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笑うと歯ぐきが見えるのが気になる|原因によって方法が変わります

同じ見え方でも、原因は分かれます

「笑ったときに歯ぐきが見えるのが、昔から気になっています」。歯の色や形のご相談の中で、あとから出てくることの多いお話です。

この状態は、ガミースマイルと呼ばれることがあります。ただ、ひとつの状態を指す言葉ではありません。見え方は同じでも、原因が分かれ、それぞれ対応がまったく違います。

ここを分けずに「歯ぐきを切りましょう」「セラミックで長くしましょう」と進めると、思ったようになりません。原因が別のところにあれば、いくら歯や歯ぐきを触っても変わらないからです。

言いかえると、ガミースマイルは病名ではありません。「笑ったときに歯ぐきが多く見える」という見え方を指す言葉であって、その裏側には性質の違う原因がいくつも隠れています。しかも、ひとつとは限りません。2つ、3つが重なっていることのほうが多いくらいです。

だからこそ、処置を決める前に、しっかり診断する必要があります。ここを飛ばすと、変わらない、あるいは元に戻る、という結果になります。同じ「歯ぐきを整える処置」でも、原因が違えば結果が変わるためです。

当院では、米国の補綴医であるJ.ウィリアム・ロビンスらが体系化したグローバル・ダイアグノーシス(Global Diagnosis)という診断の枠組みを使っています。見た目の印象で判断せず、顔と歯を実際に測ってから分類するという考え方です。

この記事では、何を測るのか、そして測った結果どう分類され、それぞれどんな方法があるのかを説明します。なお、これは治すべき状態と決まっているものではありません。ご本人が気にされているかどうかが、判断の基準です。

何を測るのか|診断で確認する5項目

診断では、笑ったときの歯ぐきの見え方を、次の項目を測ってから分類します。「見た感じ」で決めないのが、この方法の要点です。

①顔の高さのバランス

何を見るか:目のあたりから鼻の下までの長さと、鼻の下からあごの先までの長さを比べます

目安:この2つが、ほぼ同じ長さに収まっているかどうか

分かること:下の部分が長い場合、上あごの骨そのものが長い可能性があります。ここが長ければ、歯や歯ぐきをどれだけ触っても、根本的には変わりません

②上唇の長さ

何を見るか:力を抜いた状態で、鼻の下から上唇の下のふちまでの長さ

目安:女性でおよそ20〜22ミリ、男性でおよそ22〜24ミリとされています

分かること:これより短ければ、唇が短いことが原因の一つになります。この場合も、歯を触っても変わりません

③上の前歯の長さと形

何を見るか:上の真ん中の前歯の、見えている部分の長さと、縦横の比

目安:長さで10〜11ミリ、縦と横の比がおよそ1.2対1

分かること:短ければ、歯ぐきが被さったままなのか、すり減って短くなったのかを見分けます。この2つは、対応がまったく違います

④笑うときの唇の動き

何を見るか:力を抜いた状態から、思い切り笑ったときまでに、上唇がどれだけ上がるか

目安:6〜8ミリ動くのが平均とされています

分かること:これを大きく超えて動く場合、唇が動きすぎていることが主な原因です

⑤歯ぐきのラインと、歯と根の境目

何を見るか:犬歯から犬歯までの歯ぐきの流れ。そして、歯と根の境目が歯ぐきの溝の中に触れるかどうか

分かること:境目が溝の中に触れる場合、歯が生えきる途中で歯ぐきが止まっている状態の可能性があります

なぜ大事か:この確認をしないと、歯ぐきの処置で変えられるかどうかが判断できません

①〜⑤を測ると、原因がどこにあるかが、かなりはっきりします。逆に、測らずに処置を決めている場合、結果は運任せになります。

測った結果は、4つに分かれます

測った結果は、大きく4つに分かれます。組み合わさっていることもあります。

①歯ぐきが被さったまま止まっている場合

歯は正しい位置にあるのに、歯ぐきが本来下がるところまで下がりきっていない状態です。歯が短く見えますが、実際には歯ぐきの中に隠れているだけです。

この場合、歯ぐきと、その下の骨の位置を整える処置で変えられます。ポイントは、歯ぐきだけを切っても戻ってしまうことです。骨の位置を、歯と根の境目から2ミリほど下げたところに合わせる必要があるとされています。処置後、形が落ち着くまで数ヶ月かかります。

②歯と歯ぐきが、一緒に下りてきている場合

歯が伸び出て、その動きに合わせて歯ぐきと骨も一緒に下りてきた状態です。前歯が深く噛み込んでいる方、前歯がすり減っている方に多く見られます。

この場合は、矯正で歯を骨の中に押し込む方法があります。期間は6〜12ヶ月程度が一つの目安です。処置を組み合わせて期間を短くする方法もあります。また、噛み合わせの高さを作り直すことで対応できる場合もあり、全顎治療と相性のよい分類です。

③上あごの骨が長い場合

骨格そのものによるものです。この場合、歯科の一般的な治療では大きく変わりません。根本的に変えるには、あごの骨に対する外科的な処置になります。効果は大きいのですが、期間も負担も大きくなります。

