ブログ
通院回数を減らす集中治療の組み方
名古屋で歯科の集中治療を短期で組むとき、実際に減らせるのは何か
通院回数は、治す歯の本数ではなく工程の数で決まります。名古屋で歯科の集中治療を短期で受けたいとお考えの方に、先にお伝えしたいのはこの点です。まとめて治す方法と回数を分ける方法のあいだに、明確な差は認められなかったという報告があります。どちらを選ぶかは、成績の優劣ではなく生活の都合で決めてよい部分が大きいということです。この記事では、回数を減らす手段を4つに分けて整理します。何が減って何が減らないのかも、あわせて示します。
この記事でわかること
- 通院回数が本数ではなく工程の数で決まる理由が分かります
- 回数を減らす手段が4つあり、それぞれ何が減るのかが分かります
- まとめて治した場合の成績について、報告されている内容が分かります
- 相談の前に、ご自身で決めておけることが決まります
回数を決めているのは、本数ではなく工程の数です
治す歯が10本あっても、来院回数が10回になるわけではありません。回数を決めているのは、独立した工程がいくつ挟まるかです。
たとえば型取り、装置の装着、噛み合わせの調整は、それぞれ別の来院になります。一方で、同じ日に複数の歯の型を取ることは可能です。本数が増えても、工程が増えなければ回数は大きく変わりません。
この見方を裏づけるデータがあります。Altuwaijriら(2024年、Dentistry Journal)は、要介護高齢者272名・362床の総義歯について、製作にかかった来院回数を調べました。上顎で平均4.13回、下顎で平均4.32回です。
注目したいのは、回数を押し上げた要因のほうです。行動や精神面の状態がある方では、5回を超えた割合が62.5%でした。中等度以上の粘膜の異常がある場合と、上下を同時に作る場合も回数が増えています。つまり本数ではなく、条件の複雑さと同時に進める範囲が効いていました。
なおこの研究は長期療養施設の入所者が対象です。一般の外来に通われる方にそのまま当てはめることはできませんが、回数を決める構造の考え方としては参考になります。
「期間」と「回数」は、別の変数です
ここで分けて考えていただきたいことがあります。回数を減らすことと、期間を縮めることは同じではありません。
骨や歯ぐきの治りを待つ期間、インプラントが骨と結合するのを待つ期間は、来院しない期間です。この間は回数もゼロですが、期間はそのまま流れます。
逆に、待つ工程が少ない設計であれば、回数を詰めれば期間も縮みます。ですから最初に確かめるのは、待つ工程がいくつ入るお口なのか、という点になります。
期間そのものが何によって決まるかは、別の記事に整理してあります。
期間の幅が気になる方は先にそちらを読むと、この記事の「回数」の話が立体的になります。
まとめて治しても成績は変わらなかった、という報告があります
「一度にたくさん治療して大丈夫なのか」という不安は、多くの方が持たれます。ここについては、歯周治療の領域で大きな検証があります。
Jervøe-Stormら(2022年、Cochrane Database of Systematic Reviews)は、20件のランダム化比較試験・944名を統合しました。24時間以内に全顎をまとめて行う方法と、1/4顎ずつ回数を分ける従来の方法の比較です。
6か月から8か月時点で、歯周ポケットの深さの差は平均0.03mmでした。付着レベルの差は平均0.10mmです。いずれも統計的な差は認められていません。
著者らの結論は明快です。どちらかが優れているわけではなく、治療法の選択は患者の希望とスケジュールの都合に基づいて決めてよい、と述べています。回数の組み方は、成績を犠牲にする選択ではないということです。
まとめる手段は4つあります。効き方と限界を並べます
4つの手段が、それぞれ違うものを減らします
回数を減らす方法は、1回を長くすることだけではありません。整理すると4系統になります。
| 手段 | 主に減るもの | 報告されている数値 | 注意点・限界 |
|---|---|---|---|
| 全顎を短期間にまとめる | 来院回数そのもの | 従来法との差はポケットで0.03〜0.11mm、有意差なし | 確実性は低〜非常に低い。3研究で処置後の体温上昇の報告あり |
| デジタルの流れに置き換える | 1回あたりの所要時間、型取りのやり直し | 平均4.28分短縮。快適さの評価は13.98ポイント高い | 研究間のばらつきが大きい。減るのは分単位で回数とは別 |
