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60代・70代から全顎治療を始めるとき|年齢で変わる判断

年齢そのものが、治療の可否を決めることはありません

「この年齢から、そこまでする意味がありますか」。60代・70代の方から、必ずと言っていいほど出てくるご質問です。

年齢そのものが、治療を受けられるかどうかを決めることはありません。決めているのは、骨の状態、歯ぐきの状態、持病と服用中のお薬、そして通っていただける体力です。これらは年齢と関係しますが、年齢だけでは決まりません。70代でも条件のそろった方はいらっしゃいますし、50代でも慎重に進める必要がある方はいらっしゃいます。

ただし、設計の考え方は変わります。20年先を前提に作るのか、10年しっかり使えることを優先するのか。掃除のしやすさをどこまで優先するのか。ここは、年齢によって答えが変わる部分です。

この記事では、年齢とともに何が変わり、何が変わらないのかを分けて説明します。

もう一つ、よく伺うのが「あと何年生きるか分からないのに」というお言葉です。これについては、数字より先に考えていただきたいことがあります。食べられるものが減ると、外に出る機会も、人と会う機会も一緒に減っていきます。治療を受けるかどうかは、何年もつかより、これから先をどう過ごしたいかで決まる部分が大きいと考えています。

年齢とともに変わる、5つの条件

年齢が上がるにつれて変わってくるのは、次の5つです。どれも、対応の方法があります。

①骨の量と質

どう変わるか:歯を失ってからの期間が長いほど、その部分の骨は減っています。全身の骨の状態も影響します

何ができるか:CTで実際に測れば、どこにどれだけあるかが分かります。足りない部分は、骨をつくる処置や、骨のある位置を使う設計で対応できます

判断のしかた:「年齢的に無理」ではなく、「この場所は何ミリある」で決まります

②歯ぐきの位置

どう変わるか:歯ぐきが下がると、歯が長く見えます。被せ物との境目も見えやすくなります

何ができるか:歯ぐきの位置に合わせて、歯の形と色を設計します。下がった状態を前提に作るほうが、自然に仕上がります

注意する点:無理に若い頃の形に戻そうとすると、かえって不自然になります

③唾液の量

どう変わるか:服用中のお薬の影響などで、口が乾きやすくなることがあります

なぜ大事か:唾液は汚れを流し、虫歯を防ぐ働きをしています。減ると、被せ物のふちから虫歯になりやすくなります

何ができるか:歯みがき用品の選び方、メンテナンスの間隔、材料の選び方で対応できます

④持病と、服用中のお薬

どう変わるか:血をさらさらにするお薬、骨に関わるお薬、糖尿病などがあると、処置の順序や時期の調整が必要になります

何ができるか:主治医と連絡を取り、安全に進められる方法を確認します。多くの場合、できないのではなく、順序と時期の調整で済みます

お願いしたいこと:お薬手帳をお持ちください。ご自身では関係ないと思われるものが、実は関係することがあります

⑤通える体力と、通院の回数

どう変わるか:1回2時間の治療を月2回、という組み方が負担になることがあります

何ができるか:1回を短くして回数を増やす、あるいは治療をまとめて期間を区切る。どちらも組めます

大切なこと:無理な予定を組むと、途中で来られなくなります。最初にご都合を伺うのは、そのためです

逆に、年齢が上がっても変わらないこと

誤解されやすいのですが、次の3つは年齢で変わりません。

①治り方の順序。抜いたところが治る、歯ぐきが落ち着く、骨が固まる。この順番自体は同じです。かかる時間が少し長くなることはありますが、順序は変わりません。

②噛み合わせの理屈。力の逃がし方、高さの決め方は、年齢に関係なく同じです。

③手入れの効果。手入れをすればもちますし、しなければもちません。ここは何歳でも同じです。むしろ、時間に余裕のある年代のほうが、通いやすいという面もあります。

「間に合わないかもしれない」と感じたときは

全部を一度に決める必要はありません。噛めるようにする部分と、見た目を整える部分を分けて、噛めるほうから先に進めるという組み方ができます。期間も費用も、それで大きく変わります。

年齢が上がるほど、設計で優先すること

ここからは、年齢が上がるほど優先度が上がる、設計の考え方です。

掃除しやすい形を優先します

見た目のために複雑な形にすると、磨きにくくなります。手先の細かい動きは、年齢とともに少しずつ変わります。ご自身で確実に磨ける形にしておくことが、10年後の差になります。

