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家族が付き添う歯科治療のすすめ
名古屋で歯医者に家族が付き添うとき、診療室で本当に起きていること
医療者が話した内容の40〜80%は、診察室を出る前に失われている。2003年に報告された調査の数字です。名古屋で歯科の付き添いを考えている方にお伝えしたいのは、家族の同席が励ましのためではなく、この取りこぼしを二人で拾い直すための手段だということです。この記事では、同席した家族が診療室で実際にしていること、同席が説明の受け取り方をどう変えるのか、逆に一人で受けたほうがよい場面はどこかを、研究の数字をもとに整理します。
この記事でわかること
- 家族の同席は、励ましよりも説明を二人で聞き取るための手段です
- 説明の40〜80%は、その場を離れる前に失われると報告されています
- 同席した家族の6割超は、書く・尋ねる・言い直すという仕事をしています
- 費用や通えなかった事情など、一人で話したほうがよい話題もあります
付き添いと聞いて思い浮かぶのは、手を握る、隣で励ますといった役目でしょう。ところが、お口全体の治療計画を話す場で家族がしていることは、かなり違います。
説明の半分以上は、その日のうちに消えていきます
手がかりになる調査があります(Kessels RPC、2003年、Journal of the Royal Society of Medicine)。医療者が話した情報の40〜80%は説明の直後に失われ、覚えていた内容の半分近くは不正確だったと報告されています。忘れるのは注意力の問題ではなく、一度に受け取れる量を超えているためです。
同じ調査は、不安の強さと記憶の関係も示しています。不安がとても強いときも、関心が薄いときも記憶は落ちます。強い緊張のなかでは注意が一点に集まり、治療の指示のような周りの情報はこぼれます。歯科を長く避けてきた方が、やっと受診できた日の説明を覚えていないのは、無理のない反応です。
「聞けなかった」のではなく「入りきらなかった」だけです
お口全体の相談では、この取りこぼしが一段と起きやすくなります。歯の状態、噛み合わせの見立て、治療の順序と理由、期間、費用の内訳、ほかの選択肢。これだけの話が一度に流れていくからです。
1本の歯の処置なら、覚えるのは「今日抜いた」「何日後に来る」くらいです。全体を一つの設計として治す相談では、覚えるのは処置の名前ではなく、前後のつながりと理由になります。ここが抜けると、数週間後にはなぜその順番なのかが消えます。私はこれを理解不足だとは考えていません。説明する側の組み立ての問題です。
怖さを抱える方は多いのに、付き添いはほとんど使われていません
大人の歯科の怖さについて、複数の研究をまとめた調査があります(Silveira ER, Cademartori MG, Schuch HS, Armfield JM, Demarco FF、2020年、31文献・計72,577人)。何らかの怖さを抱える人が13.8%、強い人が11.2%、とても強い人が2.6%にみられたと報告されています。
歯科大学の附属クリニックに通う大人499人に、対処法を聞いた研究もあります。報告したのはKonneker C, Singh S, Tellez M, Ismail A, Dunne S ら(2025年、Frontiers in Oral Health)です。「友人を連れて行く」を挙げた人は1.3〜2.8%にとどまりました。
怖いと感じる人は珍しくないのに、人を連れて行く方法はほとんど選ばれていません。付き添いは大人がすることではない、という受け止め方があるのだと思います。自分の怖さがどこに集まっているかを言葉にする入り口は、別の記事にあります。
いきなり治療の話をせず、まず話すだけの回を作る受け方もあります。その回なら、家族に来てもらう気の重さも軽くなります。
数値でみる、付き添いの家族が実際にしている4つの仕事

では、同席した家族は診療室で何をしているのでしょうか。ここは推測ではなく、観察したデータがあります。
高齢の方の外来では、4割が誰かと来ています
65歳以上の公的保険の加入者12,018人を調べた研究があります(Wolff JL, Roter DL、2008年、Archives of Internal Medicine)。38%が受診に同席者を連れていました。内訳は配偶者が53.9%、成人した子が31.9%で、医療の専門職は1%未満です。付き添いは特別な事情がある人だけの受け方ではなく、高齢の方の外来ではおよそ4割を占めるふつうの形だと分かります。
