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根管治療後の違和感がとれないとき

違和感が残るのは、珍しいことではありません

治療が終わったのに、違和感が残る

根の治療が終わったのに、なんとなく違和感が残る。痛いと言うほどではないけれど、その歯の存在をいつも感じる。誰に相談すればよいのか分からないまま、何か月も過ごされている方がいらっしゃいます。この記事は、そういう方に向けて書きました。まずお伝えしたいのは、これは珍しいことではないということです。そして、原因は根の中にあるとは限りません。

はじめに、どのくらいの方が経験されているのかをお伝えします。

根の治療を受けた歯で、半年たっても痛みや違和感が残っている方は、研究をまとめると1割前後です。少数派ではありますが、まれというほどでもありません。多くは軽い程度で、日常生活に大きな支障が出るものではないと報告されています。

ここでひとつ、正直にお伝えしておきます。研究で調べられているのは「痛み」であって、「違和感」そのものを数えた研究はほとんどありません。ですから、この数字はあくまで目安としてお受け取りください。

次に、時間の経過についてです。

治療の直後は、多くの方に痛みや押したときの違和感が出ます。ただ、それは日を追って軽くなっていきます。1週間ほどで、ほとんどの方が気にならない状態になります。ですから、治療から日が浅い段階での違和感は、経過のうちと考えてよいことが多いのです。

問題は、それが何週間、何か月と続く場合です。

この段階になると、多くの方が「聞いてよいことなのか」と迷われます。痛みと言えるほどではないので、大げさに思われるのではないか、と。ですが、違和感は立派な症状です。ご本人が気になっているという事実そのものが、診るべき理由になります。遠慮なくお伝えください。

そして、違和感を言葉にするのは難しいものです。「じんわりする」「浮いた感じ」「その歯だけ意識してしまう」。どんな表現でも構いません。むしろ、ご自身の言葉のほうが手がかりになります。無理に痛みという言葉に置き換えなくて大丈夫です。

もうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。レントゲンの影が消えるまでには、時間がかかります。根の先の骨が戻るのは、月単位から年単位です。治療の翌月に撮っても、影は残っています。国際的な指針も、判定には最長4年かけてよいとしています。

ですから「まだ影があります」と言われても、それが失敗を意味するとは限りません。この見通しを最初に共有しておくと、途中で不必要に不安を抱えずに済みます。

そもそも根の治療をやり直すことになった経緯や、どんなときに適応になるのかは(→ 再根管治療とは|定義と適応)にまとめています。

違和感の原因を、7つに分けて見ていきます

ひとくちに違和感といっても、原因は分かれます

ひとくちに違和感といっても、原因はいくつかに分かれます。そして、それぞれ対処が違います。

根の先の炎症が残っている

どんな感じ方をするか:叩くと響く。歯ぐきを押すと痛い

どう対処するか:レントゲンで影を確認し、やり直すかどうかを判断する

見落とされた管がある

どんな感じ方をするか:治療したのに症状が変わらない。上の奥歯に多い

どう対処するか:立体的なレントゲンで管の数を確かめる

歯が縦に割れている

どんな感じ方をするか:その歯の一か所だけ歯ぐきが腫れる。深いポケットがある

どう対処するか:画像と、必要なら歯ぐきを開いて直接確かめる

噛み合わせが高い

どんな感じ方をするか:噛んだ瞬間だけ、同じ場所で再現性がある

どう対処するか:当たりを調整する。まず試す価値がある

歯根膜が過敏になっている

どんな感じ方をするか:叩くと違和感。日を追って軽くなっている

どう対処するか:経過をみる。1週ごとの変化を記録する

隣の歯や上顎洞が原因

どんな感じ方をするか:場所をはっきり指させない。冷たいものにしみる

どう対処するか:周りの歯と、鼻の症状もあわせて診る

歯以外に原因がある

どんな感じ方をするか:ぼんやり広がる。処置を重ねても変わらない

どう対処するか:顎の関節や筋肉を含めて診る。歯の治療は増やさない

この7つのうち、上の3つは根の中や歯そのものの問題です。下の4つは、根の外にあります。前の治療の良し悪しとは別の話が、半分以上を占めているということです。

ですから、違和感が残っているからといって、前の治療が失敗だったとは限りません。私が原因の切り分けから始めるのは、この理由からです。

この表でとくにお伝えしたいのが、上から4番目と、いちばん下です。

噛み合わせの高さは、いちばん先に確かめる価値があります。理由は簡単で、確かめるのに歯を削る必要がないからです。紙を噛んでいただいて、当たりが強いところがないかを見る。それだけです。もし高ければ、少し調整するだけで軽くなることがあります。

