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名古屋|骨が少なくオールオン4が困難な方へ|ザイゴマインプラント+バーオーバーデンチャーで対応した症例
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治療前

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治療後

患者背景と症例概要
名古屋でオールオン4治療を検討されている方の中には、「骨が大きく失われていてインプラントが難しいと言われた」「他院では入れ歯しか選択肢がないと言われた」「口腔外科手術の既往があり、通常のインプラント治療が適応外と説明された」など、骨の高度な欠損を抱えてご相談に来られる方が一定数いらっしゃいます。今回ご紹介する症例は、まさにそうした骨欠損が著しい状況に対し、ザイゴマインプラント(頬骨インプラント)を併用したバーオーバーデンチャーで噛む機能を再建したケースです。
患者様は75歳の女性で、主訴は「上の部分入れ歯を支える歯が揺れてきている、もう限界かもしれない」というものでした。下顎は全ての天然歯が健全に残存しており、虫歯もない理想的な状態です。一方、上顎は前歯部2本と左右臼歯部各2本の計6本にて部分入れ歯を支えている状況でした。

患者様には数年前に口腔がんの既往があり、その治療として残存していた6本以外のすべての歯と、上顎骨の一部を切除されています。それ以降、6本の歯で部分入れ歯を支えながら数年間生活されてこられましたが、支台となっている歯にも徐々に動揺が生じ、「そろそろ限界」と感じられて当院へご相談に来られました。

本症例のように骨が大きく失われた症例での治療選択肢については、
もあわせてご参照ください。
症例まとめ
・患者:75歳 女性
・主訴:上の部分入れ歯が揺れる、しっかり噛める入れ歯がほしい
・既往:口腔がん術後(上顎残存6本以外と上顎骨の一部を切除)
・上顎の状態:前歯部2本+左右臼歯部各2本の計6本残存、支台歯に動揺、上顎骨高度欠損
・下顎の状態:天然歯が全て健全に残存
・最終治療方針:上顎にザイゴマインプラント3本+通常インプラント1本=計4本でバーオーバーデンチャー
・使用インプラント:ストローマン Zygomatic Implant(ザイゴマ3本)/ストローマン BLX(通常1本)
・骨造成:なし(ザイゴマ併用により回避)
・手術:全身麻酔下、大学病院口腔外科にて実施
・手術時間:約3時間
・治療期間:約10ヶ月:診断・上顎残存歯抜歯・ザイゴマインプラント埋入・3ヶ月の治癒期間・バーオーバーデンチャー製作までを含む
・費用:210万円
初診時の診断
初診時には、口腔内診査、現使用部分入れ歯の評価、パノラマX線、歯科用コーンビームCT、咬合診査、口腔がん術後の解剖学的変化の評価を行いました。本症例の診断における最大のテーマは「失われた上顎骨に対して、どこを支点としてインプラント治療を成立させるか」という点でした。
CT所見と骨条件
CT計測の結果、上顎は口腔がん手術による骨切除の影響で、特に臼歯部の骨高径・骨幅が大きく不足していました。通常のインプラントを上顎臼歯部に垂直的に埋入する場合に必要な骨高径は確保できておらず、加えて上顎洞底までの距離も極めて短い状態でした。一方、前歯部(残存6本のうち2本があった部位)は比較的骨が残されており、通常インプラントを1本埋入できる条件はかろうじて確保されている所見でした。