「修理できる作り」にしておきます

全部つなげて作ると、1か所壊れたときに全体をやり直すことになります。あらかじめ区切って作っておけば、壊れた部分だけを直せます。費用の面でも、体の負担の面でも、この差は大きく出ます。

将来、変えられる余地を残します

10年後、20年後に、通院が難しくなることも、手入れが難しくなることもあります。そのときに入れ歯へ移行できる形にしておくか、まったく移行できない形で作るかは、最初の設計で決まります。

「何年もたせたいか」を先に決めます

これは年齢に関係なく大事ですが、60代以降ではとくにはっきりします。20年を前提にすると選択肢が減り、費用も上がります。10年しっかり使えることを目標にすると、選べる方法が増えます。どちらが正しいということはありません。

ご家族と一緒に考えるときの視点

費用を出すのがご本人でない場合、話が進みにくくなることがあります。そのときは、年数ではなく生活の変化で話すと、伝わりやすくなります。

硬いものが食べられない、外食を断るようになった、人前で笑わなくなった。これらは、治療で戻る可能性のある部分です。「歯を治す」より「食事と外出が戻る」で説明したほうが、実際の変化に近いと思います。

当院でしていること|名古屋の臨床から

年齢では判断しません。数字で判断します

骨の厚み、歯ぐきの状態、噛む力。測れるものは測ってから話します。「お年ですから」で決めることはしません。

主治医と連絡を取ります

持病がある場合、内科の先生に文書で確認を取ってから進めます。ご本人に間に入っていただく必要はありません。

1回の長さとご来院の間隔を、ご相談して決めます

午前中のほうが体調がよい、雨の日は避けたい、送迎の都合がある。こうしたご事情は、最初に伺っておけば組み込めます。

ご家族に同席していただくこともできます

ご本人が決めることに変わりはありませんが、説明を一緒に聞いておいていただくと、あとの相談がしやすくなります。

名古屋・伏見駅から徒歩2分の当院は完全予約制・半個室で、無料相談とZoom相談をご用意しています。治療を受けることを前提にしないセカンドオピニオン外来(5,500円・税込)もあります。

途中で通えなくなったときのことも、決めておきます

体調やご家庭の事情で通えなくなる可能性は、どなたにもあります。どの段階なら止めても安全か、止めた場合に何が必要かを、治療前にお伝えしています。決めておけば、慌てて無理をする必要がなくなります。

まとめ|変わるのは可否ではなく、設計です

年齢そのものが、治療の可否を決めることはありません。決めているのは、骨、歯ぐき、お薬、そして通える体力です。どれも測れますし、多くは対応の方法があります。

変わるのは、設計の考え方です。掃除しやすい形にする、修理できる作りにする、将来変えられる余地を残す。この3つは、年齢が上がるほど優先度が上がります。

そして「何年もたせたいか」。ここを先に決めると、選択肢も費用も現実的な形に落ち着きます。

よくあるご質問

Q. 70代からインプラントを入れても大丈夫ですか。

A. 年齢だけで判断するものではありません。骨の状態と全身の状態、そしてご自身で手入れができるかどうかで決まります。CTと血液の状態を見てから判断します。

Q. 入れ歯のほうがよいと言われました。本当ですか。

A. 選択肢の一つとしては正しいです。ただし、なぜそう判断したのかの理由は聞いてよい部分です。骨がないのか、手入れの面なのか、費用なのかで、話が変わります。

Q. 治療の途中で体調を崩したら、どうなりますか。

A. 安全に止められる状態にしてから、いったん休止します。仮歯のまま長く置くのは避けたいので、止め方は状況によって変わります。

Q. 何年くらいもちますか。

A. 手入れとメンテナンス次第で大きく変わります。年数の保証よりも、「何かあったときに直せる作りかどうか」を確認していただくほうが実際的です。

Q. 家族に「今さら」と言われました。

A. 噛めることは、食べられるものの幅と、外出や人と会う機会に直結します。ご本人がどう過ごしたいかが基準で、年齢は基準ではありません。

Q. 骨粗しょう症の薬を飲んでいます。抜歯はできますか。

A. お薬の種類と服用期間によって、進め方が変わります。処方元の先生に確認を取ってから判断します。飲んでいるから抜けない、と決まっているわけではありません。

Q. 通院の送迎が必要です。回数を減らせますか。

A. 1回にまとめる組み方ができる工程と、間隔をあけられない工程があります。ご都合を先に伺えば、可能な範囲で組み直します。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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