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型取りでえづいてしまう方へ|嘔吐反射があるときの進め方

えづいてしまうのは、気持ちの問題ではありません

「型取りが苦手で、歯医者から足が遠のいてしまいました」。このお話は、決して珍しくありません。

口の奥に何かが触れると、反射的にえづいてしまう。これは嘔吐反射と呼ばれるもので、体の正常な反応です。気持ちの持ちようでも、我慢が足りないからでもありません。反射なので、意志では止められません。

この反応が強い方にとって、全顎治療は「型取りが何度もある治療」に見えると思います。実際、型取りは複数回あります。ただ、負担を減らす方法はいくつもあります。

この記事では、どんな場面でえづきやすいのか、それぞれにどんな対策があるのかを整理します。先に伝えておいていただければ、進め方を変えられます。

この記事は、次のような方に向けています。型取りが苦手で治療を中断したことがある、歯医者に行こうと思うたびに気が重くなる、家族には言えていない。言い出しにくいことだと分かったうえで、書いています。

えづきやすい5つの場面と、それぞれの対策

えづきやすい場面は、だいたい決まっています。場面ごとに対策も違います。

①型取り

なぜ起きるか:材料が上あごの奥やのどの近くに流れると、反射が出ます。固まるまでの時間も負担になります

できること:材料の量を減らす、流す方向を変える、固まりの早い材料を使う。トレーの大きさを合わせるだけでも変わります

もう一つの方法:お口に材料を入れずに、光を使って形を記録する方法もあります。対応できるかどうかは医院によって異なるため、確認してみてください

②上の奥歯の治療

なぜ起きるか:器具やミラーが上あごの奥に触れると、反応が出ます

できること:姿勢を起こしぎみにする、吸引の位置を変える、短く区切って休みを入れる

お願いしたいこと:つらくなったら手で合図をしていただく。合図を先に決めておくと、我慢しなくて済みます

③レントゲン撮影

なぜ起きるか:お口の中にフィルムやセンサーを入れるタイプの撮影では、反射が出やすくなります

できること:お口の外から撮る方法や、CTを使う方法があります。CTは口の中に何も入れません

伝えておくとよいこと:「口の中に入れる撮影が苦手です」と最初に言っておくと、方法を変えられます

④仮歯や入れ歯を入れたとき

なぜ起きるか:うしろの端の位置や厚みが合っていないと、反射が出ます

できること:端の形を少し削る、厚みを薄くする。調整で変わることが多い部分です

大事なこと:「慣れてください」で終わらせないこと。慣れる前に外してしまうと、治療が進みません

⑤毎日の歯みがき

なぜ起きるか:奥歯を磨くときにブラシの背中がのどの近くに当たると、反応が出ます

できること:ヘッドの小さい歯ブラシに変える、顔を下向きにして磨く、鼻で呼吸を続ける

なぜ大事か:ここでえづくと、奥歯の掃除がおろそかになります。道具を変えるだけで解決することが多い部分です

なぜ、人によって差があるのか

のどの奥や上あごの奥は、もともと異物に反応する場所です。この反応の出やすさには、生まれつきの差があります。過去に苦しい思いをした経験があると、記憶と結びついて出やすくなることもあります。

だから、「前は平気だったのに」ということも起こります。逆に、対応を変えて何度か楽に終えられると、出にくくなっていく方もいらっしゃいます。

予約の時間帯も、関係します

空腹時や、朝いちばんは出にくいという方が多くいらっしゃいます。逆に、疲れているとき、食後すぐは出やすくなります。ご自身がどの時間帯なら楽か、思い当たることがあれば教えてください。予約の取り方で変えられます。

負担を減らすために、できること

姿勢を起こすと、楽になります

ぐっと寝かせた姿勢では、材料や唾液がのどの方向へ流れます。起こしぎみの姿勢のほうが、反射は出にくくなります。治療の内容によっては姿勢を変えられます。

呼吸のしかたを、先に決めておきます

反射が出そうなとき、多くの方は息を止めてしまいます。息を止めると、かえって強く出ます。鼻からゆっくり吸って、ゆっくり吐く。これを事前に確認しておくだけで、変わります。

合図を決めておきます

手を上げる、指を動かす。何でも構いませんが、合図を決めておくと、我慢しなくてよくなります。我慢しようとすると緊張し、反射はさらに出やすくなります。

短く区切ります

一度に長く続けず、途中で必ず起き上がっていただく。時間はかかりますが、途中で中断してしまうより確実です。

気持ちの問題ではありません

これは、はっきりお伝えしておきたいことです。嘔吐反射は反射であって、慣れや根性で消えるものではありません。「みなさん我慢されていますよ」と言われて、通えなくなった方を何人も見ています。そういう説明が必要な場面ではありません。

治療前にしておくとよいこと

①食後すぐを避ける。空腹すぎるのも避けたいので、軽く食べて2時間ほど空けるのが目安です。

②襟元をゆるめる。首元が締まっていると、息苦しさから反応が出やすくなります。

③鼻が詰まっているときは、伝える。鼻呼吸ができないと、口で息を吸うことになり、反射が出やすくなります。

当院でしていること|名古屋の臨床から

初診で、必ず伺います

「お口の中に器具を入れるのが苦手ではありませんか」。こちらから先にお聞きします。言い出しにくいことだと分かっているためです。

型取りの方法を、ご相談してから決めます

材料の種類、量、トレーの大きさ、姿勢。負担の少ないやり方を選べます。1回目でつらかった点を教えていただければ、次から変えられます。

合図と休憩を、最初に決めます

手を上げていただければ、その場で止めます。止めることを、こちらが嫌がることはありません。

仮歯や装置の端の形を、調整します

「慣れてください」で終わらせません。うしろの端が当たっているなら、形を変えます。

名古屋・伏見駅から徒歩2分の当院は完全予約制・半個室で、無料相談とZoom相談をご用意しています。治療を受けることを前提にしないセカンドオピニオン外来(5,500円・税込)もあります。

まとめ|先に伝えておいていただければ、変えられます

嘔吐反射は、体の正常な反応です。気持ちの持ちようで消えるものではありません。

えづきやすい場面は、型取り、上の奥歯の治療、レントゲン撮影、仮歯の装着、毎日の歯みがき。それぞれに、方法を変えるという対策があります。

姿勢を起こす、呼吸のしかたを決めておく、合図を決める、短く区切る。この4つだけでも、負担はかなり変わります。大事なのは、先に伝えておいていただくことです。

よくあるご質問

Q. 型取りが苦手だと、全顎治療は無理でしょうか。

A. 無理ではありません。方法と進め方を変えることで対応できます。実際に、型取りが苦手な方の治療も行っています。

Q. 我慢したほうがよいのでしょうか。

A. 我慢しないでください。緊張すると反射は強く出ます。合図をしていただければ、その場で止めます。

Q. 眠っている間に治療してもらう方法はありますか。

A. 静脈内鎮静法という方法があります。対応できる医院は限られるため、必要な場合はご相談ください。すべての方に必要な方法ではありません。

Q. レントゲンも苦手です。

A. お口の外から撮る方法や、CTを使う方法があります。CTは口の中に何も入れません。

Q. 治療中に本当にえづいてしまったら、気まずくないですか。

A. まったく問題ありません。よくあることです。止めて、姿勢を変えて、落ち着いてから再開します。

Q. 子どもの頃から苦手です。もう治らないのでしょうか。

A. 反射そのものが消えるとは限りませんが、対応を変えることで治療は受けられます。楽に終えられる経験が重なると、軽くなる方もいらっしゃいます。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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