骨量が不足する症例での対処法は、
のページにまとめています。
上顎で骨が少ない場合の6つの選択肢
上顎の骨が少ないケースでインプラント治療を成立させるための選択肢は、臨床的に大きく6つあります。
・垂直的・水平的に骨を増やす骨造成手術
・上顎洞底に骨を作るサイナスグラフト
・短いインプラントを使用する
・インプラントを傾斜させ、骨のある部位から骨のある部位へ支持を持ってくる
・ザイゴマインプラント(頬骨インプラント)の使用
・通常インプラントとザイゴマインプラントの併用
本症例では患者様のご年齢、「なるべく早く噛める歯がほしい」というご希望、骨欠損の範囲を総合し、ザイゴマインプラントを併用する方針を検討することになりました。
残存歯と咬合状態の評価
上顎残存6本は、長年の不適合義歯使用と支台歯への負担蓄積により動揺度が増していました。一方、下顎は天然歯が全て健全に残存しており、垂直的な咬合高径、前歯部によるリップサポートなど、補綴設計のための「理想的な指標」がそのまま温存されているという、極めて稀少な好条件がありました。本症例では、下顎の天然歯列をそのまま咬合再建の基準点として活用できる点が、診断上の大きな利点となりました。
治療計画と設計思想
ご提案した2つの選択肢
患者様のご希望「しっかり硬いものを噛める入れ歯がほしい」を踏まえ、現実的な選択肢を2つに整理してお示ししました。
①オールオン4
固定式の補綴を4本のインプラントで支える方法です。咀嚼能率は最も高くなりますが、ご高齢で手指の器用さが徐々に変化していくことが想定される本症例では、固定式特有の清掃難度がメンテナンス上のリスクになります。また、インプラント周囲組織を健康に保つために必要な角化歯肉が本症例では大きく不足しており、固定式での長期管理にハードルがありました。費用面でもご予算の範囲を超える選択肢でした。総入れ歯との違いは、
のページで詳しく整理しています。
②インプラントオーバーデンチャー(IOD)
取り外し式の入れ歯をインプラントで支える方法です。清掃性に優れ、メンテナンス時の部品交換も容易です。本症例ではご年齢、角化歯肉の不足、ご予算を踏まえ、IODのほうが長期予後に有利と判断しました。
インプラントオーバデンチャーを上顎に使用した他の患者様の治療もこちらでご確認頂けます。
→ 上顎に残った3本を抜歯し、4本のインプラントによるオーバーデンチャーで「見た目」と「使いやすさ」を両立した症例|67歳男性
なぜザイゴマインプラント+バーオーバーデンチャーを選択したか
患者様のご希望と臨床条件を統合した結果、IODの中でも「ザイゴマインプラントを併用するバーオーバーデンチャー」を最終選択しました。決定の根拠は次の通りです。
・上顎臼歯部の骨欠損が大きく、通常のインプラント埋入には大規模な骨造成が必要となる
・ご高齢のため、骨造成による治療期間の長期化を避けたい
・前歯部の残存骨に通常インプラントを1本埋入可能
・ザイゴマインプラントは骨造成なしで頬骨にインプラント支持を獲得できる
・患者様当初のご希望「オールオン4のようなしっかりとした維持」を、IOD形式で再現するためバー連結を採用
ザイゴマインプラントは、頬骨を支持源とする特殊なインプラントで、骨が大きく失われた症例でも即時に支持を獲得できる強みがあります。一方で外科侵襲が大きく、長期合併症のリスクも通常のインプラントとは異なるため、当院では第一選択としては推奨しておりません。本症例では患者様にすべての合併症と将来起こり得る副作用を十分にご説明し、ご理解いただいたうえで採用に至りました。
設計思想
下顎天然歯列を基準にしたデジタルワックスアップ
本症例では、下顎の天然歯列がそのまま咬合再建の指標として使えるという稀少な好条件がありました。現在の上顎残存歯と下顎の歯列をスキャンし、下顎を基準にデジタル上で理想的な人工歯配列を行いました。このデジタルワックスアップから逆算する形で、ザイゴマインプラント3本と通常インプラント1本の最適埋入位置を決定しました。

埋入位置と前後的配置
・前歯部に通常インプラント(ストローマン BLX)1本
・左右臼歯部相当にザイゴマインプラント(ストローマン Zygomatic)計3本(左1本・右2本もしくはその逆、骨条件と頬骨形態に応じて配置)
合計4本のインプラントで、前歯部から臼歯部まで広く支持を分散させる設計です。骨のある前歯部からの通常インプラント1本と、骨欠損部の支持を頬骨に求めるザイゴマ3本を組み合わせることで、骨造成なしで「前後・左右に分散した4本支持」を実現しました。

