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名古屋 「何度も入れ歯が合わなかった」上下オールオン4で噛み合わせから再建した48歳男性の症例
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治療前

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治療後

患者背景と症例概要
名古屋でオールオン4治療を検討されている方へ
オールオン4治療では骨の状態、噛み合わせ、補綴設計などを総合的に診断することが重要です。当院のオールオン4治療の考え方や治療の流れについては以下のページで詳しく解説しています。
→ 名古屋でオールオン4治療を検討されている方へ
「今度こそ、しっかり噛める歯を取り戻したい」。長年、虫歯と抜歯を繰り返し、入れ歯ともうまく付き合えずに来られた方にとって、これは切実な願いです。今回ご紹介するのは、過去に何度も入れ歯を試したものの合わず、ご自身で時間をかけて費用を準備し、ようやく上下のオールオン4治療を受けられた患者様の症例です。同じように「入れ歯が合わない」「歯がほとんど残っていない」とお悩みの方が、自分に近い状況かを判断できるよう、診断から設計、手術、長期管理までを担当医の視点で詳しくお伝えします。
来院されたのは48歳の男性です。若い頃から虫歯がひどく、虫歯になっては根の治療をして、最終的に抜歯する、ということを繰り返してこられました。その結果、上下を合わせて残っている歯は9本という状態でした。過去に2〜3回、入れ歯を作って試されたものの、どうしても合わず使いこなせなかったとのことです。喫煙習慣はありません。来院理由は「インプラントで支える、しっかり噛める歯にしたい」という、噛む機能と見た目の回復に対する明確なご希望でした。

入れ歯がうまく合わない背景や、固定式との違いがどこにあるのかは、治療法を比較して理解することが大切です。取り外しの入れ歯と固定式の違いは → オールオン4と総入れ歯の違い で詳しく解説しています。
また、ご自身に近い症例を探したい方は → 名古屋のオールオン4症例一覧 も参考にしてください。
症例まとめ
年齢・性別:48歳・男性
主訴:インプラントで支える、しっかり噛める歯にしたい
これまでの状態:虫歯と抜歯を繰り返し、残存歯は上下合わせて9本。過去に入れ歯を複数回試すも適合せず
既往・生活歴:重度のう蝕の既往あり、喫煙習慣なし
行った治療:上下ともオールオン4(各4本、計8本のインプラント)
使用インプラント:ストローマン BLX を8本
上部構造:ジルコニア
治療期間:約10ヶ月
費用:770万円
初診時の診断
まず行ったのは、残っている歯とあごの骨の状態を正確に把握することです。当院では、インプラントを安全かつ最適な位置に計画するため、CT(歯科用CT)による三次元的な診査・診断を行います。レントゲン(二次元)では分かりにくい骨の幅・高さ・厚み、神経や血管との位置関係まで立体的に確認できます。
CT所見では、上顎は骨の幅が少ない箇所でも6ミリから7ミリは確保されており、骨の高さも一番少ないところで12ミリ、多くの部位で15ミリ以上ありました。インプラントを支える土台としては十分な条件です。ただし、臼歯部(奥歯の領域)では歯槽骨(歯を支える骨)の吸収が進んでいました。歯を早くから失った部位ほど、噛む刺激が伝わらず骨がやせていきます。今回も、長く奥歯を失っていたことが骨の吸収につながっていました。骨が少ないと言われた方の治療の考え方は → 名古屋で骨が少ない場合のオールオン4治療 にまとめています。
ここで重要な診断上の判断がありました。臼歯部で骨が痩せているため、前歯部と同じ向き(垂直)でまっすぐ奥歯にインプラントを埋めようとすると、大量の骨造成(骨を増やす処置)が必要になり、治療期間が大きく延びてしまいます。そこで、奥のインプラントを傾けて埋入する傾斜埋入という方法を選び、骨のある部分を有効に使う計画としました。下顎に骨がない方に対しての考え方は →下顎の骨が痩せている場合の治療選択肢 も参考になります。
傾斜埋入には、もう一つの利点があります。前後に広い範囲でインプラントを配置できるため、少ない本数でも入れ歯を安定して支えやすくなります。今回は奥のインプラントを傾けて埋め、後述するマルチユニットアバットメントという連結部品で向きを補正することで、4本すべての角度を平行にそろえる計画としました。これにより、骨を大量に増やすことなく、力のかかり方として無理のない設計が可能になります。

