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奥歯のセラミックの強度ってどう決まる?「数字」と「もちの良さ」の関係をやさしく整理
強度は「素材の数字」だけでは決まりません

奥歯 セラミック 強度を考えるとき、まず知っておいてほしいことがあります。それは「強さの数字が大きい素材ほど良い」とは限らない、ということです。今のセラミックには、自分の歯よりずっと丈夫なものもあります。きちんとした厚みと、噛み合わせに合った作り方ができていれば、奥歯のしっかりした噛む力にも耐えられます。
ただし「強い=絶対に割れない」ではありません。大事なのは、素材・厚み・噛み合わせの3つがかみ合っているかどうかです。
名古屋・栄/伏見のあたりで奥歯の被せ物を考えている方も、この「数字の見方」を先に整理しておくと、あとで迷いにくくなります。
【そもそも「強い」って、何のことなのか】
「セラミックは強い」と言うとき、じつはいくつかの違う意味がまざっています。ここを分けて知っておくと、素材選びがぐっと分かりやすくなります。
「強さ」には3つの種類がある
セラミックの強さを表す数字は、大きく分けて次の3つです。
- 折れにくさ(曲げ強度。MPa=メガパスカルという単位で表します):強い力が一度にかかったとき、折れにくいか
- ひびの広がりにくさ:小さなひびができても、一気に割れに進みにくいか
- 繰り返し噛んでも弱りにくさ:毎日何千回と噛んでも、長く耐えられるか
広告やカタログで大きく出てくるのは、たいてい最初の「折れにくさ(MPa)」です。でも奥歯は毎日くり返し噛む場所なので、本当の「もちの良さ」には、あとの2つも大きく関わってきます。数字が大きいことと、口の中で長持ちすることは、イコールではありません。
ジルコニアとe.maxで、強さはどれくらい違う?
代表的な素材の「折れにくさ」を、研究室での測定値でくらべると、だいたい次のようになります。
| 素材 | 折れにくさの目安 | 透明感 | 主に向いている場所 |
|---|---|---|---|
| 丈夫なタイプのジルコニア | 約900〜1200MPa | おさえめ | 力の強い奥歯・ブリッジ |
| 透明感のあるジルコニア | 約500〜800MPa | 高い | 見た目と強さの中間 |
| e.max(ガラス系のセラミック) | 約360〜460MPa | 高い | 1本ずつの被せ物・前歯〜小さめの歯 |
(数値はKwonらの2018年の研究ほか、複数の研究の目安です。製品によって幅があります)
ちなみに、自分の歯の表面(エナメル質)の折れにくさは60〜90MPaくらいと言われています。つまり丈夫なジルコニアは、自分の歯の10倍以上の数字を持っている計算です。「ジルコニアは硬すぎないの?」という心配が出るのも、この数字の大きさが理由です。
奥歯にかかる力と、「どれくらいの強さが必要か」
ここで大事なのは、強さは「数字の大きさ比べ」ではない、ということです。奥歯の噛む力は人によって幅がありますが、けっこう大きな力がかかります。だからこそ、素材の数字そのものよりも、「その力に対して、十分な厚みを確保できる作りか」が結果を分けます。
実際、力のかかり方を調べる試験でも、噛む面の厚みがあるほど、割れに対する余裕が大きくなることが分かっています。逆に言うと、どんなに丈夫な素材でも、厚みが足りなければ実力を出せません。
強さと「もちの良さ」はどうつながる?
では、強さの数字は、実際の長持ちにどう表れるのでしょう。研究のデータを見てみます。
- 2025年の専門誌の報告では、奥歯に入れた一体型ジルコニアの被せ物が残っていた割合は、**5年で95.5%、10年で86.0%**でした。一方、表面に別のセラミックを盛ったタイプは5年76.9%・10年71.0%と、はっきり差が出ました。
- 2026年のまとめ研究では、e.maxの被せ物が残っていた割合は、5年で約98.5%。これは金属の被せ物(約97.1%)と同じくらいの水準でした。
- 同じ研究で、大臼歯(いちばん奥の歯)は手前の歯よりトラブルが約6倍、上の歯は下の歯より約9.5倍起きやすいという結果も出ています。
同じ素材でも「どの歯か」で、必要な作り方が変わるということです。これは大勢を平均した数字で、あなたに保証される数値ではありません。それでも「奥歯のセラミックは、素材だけでなく場所や作り方でもちが変わる」ことのヒントになります。
ゴールから逆算して、お口全体を考えていく流れについては、→ セラミック治療 のページで整理しています。素材1つではなく、治療全体の中で強さを考えたい方の入口になります。
【気をつけたいこと・よくある勘違い】
ネットでよく見かける情報には、強さについての勘違いがいくつもあります。判断の前に整理しておきましょう。
勘違い1:「数字が大きい素材ほど良い」 丈夫なジルコニアは確かに硬いです。でも硬すぎると、噛み合う相手の歯をすり減らしてしまうことがあります。また、強さを上げると透明感が落ちる傾向があり、強さと見た目は「あちらを立てればこちらが立たず」の関係になりがちです。
勘違い2:「ジルコニアなら薄くても割れない」 強いからといって、削る量をゼロにできるわけではありません。厚みが足りないと、丈夫な素材でも割れやすくなります。最低限の厚みを確保できる作りが前提です。
勘違い3:「カタログの数字が大きい=口の中で長持ち」 研究室の数字と、実際のもちは別ものです。本当の長持ちは、しっかり接着できているか、ぴったり合っているか、噛み合わせを調整できているか、といった数字に出にくい部分が大きく左右します。
向いていない、または慎重に考えたほうがよいのは、次のような場合です。
