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20年前の銀歯はどうなっている?経年変化
変わっているのは、金属ではなく「境目」と「歯」です
「学生のころに入れた銀歯が、まだそのままです」。そう伺うことがよくあります。20年、30年と使えているのは、それ自体すごいことです。ただ、外から変わって見えなくても、中では確実に変化が起きています。この記事では、年数ごとに何が起きるのかを段階に分けてご説明します。いま何もなくても、知っておく価値のある話だと思います。
はじめに、どこが変わるのかを整理します。
金属そのものは、ほとんど変わりません。すり減りはしますが、20年で形が崩れるようなことはまずありません。銀歯が長くもつと言われるのは、この点があるからです。
変わるのは、金属と歯のあいだ、そしてその下にあるご自身の歯です。
装置と歯のあいだには、ごくわずかな隙間があります。そこを接着材が埋めています。この層は、唾液に少しずつ溶けます。数年かけて薄くなり、やがて隙間ができます。
そして、歯の側も変わります。歯ぐきは年月とともに少しずつ下がり、金属の縁が外に出てきます。噛む力ですり減り、当たり方が変わります。
身近なもので言い換えてみます。20年前に貼ったタイルのようなものです。タイル自体は割れていなくても、目地は痩せ、下地は湿気を吸っています。表面を見ているだけでは、下の状態は分かりません。
数字でお伝えすると、当院では、銀歯や保険の詰め物・被せ物について、平均すると6年から7年ほどで境目や中にむし歯が再発すると言われています、とご説明しています。20年もっているというのは、平均から見ればかなり長いほうです。
ですから、「銀歯がきれいだから大丈夫」とは言えません。見るべきは金属ではなく、その境目とまわりの歯です。
白くする方法と費用については、別にまとめています(→ 銀歯を白くする方法と費用)。この記事では、いま中で何が起きているかに絞ります。
平均は6〜7年。20年もつ歯は何が違うのか

先に、目安をお伝えしておきます。
当院では、銀歯や保険の詰め物・被せ物について、平均すると6年から7年ほどで、境目や中にむし歯が再発すると言われていますとご説明しています。
ですから、20年もっているというのは、平均から見ればかなり長いほうです。
ここで大切なのは、これがあくまで平均だということです。3年で再発する歯もあれば、20年何ともない歯もあります。年数そのものより、何がその差を作っているのかのほうが大事です。
「何年で交換ですか」というご質問をよくいただきますが、決まった年数はありません。年数を基準にすると、まだ良い状態の歯を外すことにもなりますし、逆に、すでに進んでいる歯を見逃すことにもなります。ですから当院では、年数ではなく状態を見て判断します。
では、20年もった歯は何が違ったのでしょうか。いくつもの条件がそろっていた、というのが答えです。
接着のときに唾液や血液が入らなかった
なぜここが効くのか:くっつく面が乾いた状態で接着できていれば、境目に隙間が残りにくくなります
誰が担う部分か:歯科医院の側。入れた日に決まり、あとからは変えられません
境目がぴったり合っていた
なぜここが効くのか:段差がなければ、汚れがたまる場所ができません。細菌の入り口が生まれにくくなります
誰が担う部分か:歯科医院の側。型取りと製作の精度で決まります
噛み合わせに無理がなかった
なぜここが効くのか:横向きの力が集中しなければ、装置がゆっくり緩んでいくことがありません
誰が担う部分か:歯科医院の側。入れたあとの調整でも整えられます
ご自身の清掃が届いていた
なぜここが効くのか:境目に汚れが残らなければ、隙間ができても、そこから進みにくくなります
誰が担う部分か:ご本人の側。毎日の積み重ねが効きます
だ液の量と食習慣
なぜここが効くのか:だ液が汚れを流し、酸を中和します。間食が多いと、酸性に傾く時間が長くなります
誰が担う部分か:ご本人の側。ただし、だ液の量は体質やお薬にも左右されます
この5つが、どれも欠けずにそろって、はじめて20年という年数になります。逆に言えば、どれか一つでも欠けていれば、平均に近いところで再発します。
そして、上の3つは歯科医院の側、下の2つはご本人の側です。どちらか片方だけでは足りません。丁寧に入れても清掃が届かなければ進みますし、どれだけ丁寧に磨いても、入れた日に隙間ができていれば埋まりません。
この分担を知っておいていただくと、次に装置を入れるときの見方が変わると思います。ご自身が努力する部分と、医院を選ぶ部分が、はっきり分かれているということです。