| 静脈内鎮静法を併用する | 心理的な負担、1回で進められる範囲 | 平均処置時間1時間25分。91%が十分な鎮静と回答 | 全身状態の評価が前提。付き添いと当日の行動制限が要る |
| 早く噛ませる設計にする | 待つ期間 | 120か月生存率95.6%(待つ方法94.8%) | 骨の条件が整っている場合に限る。骨吸収はやや多い傾向 |
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます
デジタルに置き換えても、減るのは1回あたり数分です
口腔内スキャナーやCAD/CAMを使うと回数が大きく減る、と期待される方がいらっしゃいます。実際の数字を見ておきます。
Zailaiら(2026年、Cureus)は、臨床研究10件・372名を統合したメタ解析を報告しています。完全デジタルの流れは従来の流れより、所要時間が平均4.28分短いという結果でした。信頼区間はマイナス8.40分からマイナス0.16分です。
4分という数字をどう受け取るかは人によりますが、これで来院回数が半分になることはありません。回数が減るとすれば、それは時間の短縮ではなく工程の統合によるものです。
一方で、患者側の評価には差が出ています。快適さを0から100で答えてもらう指標で、デジタル群のほうが13.98ポイント高い結果でした。全顎の型取りは負担の大きい工程ですので、ここが楽になると1回にまとめられる範囲が広がります。
なお、適合の精度には有意な差が認められていません。インプラントの生存率も両群とも98%を超え、リスク比は1.00でした。速いから雑になる、という関係ではないと読めます。
ただしこの解析は、研究ごとのばらつきが非常に大きいという弱点を持ちます。装置の種類や術者の慣れによって、短縮できる時間が変わるためです。数分という数字は、あくまで平均として受け取ってください。
保険と自費のどちらを軸にするかで、1回にまとめられる処置の範囲は変わります。これは制度の設計によるもので、治療の質の話ではありません。組み合わせ方は別の記事で扱っています。
どちらを使うかで回数の設計も変わりますので、先に読んでおくと判断しやすくなります。
眠っているあいだにまとめる方法の、利点と限界
静脈内鎮静法は、点滴から薬を入れてうとうとした状態を作る方法です。この状態で処置を進めると、心理的な負担が下がり、1回で進められる範囲が広がります。
Cowellら(2024年、British Dental Journal)は、一般歯科診療所での連続100名の記録を調べました。半数以上が不安を理由とした鎮静下の治療で、処置内容にはインプラント埋入や広範囲の修復処置が含まれています。
平均の処置時間は1時間25分でした。患者の受け止めとしては、91%が十分な鎮静だったと回答しています。一方で、50%の方は処置中の記憶が残っていました。完全に眠るわけではない、ということです。
有害事象については、1名が酸素投与を要したと報告されています。拮抗薬の使用はなく、重篤な合併症の報告もありませんでした。安全に使える範囲はありますが、全身状態の評価が前提になります。
工程をまとめると、見積りの項目の並び方も変わります。管理にかかる項目が増える一方、来院に伴う負担は減ります。項目の読み方については別に整理しました。
何が含まれ何が別立てかを先に知っておくと、回数の相談がしやすくなります。
短期集中が向かない場合と、正直にお伝えしていること
待つ工程は、技術では圧縮できません
抜歯した部位の骨が治るのを待つ期間、インプラントが骨と結合するのを待つ期間があります。ここは短縮できる幅が限られます。
早く噛ませる設計を選べば、待つ期間を短くできる場合があります。Rojas-Rojasら(2024年、Applied Sciences)は、178名・296本の抜歯後インプラントを対象としたメタ解析を報告しています。
120か月時点の生存率は、すぐ噛ませる方法で95.6%、待ってから噛ませる方法で94.8%でした。骨吸収は0.55mmと0.51mmで、統計的な差は認められていません。合併症は1,847本中70件、割合にして3.8%でした。
著者らは、待ってから噛ませる方法のほうが骨吸収は少なかったが、すぐ噛ませる方法のほうが成功と生存の率はわずかに高かった、と述べています。質の高い研究が限られるため慎重に読む必要がある、とも書かれています。
いずれにせよ、この設計を選べるのは骨の条件が整っている場合です。条件が合わないお口で無理に待つ期間を削ると、やり直しの工程が増えます。
体への負担と、全身の条件
