプラント周囲炎のリスクが相対的に低い、インプラントに向いたタイプでした。
インプラント治療の注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。
ご自身に近い症例をお探しの方は、以下の症例一覧もご覧ください。
症例まとめ
| 患者 | 53歳 女性 |
|---|---|
| 主訴 | 抜歯した奥歯2本を、しっかり噛めるようにしたい |
| 欠損の原因 | 根尖性歯周炎の巨大化(歯周病なし・虫歯タイプ) |
| 経過 | まず部分入れ歯を試す → 2ヶ月使用 → インプラントへ変更 |
| 治療方針 | ソケットリフト併用、インプラント2本 |
| 使用インプラント | ストローマン BLX 2本 |
| 上部構造 | ジルコニア(スクリュー固定) |
| 治療期間 | 約10ヶ月(入れ歯試用期間を含む) |
| 費用 | 1,220,000円(自由診療) |
初診時の診断
初診時には、口腔内診査、パノラマX線、歯科用CT、歯周組織検査、咬合診査を行いました。
CT所見と骨条件
CTによる計測の結果は次の通りでした。
- 5番相当部:骨の幅・高さともに問題なし
- 6番相当部:骨幅6mm、垂直的な骨の高さ6mm
骨の高さ6mmは、標準的な長さのインプラントにはやや不足しています。ただし重度の骨不足(3mm程度)ではありません。
骨の高さ3mmからサイナスリフトで治療した症例は、以下をご覧ください。
名古屋で「骨が足りない」と言われた方へ
この「あと少しだけ骨が足りない」条件に適しているのがソケットリフトです。埋入する穴から上顎洞の底部を数mmだけ持ち上げて骨補填材を入れる方法で、大規模なサイナスリフトより侵襲が小さく、インプラント埋入と同時に行える利点があります。
骨造成の基本については、以下の記事で詳しく解説しています。
歯周状態と全身状態
- 歯周病なし(プロービング深さはほとんどの部位で3mm以下)
- 歯の動揺なし
- 服薬なし・全身状態良好
外科処置のリスク因子はなく、インプラント治療の適応条件が揃っていました。
治療計画と設計思想
なぜ「インプラント1本で2歯」ができないのか
前歯の欠損では、1本のインプラントで2歯分を支える設計が可能な場合があります。しかし奥歯では、この設計は一般的に行いません。
前歯で1本のインプラントが2歯を支えた実例は、以下の症例をご覧ください。
奥歯には前歯の何倍もの咬合力がかかるため、2歯分の力を1本で受け止める構造は力学的に成立しないのです。同じ「2歯欠損」でも、部位によって設計の選択肢は変わります。
検討した3つの治療選択肢
①ブリッジ(両隣の歯を削って4歯分を連結)
両脇の健康な歯を削る必要があります。患者様は「なるべく歯を残したい」というご希望が明確で、この選択肢は選ばれませんでした。
治療法の比較は、以下の記事で詳しく整理しています。
②部分入れ歯(まず試した選択肢)
費用はインプラントより安く、本症例では両脇の歯の傾斜が比較的平行で、歯の形態修正を最小限に抑えられる条件でした。
ここで1つ、大切なことをお伝えします。「入れ歯はほとんど歯を削らなくていい」は誤解です。間違った設計の入れ歯は、残っている歯を痛める凶器になり得ます。削るべきところはしっかり削って理想的な形を作らなければ、支えの歯が数年で崩れていきます。
③インプラント2本
隣の歯を削らず、独立した2本で噛む機能を回復する方法です。
まず入れ歯を試す、という順序
当院では、複数の選択肢が成立する場合、侵襲と費用の小さい方から試せる設計を大切にしています。ご希望どおり部分入れ歯を製作し、お渡ししました。
しかし2ヶ月後、患者様は再び来院されました。「どうしても食事が美味しく感じられない」「発音に違和感がある」とのことで、インプラントへの変更をご希望されたのです。
この2ヶ月は無駄だったのでしょうか。私はそうは思いません。ご自身で試したからこそ、確信を持って治療に進むことができました。逆に入れ歯で満足される方も一定数いらっしゃり、その場合は大きな費用をかけずに治療が完結します。
入れ歯とインプラントの構造的な違いは、以下の記事で図解しています。
放置するリスク:フレアアウト
前歯は本来、噛む力の大部分を受け止める奥歯によって守られています。奥歯の支えがないと前歯が力を直接受けて揺れ始め、外へ外へと開いていくフレアアウトが起こります。進行すると前歯の抜歯に至ることもあり、奥歯の欠損は放置すれば前歯まで道連れにします。
設計のポイント
- 埋入位置:5番部・6番部に各1本、独立した支持を確保
- 骨対策:6番部はソケットリフトを埋入と同時に実施
- 上部構造:強度と清掃性に優れるジルコニア
- 固定方式:将来外して修理できるスクリュー固定
- 咬合設計:咬合力を2本で分散し、天然歯と調和する接触関係
インプラント周囲炎を見据えた設計は、以下の記事で詳しく解説しています。
