症例
名古屋「奥歯2本を抜いたまま5年放置」インプラント2本で隣の歯を守った57歳女性の症例
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治療前

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治療後

患者背景と症例概要
名古屋でインプラント治療を検討されている方の中には、こんな状況の方が少なくありません。
- 歯を抜いたまま、数年間そのままにしてしまっている
- ブリッジ・入れ歯・インプラントのどれがいいのか決められない
- 「放置するとどうなるのか」が気になっている
今回ご紹介するのは、右上の奥歯2本(第一小臼歯・第二小臼歯)を抜いたまま5年間放置されていた57歳女性の患者様を、インプラント2本で治療した症例です。
抜歯に至った経緯
患者様は57歳の女性。5年前、虫歯から根っこの治療(根管治療)を受け、被せ物が入っていました。しかしそのうち1本が根尖性歯周炎(根の先に膿が溜まる病気)になり、症状が出た頃には、隣の歯の根っこも巻き込む非常に大きな病変になっていました。再根管治療を行いましたが治らず、2本とも抜歯に至ったそうです。
根管治療を繰り返した歯の行く末については、以下の記事もご参照ください。
5年間の放置——幸運だったこと
一般的に、抜いた歯をそのままにしておくと、隣接している歯が倒れてきたり、反対側の歯(本症例では下の歯)が伸びてきてしまうことがあります。状況がひどいと、動いてしまった歯を矯正治療で元の位置に戻したり、場合によっては抜かなければならないこともあります。
この患者様は運良く、後ろの右上第一大臼歯がそこまで位置を変えることなく残っていたため、追加の処置なしで「2本分の歯をそこに入れるだけ」で済みました。ただしこれは幸運なケースです。放置の期間が長引くほど、治療は複雑に、費用は高くなっていきます。
症例まとめ
| 患者 | 57歳 女性 |
|---|---|
| 欠損部位 | 右上第一小臼歯・第二小臼歯(2本欠損・5年間放置) |
| 欠損の原因 | 根尖性歯周炎の拡大による抜歯(再根管治療でも治癒せず) |
| 治療方針 | インプラント2本(隣の歯を削らない独立支持) |
| 使用インプラント | ストローマン BLX 直径4mm×長さ10mm×2本 |
| 骨の状態 | 高さ13mm・幅6.5mm・骨質良好、骨造成なし |
| 術式 | サージカルガイド使用+仮歯で歯ぐきの形を整えてから最終補綴 |
| 治療期間 | 約6ヶ月 |
| 費用 | 1,210,000円(自由診療) |
初診時の診断
CT所見と骨条件
CTによる計測の結果、欠損部の骨は高さ約13mm、幅も骨頂部で約6.5mmと非常に豊富に残っており、骨質も良好でした。5年間の放置にもかかわらず、骨造成なしで標準サイズのインプラントを埋入できる条件が揃っていました。
骨が足りない場合に必要となる処置は、以下の記事で解説しています。
隣接歯・対合歯の評価
前方の犬歯、後方の第一大臼歯はいずれも既にクラウン(被せ物)が装着されていましたが、位置の変化は軽微でした。対合の下の歯の挺出(伸び出し)も、治療計画に影響するほどではありませんでした。
治療計画と設計思想
検討した3つの治療選択肢
①犬歯と第一大臼歯を支台にした「2本で4歯分」のブリッジ
両端の歯を支えにして4本分を連結する方法です。本症例では両端とも既にクラウンが入っていたため「新たに健全な歯を削る」ことは避けられましたが、それでも見送った理由が2つあります。
- 2本の支台歯に、通常の2倍の力がかかり続ける
- ジルコニアでの「2本支台・4歯ブリッジ」の長期予後を裏付ける研究がまだ少なく、実績を重視するならメタルボンドを選ぶことになる
患者様は「なるべく長期的に予後の良い治療」を希望されており、この選択肢は合致しませんでした。
②部分入れ歯
2本だけの欠損でも、部分入れ歯は必ず両側にまたがる設計にしなければなりません。残っている歯にかかる横方向の力を最小にし、歯の寿命を守るためです。誤飲・誤嚥防止の観点から、片側だけの部分入れ歯を法律で禁止している州もあるほどです。
さらに本症例では審美面の問題がありました。バネ(クラスプ)が犬歯にかかるため、笑ったときにどうしても見えてしまいます。この患者様は笑うと歯が全部見えるハイスマイルのタイプで、これは受け入れられませんでした。
患者様からは「ノンクラスプデンチャーはどうか」というご質問もありました。バネの部分を金属ではなく特殊なプラスチックで作る入れ歯ですが、部分入れ歯の原理原則から大きく外れた設計であり、残りの歯への影響を考えると、使うとしても仮のものにしかならない、最終的な歯としてはおすすめできないことを正直にお伝えしました。
③インプラント2本(本症例で採用)
隣の歯を削らず、骨に2本のインプラントを独立して埋入する方法です。
治療法の比較は、以下の記事で詳しく整理しています。
発想の違い:「寿命を分けてもらう」か「寿命を延ばす」か
ブリッジや入れ歯は、残っている歯に負担を上乗せして、いわば残りの歯の寿命を分けてもらって欠損部に歯を作る治療です。一方インプラントは、欠損部が自立することで周りの歯の負担を減らし、周りの歯の寿命を延ばす方向に働きます。
「長期的に予後の良い治療を」というご希望に対する答えとして、今回は2本欠損に2本のインプラントで対応しました。なお、前歯では1本のインプラントで2歯を支える設計が可能な場合もあります。部位による設計の違いは、以下の症例をご覧ください。