1回を長くすると、その日の体への負担は増えます。長時間口を開けたままでいることが難しい方、持病の管理上まとまった時間の処置が向かない方もいらっしゃいます。
高血圧や糖尿病などの管理状況によっては、1回の処置量に上限を設けます。服用中のお薬によっても判断が変わります。この場合は回数を分けるほうが安全です。
回数を減らすことが目的化すると、こうした条件が後回しになります。私は、まとめられる範囲を先に確定させてから、残りをどう分けるかを考えます。
もう一つ、まとめる方式が向きにくいのは、途中で方針が変わる可能性が高いお口です。歯を残せるかどうかの判断が、実際に開けてみないと決まらない部位がある場合です。
こうした部位を含めて一気に予定を組むと、判断が変わったときに後ろの工程がまとめて崩れます。先に判断のつく部位から進め、難しい部位を後半に置くほうが、結果として回数のぶれが小さくなります。
支払いのタイミングも、一緒に集中します
短期にまとめると、費用が発生するタイミングも集中します。これは回数を減らす方式の、あまり語られない側面です。
分割の仕組みを使うかどうかで、この集中は緩和できます。仕組みそのものは別の記事にまとめました。
回数を減らす方式を選ぶ前に、支払いの時期の見通しも立てておくと安心して進められます。
年をまたぐかどうかも判断材料になります。医療費控除は1年単位の制度ですので、治療を1年に集中させるか2年に分けるかで、申告の組み立てが変わります。
複数の治療をまとめる場合の考え方を整理してあります。
相談の前に、ご自身で整理しておけること
- ☑ 1回にどれくらいの時間を割けるか。30分と2時間では、組める内容がまったく違います。
- ☑ 通える曜日と時間帯。土日に寄せたいのか、平日の午前がよいのかで設計が変わります。
- ☑ いつまでに、どこまで終わっていたいか。期日がある方は、その日付を先にお伝えください。
- ☑ 通っている診療科と、服用中のお薬。1回の処置量の上限を決める材料になります。
- ☑ 費用の発生時期に希望があるか。年内にまとめたい、来年に回したいという事情も設計に入ります。
私が、通院の組み方をどう設計しているか
最初に決めるのは、順序ではなく完成形です
私は米国インディアナ大学大学院で補綴学を3年間専攻し、MSDとCertificate in Prosthodonticsを取得しました。そこで受けた治療計画の授業は、個々の歯の治し方より、治療の順序をどう決めるかに大半の時間が割かれていました。
米国で驚いたのは診断の文化です。お口全体の治療では、完成形の模型を先に作り、ゴールを患者と共有して合意してから、最初の1本に着手します。ゴールを決めずに走り出さない、という考え方が徹底されていました。
これは回数の設計にそのまま効きます。完成形が決まっていれば、どの工程を同じ日にまとめられるかを机上で並べられるからです。決まっていないと、進めながら判断することになり、来院のたびに次の予定が変わります。
ですから私は、回数の見通しをお伝えする前に、まず完成形を決めます。順番はその後です。
完成形を決める作業には、CTと口腔内スキャナーで集めた情報を使います。骨の量、残っている歯の状態、噛み合わせの高さを一度に並べて見ることができるからです。
この段階で、まとめられそうな工程の見当がつきます。逆に言えば、ここを飛ばして回数だけを先に約束することはできません。
まとめられる工程と、まとめられない工程を分けます
設計するときは、工程を2種類に分けます。人の手で進められる工程と、生体の反応を待つ工程です。
型取り、装置の試し入れ、噛み合わせの調整は前者です。同じ日に複数の部位を進められますし、順番の入れ替えもききます。
抜歯後の治癒、骨の成熟、歯ぐきの落ち着きは後者です。ここは待つしかありません。回数の設計とは、前者をどう束ね、後者をどこに置くかを決める作業になります。
指導医からは、1本の歯を診る前に顔と噛み合わせの全体を診ろ、と繰り返し言われました。全体を先に見ておくと、どの部位を同じ日に触れるかが早い段階で見えます。部位ごとに順番に診ていくと、この束ね方が最後まで決まりません。
仮歯での確認を省くかどうかは、先に決めます
米国では、仮歯は仮の歯ではなく完成形のテスト走行だと教わりました。噛み合わせの高さ、発音、見た目をそこで十分に確かめてから、最終の歯に置き換えます。
この工程は、回数を増やす方向に働きます。ですから回数を減らしたい方には、ここを省く選択肢があるかどうかを最初にお話しします。