目を留めたいのは、その同席者の6割を超える人が、座っているだけではなかったという点です。
| 同席者の役割 | 実際にしていた割合 | 効いてくる場面 | 頼むときの注意点 |
|---|---|---|---|
| 指示や説明を書き留める | 44.1% | 治療の順序と理由を聞く回。持ち帰って読み返せる | 書くことに集中すると本人の表情の変化を見落とす。記録役と見守り役は分ける |
| 本人の体のことを伝える | 41.6% | 飲んでいる薬や過去の治療を思い出せないとき | 答えられる場面まで代わりに話すと、本人の言葉が記録から消える |
| その場で質問する | 41.1% | 話が専門的になり、本人が質問しにくいとき | 質問が家族の関心に寄りすぎると、本人の不安が後回しになる |
| 説明を分かりやすく言い直す | 29.7% | 用語が続いて理解が追いつかないとき | 言い直しが誤って伝わることもある。その場で確認すると安全 |
「一緒にいてほしい」ではなく、役割を一つ頼みます
この4つは、そのまま家族に何を頼むかのリストになります。付き添いをお願いするとき、多くの方は「一緒にいてほしい」としか伝えません。しかし「今日は書く役をお願い」と具体的に伝えるだけで、同席の効き方はまったく変わります。
書く役を頼まれた家族は、聞き逃した部分をその場で聞き返します。質問役なら、本人が黙ったところで代わりに手を挙げます。役割が決まっていないと、どちらも起こりません。
二人で聞けば、二人ぶんの記憶が残ります
同席の効果は、記憶の面でも確かめられています。65歳以上のがんの患者100人と同席者71人を調べた研究があります。報告したのはJansen J, van Weert JC, Wijngaards-de Meij L, van Dulmen S, Heeren TJ, Bensing JMら(2010年、Psycho-Oncology)です。患者と同席者を一組にして合わせると、思い出せた量は単独のときより多かったと報告されています。付き添いのいない患者では、思い出せた情報の総量そのものが少なくなっていました。
歯科で確かめた研究ではないので、そのまま当てはめることはできません。それでも、本人が全部覚えなければならないという前提を外してよい根拠にはなります。私は説明の場で、覚えきれなくて構わないとお伝えするようにしています。覚える責任を患者さんに背負わせる説明は、それ自体が負担になるからです。
先ほどのWolff & Roterの研究では、同席者が自分から関わった患者ほど、医師の説明や接し方を高く評価していました。その結びつきは、体の調子がいちばん悪いと答えた層でもっとも強く出ています。状態が重い人ほど、同席者の存在が説明の受け取り方を変えていたということです。
診療中の「止める合図」を見届ける役もあります
書く・尋ねる以外にも、家族にしか担えない役割があります。処置の途中で本人がつらくなったとき、その変化に最初に気づくのは、多くの場合いちばん近くにいる家族です。あらかじめ合図を決めておく取り決めは、別の記事で詳しく扱っています。合図があることを家族も知っていれば、本人が迷ったときに背中を押してもらえます。
なお、1回の治療を長くまとめるか、短く分けて回数を増やすかで、付き添いをお願いする回数も変わります。家族の仕事や生活の都合まで含めて考えるので、この選び方は付き添いの組み立てと切り離せません。
付き添いが裏目に出る場面と、一人で話したほうがよい話題

同席は、連れて行くほどよいというものではありません。はっきりした限界と副作用があります。
家族がいると、言いにくくなる話題があります
同席者について、複数の研究をまとめた調査があります(Troy E, Doltani D, Harmon D、2019年、Irish Journal of Medical Science、1,094件から20研究を採用)。同席者は自分で体を管理する力を高める助けになる一方で、情報のやり取りを狭めることがあると指摘されています。とくに言いにくい話題で、その傾向がはっきり出たと報告されました。著者らは診療科や場面による差が大きく、まとめて語るには慎重であるべきだとしています。
歯科の相談で言いにくい話題は、だいたい決まっています。費用をどこまで出せるか。何年通えなかったか。口の中を見られることへの抵抗。家族の前では言いにくい事柄が、そのまま治療計画を左右する情報になっています。
付き添う家族のほうが緊張していることもあります