歯ぐきの形まで設計する
本症例のもう1つの設計ポイントは、プロビジョナル(仮歯)による歯ぐきの形の育成です。仮歯の形で歯ぐきの立ち上がりを整え、その形をそのまま最終の被せ物に移行させます。この工程は前歯では必須とされていますが、当院では奥歯でも毎回行っています。歯ぐきの形が整うと、見た目だけでなく、食べ物が詰まりにくく清掃しやすい歯になります。
写真では分からない部分にこそ、診断が要ります
歯ぐきの状態や噛み合わせは、実際に拝見してはじめて判断できます。初回無料相談(30分)で、今の状態をご説明します。
手術と治療経過
手術概要
| 埋入本数 | 2本(右上第一小臼歯部・第二小臼歯部) |
|---|---|
| インプラント体 | ストローマン BLX 4mm×10mm |
| 骨造成 | なし |
| 術式 | サージカルガイド使用 |
埋入から最終補綴まで
骨が非常に豊富だったため、サージカルガイドを用いて計画通りの正確な位置に2本を埋入しました。3ヶ月の治癒期間の後、インプラントに仮歯を装着。仮歯で歯ぐきの形を整え、その形をそのまま写し取って最終補綴物を製作・装着しました。
手術後の痛みの一般的な目安は、以下の記事で解説しています。
術後評価
隣の犬歯・第一大臼歯には一切手を付けず、独立した2本の歯として噛む機能を回復しました。歯ぐきの立ち上がりも仮歯で整えた形が再現され、清掃しやすい形態に仕上がっています。
5年放置した奥歯のことを、責められずに相談したい方へ
「何年も放っておいた」と言いづらいまま、検索だけで終わってしまう方が多い症例です。今の歯の本数や、放置した年数をそのまま送ってください。責めることはありません。
LINEでは診断はできません。強い痛みや腫れがあるときは、お電話(052-265-8996)でご連絡ください。
長期管理と歯科医師の解説
定期メンテナンス
当院では3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスで、インプラント周囲のプロービング、X線による骨レベル確認、咬合チェック、専門的なクリーニングを行います。
よくあるご質問
Q1. 歯を抜いたまま放置すると、どうなりますか?
隣の歯が倒れてきたり、噛み合う反対側の歯が伸びてきたりします。進行すると、インプラントの前に矯正や歯を削る処置が必要になり、治療が複雑で高額になります。本症例は5年放置でも幸い軽微でしたが、早めのご相談をおすすめします。
Q2. ブリッジとインプラントはどちらが良いですか?
考え方の違いです。ブリッジは残りの歯に負担を分けてもらう治療、インプラントは周りの歯の負担を減らして寿命を延ばす治療です。残っている歯の状態と、何年先まで見据えるかで最適解が変わります。
Q3. ノンクラスプデンチャーではだめですか?
見た目のバネが目立たない利点はありますが、部分入れ歯の設計原則から外れており、残りの歯への影響を考えると最終的な治療としてはおすすめしていません。使うとしても仮の位置づけです。
Q4. 骨造成なしでできたのはなぜですか?
本症例は5年の放置にもかかわらず、骨の高さ13mm・幅6.5mmと十分な骨量が保たれていたためです。骨の残り方は個人差が大きく、CT診断で判断します。
Q5. 奥歯でも歯ぐきの形を整える必要があるのですか?
必須とされるのは前歯ですが、当院では奥歯でも毎回行っています。歯ぐきの形が整うと食片が詰まりにくく、清掃性が上がり、長期の安定につながるためです。
歯科医師からのコメント
今回の症例で私がお伝えしたいのは2点です。
1つ目は「放置の代償は運次第」だということ。この患者様は5年放置しても隣や対合の歯がほとんど動かず、シンプルな治療で済みました。しかしこれは幸運なケースで、歯が動いてしまえば矯正の追加や抜歯が必要になることもあります。抜いた歯の治療は、歯が動く前に。
2つ目は「治療選択は残りの歯の寿命で考える」ということ。目先の費用や手軽さではなく、10年後に残っている歯が何本かで治療を選ぶ。ブリッジ・入れ歯・インプラントの本質的な違いはそこにあります。
治療のリスク・副作用・費用・期間
| 治療内容 | 右上小臼歯部インプラント2本(ストローマン BLX 4mm×10mm)+仮歯による歯肉形態調整+最終補綴 |
|---|---|
| 治療期間 | 約6ヶ月 |
| 費用 | 1,210,000円(自由診療) |
主なリスク・副作用は次の通りです。
- 外科処置を伴い、術後に腫れや痛みが生じることがあります
- インプラントが骨と結合しない可能性があります
- 骨の状態によっては骨造成が必要になる場合があります
- インプラント周囲炎のリスクがあるため、定期的なメンテナンスが重要です
- 上部構造の破損・スクリューの緩みにより調整・修理が必要になる場合があります
- 治療結果には個人差があります
名古屋でインプラント治療を検討されている方へ
インプラント治療では、骨の状態・噛み合わせ・補綴設計を総合的に診断することが重要です。当院のインプラント治療の考え方や治療の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。
ご自身に近い症例をお探しの方は、以下の症例一覧もご覧ください。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
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