省いてよい場合もあります。噛み合わせの高さを変えない設計で、範囲も限られているときです。逆に高さを大きく変える設計では、私は省きません。後から作り直す工程のほうが、回数も費用も大きくなるからです。
私自身、通常は歯科技工士に委ねられる製作の工程まで自分の手で行ってきました。設計から製作まで一人で仕上げた入れ歯は100床近くになります。自分で作ると、図面の上では成立していた形が、口の中では無理をしている場所が見えます。どこを試さずに進めてよいかの線引きは、この経験によるところが大きいです。
どの処置を先に、どれを後に回すかという優先順位そのものは、別のテーマとして扱っています。
回数の設計と順序の設計は隣り合っていますので、あわせて読むと組み立て方が見えてきます。
まとめ|名古屋で歯科の集中治療を短期に組み立てるために
通院回数は、治す本数ではなく工程の数で決まります。まとめて治す方法と分ける方法のあいだに明確な差は認められておらず、患者の希望とスケジュールで決めてよいという報告があります。ですので、回数を減らしたいという希望を遠慮なくお伝えください。
名古屋で歯科の集中治療を短期で受けたいとお考えなら、最初に決めていただきたいのは3つです。1回に割ける時間、通える曜日、そして期日の有無です。この3つが決まっていれば、初回の相談で回数のおおよその見通しをお伝えできます。逆に、この3つが決まっていないまま回数だけを詰めると、途中で予定が崩れやすくなります。
費用と期間の全体像を先に押さえたい方には、まとめ役の記事があります。
この記事は回数の組み方に絞っていますので、費用と期間の関係から入りたい方はそちらが入口になります。
まずは無料相談で構いません。決めてから来ていただく必要はありません。
通院回数をどこまで減らせるかは、お口の状態を見れば具体的に組めます。
よくあるご質問
Q1. 何年も歯医者に行っていません。まとめて治したいと言っても怒られませんか。
怒りません。まとめたいという希望は、通院の設計に必要な情報として受け取ります。経緯をうかがうことはありますが、責めるためではありません。名古屋市中区栄の当院は、カウンセリングルームが完全個室で、診療室は半個室です。完全予約制ですので、待合で長くお待ちいただくこともありません。話すだけの相談から始めていただけますし、Zoomでの相談にも対応しています。
Q2. 一度にたくさん治療して、体に負担はありませんか。
処置の量と全身の状態によります。歯周治療の分野では、24時間以内に全顎をまとめる方法と回数を分ける方法を比べた研究が20件・944名分まとめられており、成績に明確な差は認められていません。ただし3つの研究で処置後の体温上昇が報告されています。持病の管理状況やお薬によっては、1回の処置量に上限を設けます。まとめられる範囲は、検査と全身状態の確認のうえでお伝えします。
Q3. 眠っているあいだに全部終わらせてもらえますか。
完全に眠るわけではありません。静脈内鎮静法はうとうとした状態を作る方法で、100名を調べた報告では50%の方に処置中の記憶が残っていました。同じ報告で、91%の方が十分な鎮静だったと答えています。平均の処置時間は1時間25分でした。1回で進められる範囲は広がりますが、待つ工程まで消えるわけではありません。適応は全身状態を評価して判断します。
Q4. 遠方に住んでいます。何回で終わるか、最初に教えてもらえますか。
おおよその回数はお伝えできます。工程の数から逆算しますので、CTと口腔内スキャナーで現在の状態を確認したあとになります。待つ工程がいくつ入るかで回数が変わりますので、その内訳も一緒にご説明します。途中で回数が変わる可能性があるときは、どの分岐でそうなるかを先にお伝えします。確定した費用と期間、主なリスクは、検査・診断のうえで治療前にまとめてご説明します。
名古屋市中区栄、地下鉄「伏見駅」7番出口から徒歩2分がEden Dental Officeです。CTと口腔内スキャナーを備え、完全予約制で診療しています。保険と自費のどちらにも対応しています。
※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。検査・診断のうえで、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明し、書面でお渡ししたうえで進めます。全身の状態やお薬によっては、1回の処置量を制限する場合や、治療後の継続的な管理が必要になることがあります。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