とくに、いちばん上の条件は入れた日に決まってしまいます。あとからどれだけ丁寧に磨いても、そこにできた隙間は埋まりません。ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
ですから、20年もっているという事実は、その歯にとって条件がそろっていた証拠です。年数だけを理由に外せば、その条件を壊すことになります。
逆に、平均に近いところで再発した経験がある方も、ご自身を責める必要はありません。5つのうち、ご本人が担えるのは下の2つだけです。上の3つは、入れた日と、そのあとの調整で決まっています。
境目から始まるむし歯の進み方は、別に詳しくまとめています(→ 二次カリエス(被せ物の下の虫歯)とは)。装置を入れるときに何が起きているかも、そちらで扱っています。
いま確かめられるサインと、ご自身で見られること
替える理由があるかどうかを、状態ごとに整理します。年数ではなく、ここで判断します。
境目に段差がある
何を意味しているか:接着材の層が痩せた、あるいは縁が浮いている。汚れがたまる場所ができている
いま動くべきか:動く理由になります。外して確かめる価値があります
動かない場合にすること:―
レントゲンに影がある
何を意味しているか:装置の下でむし歯が進んでいる可能性が高い
いま動くべきか:動く理由になります
動かない場合にすること:―
しみる・噛むと痛む
何を意味しているか:神経に近いところまで進んでいる、あるいは歯にひびがある
いま動くべきか:優先して確かめます
動かない場合にすること:―
その歯だけ高く当たる
何を意味しているか:まわりの歯がすり減り、銀歯だけが残っている。力が集中している
いま動くべきか:まず当たり方の調整から。外さずに済むことがあります
動かない場合にすること:調整して経過をみる。数か月後に再確認します
どれも当てはまらない
何を意味しているか:いまのところ落ち着いている状態です
いま動くべきか:年数だけを理由に外す判断はしません
動かない場合にすること:次に見る日を決めて、段差と影を定期的に確かめます
いちばん下の行が、この記事でお伝えしたいところです。20年もっている銀歯は、条件が良かったということでもあります。それを年数だけを理由に外せば、その分だけ歯が減ります。
もちろん、白くしたいというご希望があれば、それは別の理由になります。ただ、その場合も削る量を先に知っていただいたうえで決めていただきます。方法と費用については別にまとめています。
専門の器具がなくても、確かめられる点があります。
ひとつ目は、境目を舌でなぞることです。その歯と歯ぐきの境目を、舌先でぐるりとなぞってみてください。段差や引っかかりを感じなければ、まずは良い状態です。感じるなら、そこに汚れがたまる場所ができています。
ふたつ目は、糸ようじです。その歯だけ毎回同じ場所で引っかかる、通したあとに糸がほつれる。こうしたことがあれば、境目に段差か欠けがある可能性があります。
三つ目は、境目の色です。金属と歯のあいだが、細い黒い線のように見えることがあります。これは金属の色が透けている場合と、その下でむし歯が進んでいる場合の両方がありえます。見ただけでは区別できませんが、以前より濃くなった感じがあれば、それは情報になります。
四つ目は、食べ物の挟まり方です。以前は挟まらなかったのに、最近その歯だけ挟まる。装置と隣の歯との接触が変わっている合図です。
五つ目は、しみるかどうかです。冷たいものが、その歯だけしみる。神経が残っている歯であれば、これは重要なサインです。ただし、神経を取った歯では出ません。
鏡で見るときは、光の条件をそろえると分かりやすくなります。窓際の自然光と、色みの偏りが少ない室内の照明の二か所で、同じ角度から見比べてみてください。洗面所の暖色系の照明では、変色が実際より沈んで見えます。
スマートフォンで、月に一度くらい同じ場所を撮っておく方法もあります。同じ角度、同じ明るさで撮っておくと、変わっているのか止まっているのかを比べられます。記憶だけに頼ると、少しずつの変化には気づけません。
受診の前に、次のことを整理していただけると診断が早く進みます。分かる範囲で構いません。
- その銀歯は、いつごろ入れましたか。おおよそで構いません
- 境目に段差や黒ずみを感じますか
- その歯だけ糸ようじが引っかかりますか
- 食べ物が挟まりやすくなりましたか
- 冷たいものがしみますか。神経は残っていますか