噛み合わせについては、診断の段階で大きな課題が見えていました。奥歯がすべて失われていたため、上下の適切な噛み合わせの高さ(咬合高径)が保たれていなかったのです。咬合高径とは、上下の歯が噛み合ったときの顎の位置を決める高さのことで、これがずれていると、見た目の不自然さだけでなく、発音のしにくさや顎関節への負担にもつながります。奥歯を長く失っている方は、知らないうちにこの高さが低くなっていることが少なくありません。後述するとおり、この咬合高径をどう設定するかが、本症例の成否を分ける最大のポイントになりました。
治療計画と設計思想
診断結果をもとに、考えられる選択肢を一つずつご説明しました。当院では、いきなり一つの治療法をおすすめするのではなく、それぞれの利点と注意点を並べてご納得いただいたうえで決めることを大切にしています。
検討した治療の選択肢
総義歯(取り外しの入れ歯)
最も体への負担が少ない方法ですが、この患者様は過去に入れ歯が合わなかった経緯があり、「しっかり噛みたい」というご希望に対しては安定性の面で限界がありました。

インプラントオーバーデンチャー(インプラントで支える取り外し式の入れ歯)
少数のインプラントで入れ歯を安定させる方法です。患者様がもともとインプラント付きの入れ歯を希望されていたこともあり、有力な選択肢の一つでした。

オールオン4(取り外さない固定式)
4本のインプラントで固定式の歯を支える方法です。噛む力と安定性、見た目の自然さに優れます。各治療法の利点と注意点は → オールオン4のメリットと注意点 で詳しく解説しています。

なお、歯のない部分に1本ずつ単独でインプラントを埋める案もありました。しかしこの方法は、本数が増えて費用が非常に高額になること、残っている歯と人工の歯が混在することで将来の虫歯リスクが高くなること、審美的な仕上がりに満足いただきにくいことから、今回は見送りました。また、安いオールオン4の治療注意も必要です。詳しくは → 安いオールオン4を選ぶ際の注意点についても参考にしてください。
最終的な決定
ご希望と骨の状態、長期的な噛み合わせの安定を総合的に考え、最終的に上下ともオールオン4を選択しました。上下を固定式で再建することで、奥歯でしっかり噛める機能と、自然な見た目の両立を目指しました。
設計思想(当院の考え方)
本症例で私が最も重視したのは、咬合高径(噛み合わせの高さ)を正しく設定することです。奥歯がすべて失われていたために、もともとの噛み合わせの高さが不正確になっていました。ここを誤ってインプラントを埋入すると、後々、顎関節症などのトラブルにつながる恐れがあります。インプラントの埋入する深さは咬合高径と密接に関係するため、まず「正しい噛み合わせの高さ」を決めることが、すべての出発点になります。
幸い、上顎については前歯部の位置自体が大きく崩れておらず、比較的理想的な位置にありました。そこで上顎は、まず上顎中切歯(前歯の中央)の位置を決め、そこから噛み合わせの平面(咬合平面)を設定し、設計を組み立てることができました。