手術と治療経過
手術概要
| 埋入本数 | 2本(5番部・6番部) |
|---|---|
| インプラント体 | ストローマン BLX |
| 骨造成 | ソケットリフト(6番部・埋入と同時) |
| 上部構造 | ジルコニア(スクリュー固定) |
ソケットリフトはインプラント埋入と同時に行えるため、大規模なサイナスリフトのように骨の治癒を6ヶ月待つ必要がありません。骨の不足が軽度であれば、治療期間を大きく短縮できます。
術後経過
術後2日ほどは多少の痛みがあり鎮痛薬を服用されましたが、それ以降は痛みは全くなく、日常生活に支障はありませんでした。
手術後の痛みの一般的な目安は、以下の記事で解説しています。
治癒期間と最終補綴
埋入から4ヶ月の治癒期間を待ち、骨結合を確認したうえで、最終的なジルコニアの歯をスクリュー固定で装着しました。入れ歯の試用期間を含めたトータルの治療期間は約10ヶ月です。
術後評価
- 咬合接触は均等に安定し、奥歯の垂直的ストップが回復
- 発音の違和感も解消
- 取り外し式の装置がなくなり、日常の食事を支障なく行える状態を確認
長期管理と歯科医師の解説
定期メンテナンス
当院では3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスを行っています。
- インプラント周囲組織のプロービング
- X線による周囲骨とソケットリフト部の評価
- 咬合接触のチェック
- 専門的なクリーニング
長持ちさせるための管理の全体像は、以下の記事をご参照ください。
よくあるご質問
Q1. 根管治療を繰り返した歯は、最終的に抜歯になりますか?
すべてがそうではありませんが、根管治療は回数を重ねるごとに成功率が下がる傾向があります。病変が隣の歯に拡大する前に、精密な診断を受けることをおすすめします。
Q2. ソケットリフトとサイナスリフトはどう違いますか?
どちらも上顎の骨を増やす処置です。ソケットリフトは埋入の穴から数mm持ち上げる小規模な方法で、埋入と同時に行えます。サイナスリフトは大きく骨を作る方法で、骨の治癒を待ってから埋入します。骨の不足量で使い分けます。
Q3. 入れ歯を試してからインプラントに変更できますか?
できます。本症例もまず入れ歯を2ヶ月試したうえで、確信を持ってインプラントに進まれました。試してから決められることは、後悔しない治療選択につながります。
Q4. 入れ歯なら歯を削らなくて済みますか?
「ほとんど削らない」は誤解です。正しく設計された入れ歯でも支えの歯の形態修正が必要な場合があり、削るべきところを削らずに作った入れ歯は、残っている歯を痛める原因になります。
Q5. 前歯は1本で2本分を支えられるのに、奥歯はなぜダメですか?
奥歯には前歯の何倍もの咬合力がかかるためです。部位ごとの力学条件に応じて、成立する設計と成立しない設計があります。
歯科医師からのコメント
今回の症例で私が大切にしたのは、「患者様が納得して選ぶプロセス」です。
医学的にはインプラントが有利な条件が揃っていましたが、費用と侵襲の観点から、まず入れ歯を試すという患者様の選択を尊重しました。結果として2ヶ月後にインプラントへ変更されましたが、この2ヶ月があったからこそ、患者様は迷いなく治療に進むことができました。
本症例は「同じ2歯欠損でも部位によって設計が変わる」ことを示す好例でもあります。前歯なら1本で済む場合がある。奥歯なら2本必要。骨が6mmならソケットリフト、3mmならサイナスリフト。画一的な正解はなく、その方の条件を精密に読み込んで設計を変えることが、私たちエデンデンタルオフィスの考える、10年先を見据えたインプラント治療です。
治療のリスク・副作用・費用・期間
| 治療内容 | インプラント2本埋入(ストローマン BLX)+ソケットリフト+ジルコニア上部構造 |
|---|---|
| 治療期間 | 約10ヶ月(入れ歯試用期間、埋入後4ヶ月の治癒期間を含む) |
| 費用 | 1,220,000円(自由診療) |
主なリスク・副作用は次の通りです。
- 外科処置を伴い、術後に腫れや痛みが生じることがあります
- ソケットリフトに伴い、上顎洞粘膜の損傷や上顎洞炎が起こる可能性があります
- インプラントが骨と結合しない可能性があります
- 骨の状態によっては追加の骨造成が必要になる場合があります
- インプラント周囲炎のリスクがあるため、定期的なメンテナンスが重要です
- スクリューの緩みや上部構造の破損により修理・調整が必要になる場合があります
- 治療結果には個人差があります
名古屋でインプラント治療を検討されている方へ
インプラント治療では、骨の状態・噛み合わせ・補綴設計を総合的に診断することが重要です。当院のインプラント治療の考え方や治療の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