1番目には理由があります。年数そのもので判断するわけではありませんが、平均の6年から7年を大きく超えているなら、条件がそろってきた歯だと分かります。「学生のころ」「子どもが生まれる前」といった記憶でも十分です。
もうひとつ、金属アレルギーについて触れておきます。ご心配な方は、その旨をお伝えください。ただ、心当たりがない場合に、金属だからという理由だけで急いで替える必要はありません。替えるために歯を削ることになるからです。ご不安があれば、まず検査で確かめる方法もあります。
そして、20年前の銀歯を診るときに私がいちばん気をつけているのは、外す判断を急がないことです。長くもったという事実は、その歯にとって良い条件がそろっていた証拠でもあります。その条件を壊さずに、必要なところにだけ手を入れる。これが、次の20年につながる進め方だと考えています。
名古屋の診療室で、古い銀歯をどう診ているか
もうひとつ、20年という年数について補足しておきます。この数字が語られるのは、それだけ長く使われてきた材料だからです。金属の被せ物や詰め物は、日本の歯科で長く標準的に使われてきました。いま50代、60代の方のお口の中には、10代や20代のころに入れたものが残っていることも珍しくありません。
その間に、材料も接着の技術も変わりました。ですから、いま入っている銀歯と、これから入れる装置とでは、前提が違います。20年前は、薄くても壊れにくい金属を選ぶことに合理性がありました。いまは、接着で留める設計が選べます。
この違いを知っておいていただくと、「なぜいまなら別の選び方ができるのか」が腑に落ちると思います。前の治療が古い方法だった、という意味ではありません。その時代の最善だった、というだけです。
私は米国Indiana大学大学院で補綴学を3年間学び、MSD(補綴学の修士)とCertificate in Prosthodonticsを取得しました。補綴というのは、被せ物や入れ歯で歯の形と働きを回復させる分野です。
古い銀歯を診るとき、私がまずお伝えするのは、年数だけで替える判断はしないということです。
20年もっている銀歯は、条件が良かったということでもあります。それを年数だけを理由に外せば、その分だけ歯が減ります。ですから、外す理由があるかどうかを先に確かめます。
私が確認している順番は、次の4つです。
- 縁をなぞる:細い器具で境目を一周させ、段差や隙間がないかを確かめます
- 糸ようじを通す:ほつれる場所がないかを見ます
- 画像:レントゲンで、装置の下に影がないかを確認します
- 前回との比較:以前の画像があれば並べ、変化しているかを見ます
ただし、正直にお伝えします。金属の下は、画像でも見えにくいのです。金属の影で下の状態が隠れます。ですから、画像だけに頼らず、触って確かめる工程を欠かしません。それでも、外してみないと確定しない部分は残ります。
この不確かさを、着手の前にお伝えするようにしています。「外したらむし歯が広がっていて、計画が変わる可能性があります」と。始めてからご相談すると、選べる幅が狭くなるからです。
そして、外すと決めた場合の配慮もあります。金属を削るときには細かい破片と熱が出ますので、それを避ける手順を取ります。金属アレルギーが心配な方には、その点も含めてご説明します。
もうひとつ、患者さんによくお伝えすることがあります。銀歯が入っていること自体は、失敗ではありません。当時の材料と制度のなかで、噛む機能を回復させるための妥当な選択でした。20年もったという事実が、それを示しています。
ですから私は、前の治療の善し悪しは申し上げません。お話しするのは、いまの状態と、これから選べる道だけです。
そして、外さないと決めた場合にも、次に見る日を決めます。「様子を見ましょう」で終わると、次に来られるのは何かあったときになります。段差や影が出てきていないかを、決まった間隔で確かめる。この段取りを共有しておくと、外すべき時期を逃さずに済みます。
間隔は、その方の条件によって変えています。だ液が少ない方や、銀歯の本数が多い方は短めに。何年も安定している方は延ばします。同じ方でも、生活が変われば見直します。
この判断を支えているのが、技工の工程まで自分の手で行ってきた経験です。設計から製作まで一人で仕上げた入れ歯は100床近くになりました。外した装置の内側を見ると、どこから侵入が始まったかの痕跡が残っています。ここから、次の設計で何を変えるべきかを読み取れます。
取れにくい被せ物の見分け方は、別にまとめています(→ 取れにくい被せ物の見分け方|適合・形・素材)。
まとめ|名古屋で古い銀歯が気になる方へ + よくあるご質問