一方、下顎は噛み合わせの高さを決めてからでないとインプラントの位置が定まらないため、慎重な手順が必要でした。

当院では、こうした補綴主導の設計を徹底するため、通常は技工士に任せる工程も私自身が行い、人工の歯も自分で並べています。完成形である歯の位置から逆算してインプラントの位置を決めることが、見た目・噛み合わせ・清掃性のすべてを両立させる鍵だと考えているからです。インプラントを埋める深さは噛み合わせの高さと直接関係するため、歯を並べる人と埋入を計画する人が別々だと、わずかなズレが積み重なって最終的な仕上がりに影響することがあります。一連の流れを私一人で担うことで、その齟齬をなくすことを意識しています。
具体的な手順としては、まず上顎の仮のオールオン4を入れ、その後、下顎にはいきなりインプラントの位置を決めるのではなく、まず総義歯を作製しました。

総義歯で噛み合わせの高さと歯並びの形を実際に確認し、その高さで問題がないと判断できてから、ようやく下顎のインプラント位置の計画に入っています。遠回りに見えますが、噛み合わせの土台を固めてから埋入位置を決めることが、長期的なトラブルを防ぐ最も確実な方法だと考えています。清掃のしやすさまで含めて設計する考え方は → オールオン4の清掃性について でも触れています。

上部構造(人工の歯の部分)の素材には、強度と見た目のバランスに優れるジルコニアを用いました。傾斜して埋入した奥のインプラントは、マルチユニットアバットメントという連結部品で角度を補正し、4本すべての向きを平行にそろえることで、無理のない力のかかり方になるよう設計しています。
手術と治療経過
治療は、完成形のゴールを決めてから一手ずつ進めました。手術の進め方は、上顎と下顎で大きく異なりました。
手術の概要
上下それぞれに4本ずつ、合計8本のストローマン BLX インプラントを埋入しました。骨造成(GBR)は上下とも行っていません。診断のとおり、骨のある部分を有効に使う傾斜埋入とマルチユニットアバットメントによる角度補正で、骨を増やす処置を回避しています。
上顎は、すべてのインプラントで30Ncm以上の埋入トルク(初期固定の強さ)が得られました。初期固定が良好だったため、抜歯と同時にインプラントを埋入する抜歯即時埋入を行い、さらにその日のうちに仮のオールオン4をセットする即時負荷を行いました。歯のない期間を作らずに見た目と機能を保てるのが、この術式の利点です。上顎の手術は、麻酔から仮のオールオン4のセットまで約4時間でした。

下顎は、4本のうち2本で埋入トルクが15Ncm程度しか得られませんでした。埋入トルクは、インプラントが埋入直後にどれだけしっかり固定されているかの目安です。この初期固定が十分でない状態で、その日のうちに固定式の歯を入れて噛む力をかける(即時負荷)のは、結合を妨げるリスクがあり安全とは言えません。そこで下顎では、無理に当日に歯を入れることはせず、約3ヶ月間は通常の入れ歯で過ごしていただく方針としました。

その後、3ヶ月の治癒期間を経て、インプラントが骨としっかり結合したことを確認してから仮のオールオン4を作製しています。同じオールオン4でも、上顎は当日に歯が入り、下顎は待つというように、骨や初期固定の状態によって進め方を変えることが安全につながります。下顎の手術は約2時間でした。即時に歯が入る場合と待つ場合がある理由は → オールオン4の治療期間 でも解説しています。
術後の経過
大掛かりな手術であったこともあり、術後の腫れと痛みは3〜4日ほど続きました。その後は落ち着いて経過しています。
治療期間と術後評価
上顎は即時に固定式の仮歯が入り、下顎は3ヶ月の治癒を待ってから仮歯を作製し、咬合高径と歯並びを総義歯で確認したうえで最終的な設計に進みました。診断から最終的な上部構造の完成まで、トータルの治療期間は約10ヶ月でした。装着後は、奥歯でしっかり噛める機能と、上下のバランスの取れた噛み合わせ、自然な見た目が回復した状態を確認しています。
長期管理と歯科医師の解説
オールオン4は、入れて終わりではなく、その後の管理で長く快適に使えるかどうかが決まります。
メンテナンス
当院では、装着後も定期的なメンテナンスをおすすめしています。インプラント周囲の歯ぐきの状態確認、噛み合わせのチェック、上部構造のネジのゆるみや清掃状態の確認を行います。固定式であっても、毎日のセルフケアと定期的なプロのケアの両方が欠かせません。お手入れを怠るとインプラント周囲炎という、インプラントを支える骨が失われていく病気のリスクが高まります。
特に本症例のように上下を固定式で再建した場合は、人工の歯と歯ぐきの境目に汚れがたまりやすい部分ができるため、歯ブラシに加えて歯間ブラシやフロスなど、ご自身に合った清掃用具の使い方をお伝えしています。また、噛み合わせは時間とともにわずかに変化することがあるため、定期的にチェックして必要に応じて調整することで、特定のインプラントに負担が集中するのを防ぎます。固定式の歯は一度入れたら終わりではなく、定期的に見せていただくことで小さな変化に早く気づき、長く快適に使っていただけると考えています。
メンテナンスについては、こちらのページから詳細をご確認いただけます。