もう一つの副作用は、家族の緊張が本人に伝わることです。子どもを対象にした比較試験があります(Yigit T, Gucyetmez Topal B, Ozgocmen E、2022年、Clinical Child Psychology and Psychiatry、160人)。この試験では、親の同席が歯科医師による行動の評価を下げたと報告されています。不安の強い親に付き添われた子は、心拍数が高くなっていました。ただし行動の評価そのものには、親の不安の強さによる差は出ていません。
子どもの結果をそのまま大人に当てはめることはできません。ただ、付き添いに来た家族のほうが動揺している場面は、大人の診療でも起こります。同席する家族への説明も、治療の組み立ての一部だと考えています。
音や匂い、体の反応がある方は、順番が変わります
不安の中身によっては、付き添いより先に手を打つべきことがあります。診療室の音や匂いが引き金になっている方は、環境の側の調整が先です。過呼吸やパニック発作を起こしたことがある方は、発作が出たときの対応を先に決めておく必要があります。器具が口に入った瞬間に強い反射が出る方は、体の向きや器材の工夫が主役になります。
家族に来てもらうことは、これらの代わりにはなりません。体の反応への手当てを組んだうえで同席をお願いする、という順番が自然です。
付き添いを決める前に、ご自身で整理しておけること
- ☑ どの回に来てもらうか。毎回の同席は家族の負担が大きいので、検査結果と治療計画を聞く回に絞ると続きます
- ☑ 何を頼むか。書く・尋ねる・言い直す・見守るのうち、役割を一つ決めておくと家族も動きやすくなります
- ☑ 一人で話す時間を残すか。費用の上限や通えなかった事情など、家族の前では出しにくい話題があるなら分けます
- ☑ 家族自身に不安がないか。治療内容に強い抵抗がある家族が同席すると、決める場が緊張します
期間や回数の負担も申し上げておきます。全体を設計して治す進め方は、痛い場所だけを都度治す進め方より、最初の検査と相談に時間を使います。付き添いをお願いする回数も増えます。名古屋で歯医者に家族の付き添いを考えている方には、家族の予定も含めて無理のない配分になるかを、最初の相談で一緒に確かめていただきたいと思っています。
ゴールを決める日に、誰がその場に座っているか
治療計画の説明は、私にとって治療そのものと同じ重さを持つ仕事です。その理由は、私が受けた教育の形にあります。
順序の説明こそ、二人で聞く価値があります
米国の大学院で治療計画を学んだとき、授業の大半は一本ずつの治し方ではなく、治療の順序をどう決めるかに使われていました。指導医から繰り返し言われたのは、1本の歯を診る前に、顔と噛み合わせの全体を診ろ、という一言です。当時の私は、順序が技術の一種だとは思っていませんでした。しかしお口全体の患者さんを担当してみると、どの歯から手をつけるかで、最後にたどり着ける形が変わってしまうと分かってきます。
この順序は、説明のなかでもっとも伝わりにくい部分でもあります。処置の名前は覚えられても、なぜその順番なのかという筋道は、その場では追えても翌週には残りません。歯ぐきを整えてから被せ物に入る、抜くかどうかは仮歯で噛んでみてから決める。こうした前後関係は、聞いた直後には納得できても、家に帰ると輪郭がぼやけます。私が家族の同席をおすすめする理由の中心は、ここにあります。順序の説明は、二人で聞くだけの中身を含んでいます。
完成形を先に見てから、最初の1本に触れます
もう一つ、米国で学んで日本に戻ってからも続けている手順があります。お口全体の治療では、完成形の模型を先に作るというやり方です。
治療が終わったときにどういう歯並びと噛み合わせになるのか、模型の形で先に組み上げる。それを患者さんに見ていただき、この形を目指すという合意ができてから、最初の1本に手をつける。ゴールを決めずに走り出さない、という考え方が当たり前のものとして扱われていました。
この手順は、付き添いの話と直結しています。合意したゴールは、その日だけ分かっていれば足りるものではないからです。治療が数か月続くあいだ、患者さんの側で何を目指しているかが保たれていなければ、途中の判断がぶれていきます。模型や画面の映像は、言葉より記憶に残ります。同席した家族にとっても、用語が分からなくても見て判断できる材料になります。
先に挙げたKesselsの調査でも、書面や図を使った説明は、口で話すだけより明らかに残りやすいと報告されています。読み書きが得意でない方を対象にした検討では、絵を添えた場合に思い出せた割合が80%を超えたのに対し、口頭の指示だけでは14%でした。完成形を目で見て共有する手順は、この差を治療計画の説明に持ち込む方法だと考えています。