見え方をやわらげる目的で、唇の動きを一時的に抑える方法が併用されることもありますが、骨の長さ自体は変わりません。

④上唇が短い、または動きすぎる場合

歯にも歯ぐきにも問題がなく、唇の側に理由がある状態です。ここははっきりお伝えします。歯を長くしても、歯ぐきを整えても、変わりません。

方法としては、唇の動きを一時的に抑えるもの(効果は3〜4ヶ月程度で戻るとされています)や、唇の位置を変える処置があります。いずれも歯科の一般的な治療とは別の領域になるため、適応や持続について、その分野で確認していただく必要があります。

組み合わせのことが、少なくありません

実際には、①と②が重なっている、②と③が重なっているというケースが多くあります。その場合、どれが主な原因で、どこから手をつけるかで結果が変わります。順番も含めて説明を受けてください。

そもそも、治すべきものではありません

歯ぐきが見えること自体は、病気ではありません。健康上の問題もありません。基準はご本人が気にされているかどうかだけです。「気にしなくていいですよ」とも、「治しましょう」とも、こちらから決めることではないと考えています。

当院でしていること|名古屋の臨床から

処置の名前ではなく、測ることから始めます

顔の高さのバランス、上唇の長さ、前歯の長さと縦横比、笑うときの唇の動き、歯と根の境目の位置。写真と模型、レントゲンを使って、これらを実際に測ります。「歯ぐきを切りましょう」から入ることはしません。

歯科で変えられる範囲を、正直に言います

測った結果、上唇の長さや動き、あるいは上あごの骨が主な原因であれば、歯や歯ぐきを触っても大きくは変わりません。変わらないことを、先にお伝えします。

組み合わせの場合は、順番を決めます

原因が2つ重なっていることは珍しくありません。どれが主な原因で、どこから手をつけるか。順番が違うと、同じ処置をしても結果が変わります。

仮歯で見え方を確認します

歯の長さを変える場合は、仮歯の段階で実際に笑っていただき、写真で確認します。数字ではなく、ご自身の顔で見て決めていただきます。

気にならないなら、触りません

ご相談の中で「言われてみれば気になる」という程度であれば、無理におすすめしません。

名古屋・伏見駅から徒歩2分の当院は完全予約制・半個室で、無料相談とZoom相談をご用意しています。治療を受けることを前提にしないセカンドオピニオン外来(5,500円・税込)もあります。

まとめ|処置の名前より先に、分類を聞いてください

笑ったときに歯ぐきが多く見える状態は、ひとつのものではありません。歯ぐきが被さったまま/歯と歯ぐきが一緒に下りている/上あごの骨が長い/上唇が短い・動きすぎる。この4つに分かれます。

見え方は似ていても、対応はまったく違います。歯科の処置で変えられるのは、主に前の2つです。あとの2つが主な原因であれば、歯や歯ぐきを触っても大きくは変わりません。

そして、これは見た目の印象では判断できません。顔の高さのバランス、上唇の長さ、前歯の長さ、唇の動き、歯と根の境目。測ってから分類します。原因が複数重なっていることも多く、そのときは順番まで決める必要があります。

だから、処置の名前より先に、「私の場合、原因はどれですか」と聞いてください。ここに答えがあるかどうかが、判断の分かれ目です。

よくあるご質問

Q. セラミックを入れれば、歯ぐきは目立たなくなりますか。

A. 歯が短いことが原因であれば、変わります。唇の動きや骨格が原因の場合は、期待したほど変わりません。原因を先に確認してください。

Q. 歯ぐきを切る処置は、それだけで済みますか。

A. 歯ぐきだけを切ると、元に戻ってしまうことがあります。下にある骨の位置まで整える必要があるかどうかは、測って判断します。処置後、形が落ち着くまで数ヶ月かかります。

Q. 矯正で治ると言われました。本当ですか。

A. 歯と歯ぐきが一緒に下りてきている場合は、矯正で押し込む方法が適します。6〜12ヶ月程度が目安です。ただし、他の原因が主であれば、矯正しても変わりません。

Q. ボトックスで治りますか。

A. 唇が動きすぎることが原因の場合、見え方が変わることがあります。ただし3〜4ヶ月程度で戻るとされており、繰り返す必要があります。骨や歯ぐきが原因の場合は、根本的な解決にはなりません。

Q. 子どもの頃から気になっています。年齢的に遅いですか。

A. 遅いということはありません。ただし、分類によって選べる方法が変わるため、まず測って原因を確認するところから始めます。

Q. 全顎治療のついでに、歯ぐきも整えられますか。

A. できることがあります。ただし、歯ぐきを整えると形が落ち着くまで数ヶ月かかるため、被せ物の時期がずれます。全体の予定に組み込んでおく必要があります。

Q. 治さないという選択もありますか。

A. あります。健康上の問題があるわけではありません。ご本人が気にされているかどうかが、唯一の基準です。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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