よくあるご質問
Q. 残っている歯が少なくてもオールオン4はできますか
A. 本症例のように残存歯が少ない場合でも、骨の状態が条件を満たせばオールオン4が選択肢になります。診査診断のうえで判断します。
Q. 骨が少ないと言われましたが治療できますか
A. 骨が痩せている部位があっても、傾斜埋入などで骨のある部分を活かせる場合があります。今回は骨造成を行わずに治療できました。よくある疑問は → オールオン4でよくある質問 にもまとめています。
Q. 手術当日に歯は入りますか
A. 初期固定の強さによります。本症例では上顎は当日に仮の固定式の歯が入りましたが、下顎は安全のため3ヶ月待ってから仮歯を作製しました。
Q. 上下同時に治療できますか
A. 骨や全身の状態を確認したうえで、上下を計画的に進めることは可能です。本症例も上下のオールオン4を一連の計画で行いました。
Q. 治療後はどのくらい長く使えますか
A. お口の環境や全身状態、メンテナンスの状況により変わります。定期的な管理を続けることが長期安定につながります。
歯科医師からのコメント
この症例で私が最も気をつけたのは、やはり咬合高径の問題です。奥歯がすべて失われていたことで、もともとの噛み合わせの高さが不正確になっていました。ここを誤ってインプラントを埋入すると、見た目や噛み合わせだけでなく、顎関節症などのトラブルにつながりかねません。だからこそ、下顎では総義歯で正しい高さと歯並びを確認してからインプラント位置を計画するという手順を踏みました。流行や術式ありきではなく、正しい噛み合わせから逆算して設計することが、長く安定して使える結果につながると考えています。

治療のリスク・副作用・費用・期間
治療期間は本症例で約10ヶ月でした(インプラントが骨と結合する治癒期間を含む)。
費用はオールオン4治療のため自由診療となり、使用する材料や本数、治療内容により異なります。
主なリスク・副作用は次のとおりです。・術後の腫れ・痛み・出血が3日~2週間続くことがあります
・神経損傷のリスク(下顎では下歯槽神経損傷、上顎では上顎洞穿通など)があります
・即時荷重が術中の所見により成立せず、当日仮歯装着を見送る場合があります
・インプラントと骨が結合しない可能性があります
・インプラント周囲炎のリスクがあるため、定期メインテナンスが必須です
・上部構造の破折・ネジの緩み・人工歯の脱離が起こることがあります
・全身疾患のコントロール状況により治療できない場合があります
・喫煙者は予後が悪化する可能性があります
・治療結果・経過・期間には個人差があります
当院では骨量不足症例や重度歯周病症例、多数歯欠損症例など、さまざまなオールオン4治療を行っています。ご自身に近い症例を探したい方は以下の症例一覧も参考にしてください。
→ 名古屋のオールオン4症例一覧
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