説明の場そのものを作り込みます
名古屋・伏見の当院では、カウンセリングルームは完全個室、診療室は半個室という構成にしています。治療計画と費用の相談は、周りに声が届かない場所で行うほうが、話せることが増えるからです。ご家族に同席いただく回も、この部屋を使います。
CTやお口の中を読み取る機械で得た画像を、画面に映しながら話すのも同じ理由です。同席したご家族が、いま何の話をしているかを追えるかどうかで、その方が果たせる役割は変わります。遠方にお住まいのご家族には、Zoomでの相談という形も選べます。
なお、治療中の痛みや意識の抑え方は、同席とは別の判断になります。麻酔そのものの工夫は別の記事で扱っており、眠っているあいだに処置を進める方法もまとめています。付き添いを考えている方は、この2つと組み合わせると、当日の負担の見通しが立てやすくなります。
また、怖さを抱えたままお口全体の治療を始めた場合に、どの段階で何が起きるのかを時間の流れで追った記事もあります。付き添いをどの回にお願いするかを考えるときの目安になります。
まとめ|名古屋で歯医者に家族の付き添いを考えている方へ
家族の付き添いは、気持ちを支えてもらうためだけのものではありません。説明の40〜80%が直後に失われるという現実に対して、聞き取りと記憶を二人で分ける方法です。高齢の方の外来では38%が同席者を連れており、その6割超が記録や質問といった具体的な働きをしていました。特別なことではありません。
一方で、付き添いには限界もあります。費用や、通えなかった期間の事情といった話題は、家族の前では出にくくなると報告されています。同席する回を絞る。役割を一つ決めておく。本人だけで話す時間を残す。この3つを決めるだけで、付き添いは無理のない形になります。
名古屋で歯医者に家族の付き添いを頼むか迷っている段階なら、まず無料相談で構いません。同席いただくかどうかも、その場で一緒に決められます。長く歯科から離れた方が治療を再開するまでの全体像はこちらです。付き添いは再開の手段の一つです。ほかにどんな選択肢があるかを見渡してから決めるほうが、納得のいく判断になります。
よくあるご質問
Q1. 家族の付き添いは、歯科医院に事前に伝えたほうがよいですか。
お伝えいただくほうが確実です。人数によって使う部屋や椅子の並べ方が変わりますし、説明の時間の配分も変わるためです。予約のときに「家族が一緒に来ます」と一言添えていただければ十分です。当院は完全予約制なので、その情報があると当日の流れを組みやすくなります。
Q2. 何年も歯科に行っていません。家族の前で状態を説明されるのが怖いのですが。
その心配は分かります。ご家族の前で口の中の状態に触れてほしくない場合は、あらかじめお伝えください。説明の順番を変えたり、状態の細かい話だけ後から個別にお話ししたりする形が取れます。研究でも、同席者がいると言いにくい話題のやり取りが狭まることがあると報告されています。配慮すべき現実の問題だと考えています。責める言い方をすることはありません。
Q3. 付き添いは毎回必要ですか。家族の仕事を何度も休ませたくありません。
毎回である必要はありません。話す量が多いのは、検査結果と治療計画をご説明する回、そして順序と費用の見通しを決める回です。処置を進める回は、ご本人だけでも支障が出にくいことがほとんどです。どの回に来ていただくかは、治療計画を立てる段階で一緒に決めます。ご家族の仕事の都合を先に伺うこともできます。
Q4. 遠方に住む家族に相談したいのですが、同席は難しそうです。
Zoomでの相談に対応しています。画面越しに検査の画像や治療計画を共有しながらお話しできるので、離れて暮らすご家族にも判断の材料をお渡しできます。書面でお渡しする資料を持ち帰って共有する方法もあります。書面は口で話すだけの説明より記憶に残りやすいと報告されており、その場にいなかった方にも情報が届きやすくなります。他院で提示された計画をご家族と検討したい場合は、セカンドオピニオン外来(5,500円税込)もご利用いただけます。初回のご相談自体は無料です。
※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。検査・診断のうえで、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明し、ご納得いただいてから治療を始めます。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