ただし、正直に申し上げます。噛み合わせの調整が効くことが確かめられているのは、治療の直後、時間にして半日から1日ほどの範囲です。何週間も続いている違和感に効くかどうかは、まだ十分に調べられていません。ですから「調整したのに変わらない」ということも起こります。

そして、いちばん下の行です。治療を重ねても違和感が変わらない方の一部は、痛みの発生源が歯そのものではありません。

根の治療のあとに痛みが残った方を、専門の歯科医師が改めて診た研究があります。そこでは、原因が歯にあった方と、歯以外にあった方が、ほぼ同じくらいの割合でした。歯以外の原因でいちばん多かったのは、顎の関節や筋肉に関わるものです。そして、そのうちの多くの方が、ご自身では顎の不調を自覚していませんでした。

ただし、この研究は対象がごく少数です。「およそ半分が歯以外」と断定できる数字ではありません。それでも、「歯以外のこともある」という可能性を知っておく意味は大きいと考えています。歯の治療を重ねても変わらない理由が、そこにあるかもしれないからです。

治療の成績を左右する条件については、別に整理しています(→ 再根管治療の成功率を上げる臨床条件)。

もうひとつ、上から2番目についても補足します。上の奥歯には、細くて見つけにくい管がもう一本あることが知られています。ここが手つかずのまま残っていると、治療をしたのに症状が変わらない、ということが起こります。ふつうのレントゲンは平面なので、この管があるかどうかは分かりません。立体的なレントゲンで確かめることになります。

この見落としは、前の治療が雑だったから起こるわけではありません。管の位置と細さの問題で、拡大して見なければ入り口すら見えないことがあるためです。ですから私は、原因を調べるだけで、前の治療の良し悪しは申し上げません。

見分ける手がかりと、ご自身で観察できること

原因を絞り込むための手がかり

原因を絞り込むために、いくつかの手がかりがあります。

ひとつ目は、場所をはっきり指させるかどうかです。先ほどの研究では、原因が歯にあった方の多くが「ここです」と指させたのに対し、歯以外が原因だった方は、指させた割合がずっと低くなっていました。ぼんやり広がる感じのときは、歯以外の可能性を考えます。

ふたつ目は、噛んだときだけか、じっとしていても続くかです。噛んだときだけなら、噛み合わせ、歯根膜、割れのあたりを疑います。じっとしていても続くなら、炎症が残っているか、歯以外の原因を考えます。

三つ目は、冷たいものにしみるかどうかです。神経を取った歯は、本来しみません。しみるなら、その感覚は隣の歯か、別の場所から来ている可能性があります。

四つ目は、朝の状態です。起きたときに顎がだるい、こめかみが重い、といったことがあれば、夜間の食いしばりが関わっているかもしれません。歯以外の原因でいちばん多いのが、この領域です。

五つ目が、いちばん大切です。1週間ごとに軽くなっているかどうか。強さそのものより、変化の方向のほうが情報量があります。少しずつ軽くなっているなら、経過をみる根拠になります。変わらない、あるいは強くなっているなら、原因を調べ直す理由になります。

ご自宅でできる確認もあります。指の腹で、その歯を軽く押してみてください。次に、隣の歯も同じように押します。その歯だけ違う感じがするか、隣も同じかを比べます。次に、歯ぐきの側を、頬の上から軽く押してみてください。特定の一か所だけ痛むなら、その情報は診断に役立ちます。強く押す必要はありません。

もうひとつ、歯ぐきに小さなおできのようなものができていないかも見てください。出たり消えたりするものがあれば、それは重要な手がかりです。潰す必要はありません。あることに気づけば十分です。