そして、年数の見方です。当院では、銀歯や保険の詰め物・被せ物は平均して6年から7年ほどで境目や中に再発すると言われています、とお伝えしています。20年もっているのは例外的で、接着のときに唾液や血液が入らなかったこと、境目がぴったり合っていたこと、噛み合わせに無理がなかったこと、そしてご自身の清掃が届いていたこと。この条件がそろい続けた結果です。
20年前の銀歯で変わっているのは、金属そのものではありません。金属と歯のあいだの接着材の層と、その下にあるご自身の歯です。
接着材の層は唾液に少しずつ溶け、数年かけて薄くなります。歯ぐきは下がり、縁が外に出てきます。ご自身で気づけるようになるのは、10年を過ぎてからです。それまでは、外から見ても分かりません。
年数はあくまで目安です。だ液の量、間食の回数、境目の位置、噛む力の配分で、進む速さは大きく変わります。ですから、年数ではなく状態を見て判断します。
ご自身で確かめられるのは、舌で境目をなぞる、糸ようじを通す、食べ物の挟まり方を見る、この3つです。特別な器具は要りません。
名古屋・伏見の当院では無料相談を行っており、セカンドオピニオン外来は5,500円(税込)です。検査と診断のうえ、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。Zoomでのご相談も承っています。完全予約制・完全個室で、地下鉄「伏見駅」7番出口から徒歩2分です。
銀歯を白い歯にやり直すことについて全体を見渡したい方は、ハブとなる記事から入っていただくと、ご自身の状況を位置づけやすくなります(→ 銀歯を白い歯にやり直す【完全ガイド】)。
あわせて読みたい
- 白くする方法と費用を知りたい方へ(→ 銀歯を白くする方法と費用)
- 境目から始まるむし歯について(→ 二次カリエス(被せ物の下の虫歯)とは)
- 「銀歯を全部やり替え」と言われた方へ(→ 「銀歯を全部やり替え」と言われたとき)
そして、いちばんお伝えしたいのはここです。歯は削るたびに減り、減った分は戻りません。ですから、動くかどうかを決めるときは、いま動く理由があるのかを先に確かめます。理由がないうちは、削らないほうが選べる道は広いままです。
名古屋・栄と伏見の周辺からお越しの方も多くいらっしゃいます。まずは無料相談だけでも構いません。CTと口腔内スキャナーで現状を記録し、画像をお見せしながらご説明しますので、ご自身の目で確かめたうえで判断していただけます。
よくあるご質問
Q1. 20年もっているなら、まだ大丈夫ということですか。
そうとは限りません。20年もったのは条件が良かったということでもありますが、その間に接着材の層は薄くなり、歯ぐきの位置も変わっています。外から見て変化がなくても、中で進んでいることがあります。ただし、年数だけを理由に外す判断もしません。段差があるか、影があるか、症状があるか。この3つで見ます。
Q2. 何年で交換すればよいのでしょうか。
決まった年数はありません。だ液の量、間食の回数、境目の位置、噛む力の配分によって、進む速さが大きく変わるからです。20年でほとんど変わっていない方もいれば、10年で作り直しになる方もいます。年数ではなく、状態を見て判断します。
Q3. 銀歯の境目が黒く見えます。むし歯でしょうか。
見ただけでは区別できません。金属の色が透けている場合と、その下でむし歯が進んでいる場合の両方がありえます。器具で縁をなぞって段差があるか、レントゲンに影があるかを併せて確かめます。黒く見えるからといって、すぐに外すという判断にはなりません。逆に、黒く見えないから安心とも言えません。
Q4. 症状がないのに、外して確かめる必要がありますか。
症状がなく、境目にも段差がなく、レントゲンにも影がなければ、外す理由はありません。外せばその分だけ歯が減ります。当院では、確かめるために外すという判断はしません。ただし、段差や影がある場合は、外して確かめる意味が出てきます。その線引きを、レントゲンをお見せしながらご説明します。
※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。検査・診断のうえ、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。装置を外した際に、むし歯が想定より広がっていたり、歯の割れが見つかったりして、治療計画が変更になる可能性があります。自由診療の場合は保険適用外となります。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