- 残っている歯がとても少なく、厚みを確保しにくい
- 噛む力そのものが管理されていない
- 強さだけで素材を選び、掃除のしやすさや相手の歯への影響を見落としている
なお「では、なぜ奥歯のセラミックは割れることがあるのか」という割れる仕組みや、食いしばり・噛む力の強さといったテーマは、それぞれしっかり説明が必要なので、この記事では強さの数字の話にとどめ、関連記事につなぎます。
【専門家の視点|強さは「足し算」ではなく「かみ合わせ」で決まる】
奥歯の強さをどう考えるか。ここに、日本とアメリカの考え方の違いが出ます。
アメリカで補綴(ほてつ=被せ物や詰め物で歯を作り直す分野)の訓練を受けると、「いちばん強い素材を探す」よりも、「その口に必要な強さを、できるだけ少ない削る量で満たす」という考え方をくり返し学びます。日本では「ジルコニアか、e.maxか」と素材の名前で語られがちです。でもアメリカの現場では、まず噛む力の通り道と、確保できる厚みを決めて、その条件に合う素材を後から選ぶ、という順番で考えます。素材が先ではなく、設計が先です。
この考え方は、最近の研究の流れとも合っています。2024〜2026年の専門誌では、素材1つの強さより、厚み・接着・噛み合わせまで含めた全体の作り方が、長持ちを決めるという報告が増えてきました。たとえば、寝ている間に食いしばる方を調べた最近の研究でも、食いしばりのあるなしで3年のもちに大きな差は出ていません。「素材より、力の管理を含めた作り方のほうが効く」という、現場の感覚を裏づけています。
だからこそ、診断のときに次のことをていねいに見ます。
- 噛む力の大きさと向き
- 確保できる被せ物の厚み
- 噛み合う相手の歯が自分の歯か、何の素材か
- 毎日の掃除のしやすさ
最後のゴールから逆算して素材と厚みを決める——この考え方があると、「とりあえず一番強い素材を」という選び方になりにくくなります。名古屋市中区で診ていても、噛む力が強い方ほど、素材選びそのものより、作り方のかみ合わせで差が出る、という印象があります。強さは1つだけで効くものではなく、全体の作りの一部になって、はじめて意味を持ちます。
【まとめ|奥歯の強さは「数字」より「バランス」で考える】
奥歯 セラミック 強度を整理すると、結論はシンプルです。必要なのは「噛む力に合った素材 × 十分な厚み × 噛み合わせに合った作り方」というかけ算であって、素材の数字だけを追うことではありません。丈夫なジルコニアも、透明感のあるe.maxも、それぞれ向いた場面があります。どちらが上というより、「あなたの奥歯の状態に何が必要か」で決まります。
愛知県内で奥歯のセラミックを考えている方は、「自分の噛む力と、確保できる厚み」という見方を持っておくと、説明を聞いたときに納得しやすくなるはずです。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 奥歯にはジルコニアとe.max、どちらが強いですか? 折れにくさの数字では、丈夫なジルコニア(約900〜1200MPa)が、e.max(約360〜460MPa)を上回ります。ただし強いほうが必ず良いとは限りません。噛む力の大きさ、確保できる厚み、相手の歯との関係から、合うほうを選びます。
Q2. 奥歯のセラミックは、どのくらいもちますか? 研究では、奥歯の一体型ジルコニアの被せ物が残っていた割合は5年で95.5%・10年で86.0%、e.maxは5年で約98.5%と報告されています。ただしこれは大勢の平均で、あなたの口の状態・作り方・お手入れによって変わり、保証された数値ではありません。
Q3. 食いしばりがあっても、奥歯にセラミックはできますか? 最近の研究では、寝ている間の食いしばりのあるなしで、3年のもちに大きな差は出ていません。ただし、厚みをしっかり確保することや、ナイトガード(寝るときにつける歯の保護装置)など、力をやわらげる工夫が前提になります。詳しくは食いしばりの記事をご覧ください。
Q4. 強い素材を選べば割れませんか? 数字が大きい素材でも、厚みが足りなかったり、噛み合わせが整っていなかったりすると、割れることがあります。割れる仕組みについては、別の記事でくわしく説明しています。
Q5. 保険のCAD/CAM冠と、自費のセラミックでは強さが違いますか? 2024年の改定で、保険の白い被せ物(CAD/CAM冠。樹脂を使ったもの)は奥歯にも使える範囲が広がりました。ただ、たわみやすく、ジルコニアやe.maxとは強さ・すり減りにくさ・見た目が違います。自費のセラミックを選ぶときは、費用・かかる期間・リスク・できることの範囲について説明を受けたうえで、検討することをおすすめします。
この記事と合わせて読みたい
- 「強いはずなのに、なぜ奥歯のセラミックは割れることがあるの?」を知りたい方は → 奥歯は割れやすいか
- 「自分の食いしばりや歯ぎしりでも、奥歯のセラミックはできる?」が気になる方は → 食いしばり・歯ぎしりの方
- 「もともと噛む力が強い気がする」という方は → 噛み合わせが強い人
奥歯の素材選び・作り方・お手入れをまとめて知りたい方は、全体をまとめた → 奥歯のセラミック完全ガイド から読み進めると、それぞれのつながりが見えてきます。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implntology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
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