受診の前に、次のことを整理していただけると診断が早く進みます。分かる範囲で構いません。

  • その歯の根の治療は、いつ終わりましたか
  • 違和感は、噛んだときですか、じっとしているときですか
  • 場所をはっきり指させますか。それとも、ぼんやり広がりますか
  • 1週間前と比べて、軽くなっていますか
  • 朝起きたときに、顎がだるいことはありますか

紙に書いて持ってきていただけると、なお助かります。日付と、その日の感じ方を一行ずつ。これだけで、経過が見えます。記憶に頼ると、悪かった日の印象が強く残るためです。

歯が割れている可能性が気になる方は、支えになる歯がどれだけ残っているかも関わってきます(→ フェルールとは|歯を残せるかの分かれ目)。

名古屋の診療室で、違和感をどう診ているか

米国の補綴教育で学んだ、診断の順序

私は米国Indiana大学大学院で補綴学を3年間学び、MSD(補綴学の修士)とCertificate in Prosthodonticsを取得しました。補綴というのは、被せ物や入れ歯で歯の形と働きを回復させる分野です。

補綴を専門にしてきた立場からこの症状を診るとき、私が最初に疑うのは噛み合わせです。被せ物を作る側から見ると、装置が高いことによる違和感は、日常的に起こりうるものだからです。そして、確かめるのに歯を削らずに済みます。

私が確認している順番は、次の4つです。

  1. 噛み合わせ:紙を噛んでいただき、当たりが強いところがないかを見ます。ここで解決すれば、それ以上は触りません
  2. 割れ:その歯の一か所だけ深いポケットがないか、歯ぐきに腫れやおできがないかを確かめます
  3. 画像:根の先の状態と、見落とされている管がないかを確認します。必要なら立体的なレントゲンを撮ります
  4. 歯以外:ここまでで説明がつかなければ、顎の関節や筋肉を含めて診ます

この順番には理由があります。侵襲の少ないものから確かめるということです。噛み合わせの確認は歯を削りません。割れの確認も、多くは触診と画像で済みます。歯を開けるのは、その先の話です。

逆の順番で進めると、原因が分からないまま歯を開けることになります。開けて何も見つからなければ、削った分だけ失われます。神経を取った歯は、削る余裕が少ないのです。

立体的なレントゲンについても、限界をお伝えしています。金属の土台や詰めた材料があると、画像に乱れが出ます。割れを見つける精度も、条件によって大きく変わります。撮れば答えが出る、という検査ではありません。ですから、症状と画像が食い違うときや、外科的な処置の可能性があるときに限って撮影しています。

正直に申し上げると、この領域には答えの出ていない部分があります。「違和感はあるが、画像には何も写らない」という状態について、どの時点で再治療に踏み切るべきかを示した指針は、私が調べた範囲では見当たりませんでした。ここは、臨床判断の空白です。

もうひとつ、この空白があることを患者さんにお伝えする理由があります。「原因が分かりません」と言われると、多くの方は自分の伝え方が悪かったのではないかと考えられます。そうではありません。医学の側にまだ答えがない領域がある、というだけです。ここを分けてお伝えするだけで、抱えている不安の質が変わります。

ですから当院では、そういう場合に無理に原因を決めつけません。かわりに、経過を記録して並べます。1か月後、3か月後に同じ条件で確かめて、軽くなっているのか、変わらないのかを見ます。動く根拠が出てきた時点で、次の手を検討します。

この進め方をご説明すると、「何もしないということですか」と聞かれることがあります。そうではありません。原因が分からないまま歯を削ることを避けている、という意味です。歯は削るたびに減り、減った分は戻りません。

もうひとつお伝えしているのは、顎の関節や筋肉が関わっている場合、歯の治療を重ねても変わらないということです。かえって、削る量だけが増えていきます。この可能性に早く気づけるかどうかが、その歯を守るかどうかを分けることがあります。

最後に、経過をみる場合の目安もお伝えしておきます。当院では、1か月後と3か月後に確認の予約を取ります。そのあいだに強くなったり、腫れが出たりしたら、予約を待たずにご連絡ください。この線引きを先に決めておくと、ご自宅で判断に迷わずに済みます。