カンチレバー設計と咬合接触の設計
対合が全ての天然歯であるという条件は、補綴物にとっては力学的に厳しい条件です。インプラント側には歯根膜がないため、咬合力が直接骨と頬骨に伝達されます。本症例では、最後方部の咬合接触をやや弱めに設定し、側方運動時にはバーオーバーデンチャー全体に均等に力が分散するよう調整しました。
上部構造素材と固定方式:バーオーバーデンチャーの採用
患者様の「オールオン4のようなしっかりとした維持」というご希望に応えるため、各インプラントをバーで連結し、そのバー上に3個のロケーターを配置するバーオーバーデンチャー設計を採用しました。

通常のロケーター単独IODと比較した利点:
・全インプラントが剛性連結されるため、各インプラントへの負荷分散が均一化される
・取り外し式でありながら、固定式に近い剛性と維持力が得られる
・ロケーター3個配置により、着脱の容易さと十分な維持力を両立
注意点:
・垂直的・水平的に十分な補綴スペースが必要(本症例では骨欠損により補綴スペースが確保されていた)
・バー下面の清掃に注意が必要
このバーオーバーデンチャーの設計は、人工歯配列が完成した最終形態をスキャンし、そこから逆算してバーの位置・形状をデジタル設計するという、補綴主導型の徹底したフローを採用しました。

手術と治療経過
手術概要
・埋入本数:合計4本(ザイゴマインプラント3本+通常インプラント1本)
・インプラント体:ストローマン Zygomatic Implant / ストローマン BLX
・GBR(骨造成):なし
・手術環境:全身麻酔下、大学病院口腔外科にて実施
・手術時間:約3時間
ザイゴマインプラントは外科侵襲が大きく、頬骨へ正確に埋入するためには高度な技術と設備が必要です。本症例では大学病院口腔外科と連携し、全身麻酔下で安全に手術を実施しました。
術後経過と治癒期間
術後の腫脹・疼痛は、全身麻酔下の侵襲的手術であったため通常より大きく出る可能性はありましたが、処方薬による疼痛コントロールが奏功し、創傷治癒も概ね順調に推移しました。術後感染・創開などの重大な合併症は認められませんでした。
埋入後の治癒期間は約3ヶ月とし、その間は従来の部分入れ歯を改造した暫間義歯を使用していただきました。
最終バーオーバーデンチャーの製作
3ヶ月の治癒確認後、印象採得を行いました。

咬合採得とロウ義歯試適にて咬合関係と人工歯配列を確定させ、その最終形態をスキャン。スキャンしたインプラント位置・人工歯配列・義歯外形を1つのデジタルソフトウェアに統合し、バーの位置・形状・ロケーター配置を逆算で設計しました。

ここで強調したいのは「先にバーを設計して、それに合わせて人工歯を並べる」のではなく、「最終的な歯列の形状から逆算してバーを設計する」という補綴主導型の順序です。この順序を徹底することで、見た目・噛み合わせ・清掃性のすべてを最終形態の中で成立させることができます。
最終的に、バー上に3個のロケーターを配置したバーオーバーデンチャーが完成し、装着・調整を経て治療を終了しました。