痛みが強く、日常生活に支障が出ている場合は、別の記事もご参照ください(→ 根管治療の痛みが続くときのセカンドオピニオン)。根の先に膿がたまっているとご説明を受けた方は(→ 根の先の膿(根尖病変)と再治療)をご覧ください。

まとめ|名古屋で根管治療後の違和感にお悩みの方へ + よくあるご質問

まとめ|珍しいことではありません

根管治療後の違和感が残るのは、珍しいことではありません。半年たっても残る方は1割前後と報告されています。

原因は、根の先の炎症だけではありません。見落とされた管、歯の割れ、噛み合わせの高さ、歯根膜の過敏、隣の歯や上顎洞、そして歯以外。この7つに分かれます。治療を重ねても変わらない方の一部は、顎の関節や筋肉が関わっています。

ご自身で観察していただきたいのは、場所を指させるか、噛んだときだけか、そして1週間ごとに軽くなっているかどうかです。とくに最後の一つが、経過をみるか動くかを分けます。

そして、原因が分からないまま歯を削らないこと。これが、この症状でいちばん大切だと考えています。神経を取った歯には、削る余裕があまり残っていません。開けて何も見つからなければ、削った分だけが失われます。ですから当院では、侵襲の少ないものから順に確かめ、動く根拠が出てきた時点で次を検討します。

名古屋・伏見の当院では無料相談を行っており、セカンドオピニオン外来は5,500円(税込)です。検査と診断のうえ、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。Zoomでのご相談も承っています。完全予約制・完全個室で、地下鉄「伏見駅」7番出口から徒歩2分です。

根の治療のやり直し全体を先に見渡したい方は、ハブとなる記事から入っていただくと、ご自身の状況を位置づけやすくなります(→ 根管治療のやり直し(再根管治療)【完全ガイド】)。

あわせて読みたい

よくあるご質問

Q1. 治療から2週間たちますが、まだ噛むと違和感があります。失敗でしょうか。

その時期の違和感は、経過のうちであることが多いです。治療の直後は多くの方に押したときの違和感が出て、日を追って軽くなります。1週間ほどで気にならなくなる方が多いのですが、個人差があります。目安になるのは、1週間前と比べて軽くなっているかどうかです。軽くなっているなら、もう少し様子をみてよい状態です。変わらない、強くなっている場合は、噛み合わせの確認からご相談ください。

Q2. レントゲンでまだ影があると言われました。治っていないのでしょうか。

そうとは限りません。根の先の骨が戻るには時間がかかります。月単位から年単位で、国際的な指針も判定には最長4年かけてよいとしています。ですから、治療から数か月の段階で影が残っているのは、経過の途中である可能性が十分にあります。当院では、同じ条件で撮影して並べ、縮小しているかどうかを比べています。

Q3. 何度も治療しているのに変わりません。もう抜くしかないのでしょうか。

抜く前に、確かめておきたいことがあります。原因が歯そのものにあるのかどうかです。治療を重ねても変わらない方の一部は、顎の関節や筋肉が関わっています。この場合、歯の治療を続けても変わらず、削る量だけが増えていきます。当院では、噛み合わせ、割れ、画像の順に確かめたうえで、説明がつかなければ歯以外の可能性を含めて診ます。抜歯の判断は、その先です。

Q4. 違和感があるのに「何ともない」と言われました。気のせいでしょうか。

気のせいとは限りません。画像に写らない原因はいくつもあります。噛み合わせのわずかな高さ、初期の割れ、そして歯以外の原因。どれもレントゲンには写りません。ただ、この状態について「いつ動くべきか」を示した指針は、私が調べた範囲では見当たりませんでした。臨床判断の空白があるということです。ですから当院では、決めつけずに経過を記録し、動く根拠が出てきた時点で次を検討する進め方を取っています。

※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。検査・診断のうえ、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。被せ物や土台を外した際に、むし歯や歯の割れが見つかり、治療計画が変更になる可能性があります。自由診療の場合は保険適用外となります。なお、強い痛みや腫れがある場合は、経過をみるのではなく早めにご相談ください。

関連する内容は以下のページでご説明しています。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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