長期管理と歯科医師の解説

定期メンテナンス
ザイゴマインプラント・通常インプラント・バー・ロケーター・義歯と、構成要素が多い本症例は、定期メンテナンスがとりわけ重要です。当院では3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスを推奨しており、本症例の患者様も継続的に通院されています。メンテナンスでは、インプラント周囲組織のプロービング、X線によるインプラント周囲骨の評価、バーの適合と緩みの確認、ロケーターインサートの摩耗確認、義歯の適合と咬合の再評価、専門的なクリーニングを行います。
すべてのインプラントがバーで連結されているため、バー下面の清掃には特に注意が必要です。患者様にはワンタフトブラシ・スーパーフロス・歯間ブラシの使い分けを丁寧にご説明し、ご自宅でのケアを継続いただいています。
よくあるご質問
質問1:骨が大きく失われていてもインプラント治療は可能ですか
症例によりますが、ザイゴマインプラントや傾斜埋入、サイナスグラフトなど複数の選択肢があります。本症例のように口腔がん術後の高度骨欠損でも、ザイゴマインプラントを併用することで治療を成立させられる可能性があります。
質問2:オールオン4とバーオーバーデンチャーの違いは何ですか
オールオン4は固定式の補綴を4本のインプラントで支える方法です。バーオーバーデンチャーは取り外し式の入れ歯を、インプラントをバーで連結した上に装着する方法で、固定式に近い剛性と維持を得つつ清掃性を確保できる中間的設計です。
質問3:ザイゴマインプラントのリスクは何ですか
頬骨に長いインプラントを埋入するため、外科侵襲が通常より大きく、上顎洞炎、頬部の腫脹、まれに眼窩への影響などのリスクがあります。当院では第一選択としては推奨せず、骨造成が困難な症例でのみ慎重に検討します。
質問4:ご高齢でも治療は可能ですか
全身状態・口腔衛生管理能力・治療への理解とご意欲が整っていれば、ご高齢であっても治療は可能です。本症例では75歳という年齢を考慮し、固定式ではなく取り外し式のバーオーバーデンチャーを選択しました。
質問5:費用は分割払いに対応していますか
当院ではデンタルローンや分割支払いに対応しています。詳細はカウンセリング時にご相談ください。自由診療であるため医療費控除の対象となりますので、領収書の保管をおすすめします。
歯科医師からのコメント
今回の症例で私が最も重視したのは、「ご希望を最大限尊重しつつ、長期予後にとって最も合理的な設計を選ぶ」という点でした。患者様は当初オールオン4を強くご希望されていましたが、ご年齢、角化歯肉の不足、ご予算、口腔がん術後の骨欠損という複数の要素を統合的に判断し、最終的にザイゴマインプラントを併用したバーオーバーデンチャーをご提案しました。
ザイゴマインプラント自体は、当院として第一選択にはしない治療です。外科侵襲が大きく、長期合併症のリスクも通常のインプラントとは性質が異なります。本症例では患者様ご自身の強いご希望と、骨造成では治療期間が長期化しすぎるという臨床的判断が一致したため、合併症と将来のリスクをすべてご説明したうえで採用しました。
設計上の注意点として、対合が全て天然歯である症例では、補綴側に強い咬合力がかかることを前提とする必要があります。本症例ではバー連結によりインプラント間の応力分散を図り、ロケーター3個配置で維持力と着脱の容易さを両立しました。
長期予後については、定期メンテナンス、バー下面の徹底した清掃、ロケーターインサートの定期交換、年1回のX線評価を継続することで、長期にわたって機能を維持していくことを目指していきます。
治療のリスク・副作用・費用・期間
治療期間:約7〜9ヶ月(診断・抜歯・ザイゴマインプラント埋入・3ヶ月治癒期間・バーオーバーデンチャー製作・装着・調整までを含む。患者様の経過により変動します)
費用:自由診療
本症例のような特殊症例では、使用するインプラントの種類・本数、上部構造の素材、バー設計の有無により費用が大きく変動します。カウンセリング時に詳細をご説明いたします。
主なリスク・副作用:
・術後に腫れや疼痛が生じる可能性があります
・創部の感染、出血の可能性があります
・ザイゴマインプラント特有の合併症(上顎洞炎、頬部腫脹、まれに眼窩への影響など)の可能性があります
・術前の骨条件によっては骨造成が必要となる場合があります
・インプラント周囲炎を発症する可能性があるため、定期的なメンテナンスが不可欠です
・バー・ロケーターインサート・義歯の修理や調整が定期的に必要となります
・対合天然歯の咬耗、人工歯の咬耗が経年的に進行する場合があります
・全身状態や服薬状況により治療計画の変更が必要となることがあります
名古屋でオールオン4治療を検討されている方へ
オールオン4治療では、
・骨の状態
・噛み合わせ
・補綴設計
・インプラントの埋入位置
などを総合的に診断することが重要です。
当院のオールオン4治療の考え方や治療の流れについては以下のページで詳しく解説しています。
当院では骨量不足症例や重度歯周病症例、多数歯欠損症例、口腔がん術後症例など、さまざまな治療を行っています。
ご自身に近い症例を探したい方は以下の症例一覧も参考にしてください。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



