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名古屋「下の歯がすり減って痛い」インプラント2本支持の下顎オーバーデンチャー+上顎総入れ歯で対応した症例 72歳女性
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治療前

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治療後

患者背景と症例概要
名古屋でオールオン4治療や下顎の固定式インプラント治療を検討されている方の中には、「上の入れ歯は使えているけれど、下の歯がすり減って痛い」「下の入れ歯を作るのは抵抗がある」「全部抜いてオールオン4にしたいが費用面で踏み切れない」など、上下の口腔内環境がアンバランスな状態で長く我慢されてきた方が少なくありません。今回ご紹介する症例も、まさにそうしたお悩みでご来院された患者様です。
患者様は女性で、上顎はすでに総入れ歯を使用されており、下顎は前歯部に7本のみ歯が残っている状態でした。来院時の主訴は「下の歯がすり減って痛い、何とかしてほしい」というものでした。診査の結果、下顎前歯のほぼ全てでエナメル質を超えて象牙質まで咬耗が進行し、一部は露髄寸前まで歯質が失われていることが確認できました。これは、上顎にまだ天然歯があった頃の咬耗パターンが、上顎総義歯となった現在も下顎前歯に負担として残っていることが大きな原因でした。

「上は今の入れ歯で問題ない」「下を何とかしたい」というご希望は明確で、治療範囲を下顎に絞り、上顎は今の入れ歯と同じ方針で作り直す方向で検討を進めました。総入れ歯と固定式の根本的な違いについては、
のページで詳しく整理していますので、比較検討中の方はあわせてご覧ください。
費用面の現実、強い咬合力、下顎顎堤の状態など、複数の臨床的要素を同時に検討する必要がある症例でした。最終的に選択した治療は、上顎は総入れ歯の新製、下顎はインプラント2本で支えるオーバーデンチャー(IOD)です。「オールオン4にはコスト的に届かないけれど、通常の総入れ歯では下顎の安定が難しい」という条件下で、最も現実的な解として組み立てました。
ご自身に近い症例をお探しの方は、
もあわせてご参照ください。
症例まとめ
・患者:72歳女性
・主訴:下の歯がすり減って痛い、何とかしてほしい
・上顎の状態:総入れ歯使用中、人工歯の咬耗あり
・下顎の状態:前歯部7本残存、エナメル質を超える重度の咬耗、露髄寸前
・最終治療方針:上顎は総入れ歯を新製/下顎は前歯抜歯+インプラント2本支持オーバーデンチャー
・使用インプラント:ストローマン BLX 直径4mm/長さ10mm
・埋入部位:下顎左右犬歯部に各1本
・アタッチメント:ロケーター
・骨造成:なし
・手術時間:約1時間
・治療期間:約7ヶ月
・費用:上顎総入れ歯 440,000円/下顎IOD 750,000円/合計 1,190,000円(自由診療)

初診時の診断
初診時には、口腔内診査、現使用上顎義歯の評価、下顎残存歯の精密診査、パノラマX線、歯科用コーンビームCT撮影、咬合診査、House分類による補綴的診査を行いました。本症例では「下顎前歯を残せるかどうか」「下顎の補綴形式をどう選ぶか」「上顎総義歯との咬合関係をどう整えるか」の3点が診断上の核となりました。
下顎残存歯と咬合状態の評価
下顎前歯7本は、いずれも上顎天然歯が残っていた時代の咬耗が大きく進行しており、エナメル質を超えて象牙質まで露出、一部は露髄に近い状態でした。同時に、患者様には強い咬合力(クレンチング傾向)の所見が認められ、これが歯質の摩耗を急速に進行させた背景と判断しました。
仮にこの7本のうち良好な6本を選んで根管治療→クラウン→残存歯を支台とした部分入れ歯を作製する場合、費用負担が大きくなることに加え、強い咬合力下で支台歯への二次的な負担が継続することが予測されました。
CT所見と下顎骨条件
下顎のCT計測の結果、下顎前歯部から犬歯部にかけては骨高径・骨幅ともに必要量が確保されており、ストローマン BLX 直径4mm・長さ10mmのインプラントを安全に埋入できる条件がありました。一方、第一小臼歯相当部より後方では骨高径と骨幅の双方が大きく不足しており、追加のインプラント埋入は骨造成なしでは難しい所見でした。
このCT所見が、「下顎前歯部のみ骨があり、その後方は骨がない」という条件を明確にし、補綴設計の方向性を決定づけました。
下顎顎堤と粘膜の評価
下顎顎堤、特に臼歯部はほぼ平坦化しており、House分類でも下顎総義歯の安定獲得は困難なクラスでした。粘膜の状態は概ね健康でしたが、顎堤吸収が進んだ部位では義歯支持を粘膜で得ることが極めて難しく、通常の下顎総入れ歯(取り外し式で支えなし)では咀嚼時の動揺と疼痛が避けられないと判断しました。
上顎総義歯と咬合の評価
上顎の総入れ歯は、適合・吸着ともに良好で、患者様自身もご満足されていました。ただし、長年の使用で人工歯の咬耗が進行しており、咬合高径もわずかに低下している所見が確認できました。下顎側を変更する以上、上下の咬合関係を再構築する必要があり、上顎総義歯も新しく作り直す前提で計画を組みました。
治療計画と設計思想
ご提案した4つの治療選択肢
患者様には、現実的に取り得る4つの選択肢を整理してお示ししました。
①下顎前歯を保存し、必要歯を根管治療+クラウン、残りを支台とした部分入れ歯
上顎は現状の総入れ歯のまま。費用は中等度ですが、強い咬合力下での支台歯負担と将来の再治療リスクが高く、長期予後の安定が見込みにくい選択肢でした。
②下顎前歯をすべて抜歯し、上下とも通常の総入れ歯
最も低侵襲で費用も抑えられますが、下顎顎堤の高度吸収とHouse分類の所見から、下顎総入れ歯の安定獲得が困難であり、QOL改善が見込みにくい選択肢でした。
③上顎は総入れ歯を継続、下顎はインプラント2本または4本支持のオーバーデンチャー
オーバーデンチャー(IOD)は、少数本のインプラントで取り外し式の入れ歯を支える方法です。維持力を獲得しつつ、清掃性と費用のバランスを取りやすい設計です。
④上顎は総入れ歯を継続、下顎はオールオン4
固定式で咀嚼能率は最も高くなりますが、費用が大きくなり、本症例ではご予算の範囲を超える選択肢でした。この選択肢を選ばれた患者様の治療は、
→ 「下の入れ歯が痛くて硬いものが噛めない」下顎オールオン4で噛む機能を取り戻した症例
のページでも詳しく整理しています。
なぜ下顎IOD(インプラント2本)を選択したか
複数の臨床的要素を統合して判断した結果、本症例では③のうち「インプラント2本支持のIOD」を選択しました。決め手は次の通りです。
・下顎前歯部の骨条件が良好で、犬歯部に左右1本ずつインプラントを安全に埋入できる
・第一小臼歯部より後方は骨が乏しく、追加埋入には骨造成が必要となり、ご予算と侵襲の観点で適さない
・強い咬合力下では、残存歯保存より「全抜歯+インプラント維持」のほうが長期予後に有利
・上顎が総義歯であることから咬合力の絶対値が下がり、2本IODでも十分な支持力を見込める
・オールオン4はご希望もあったがご予算の範囲を超える
・通常の下顎総入れ歯ではHouse分類の所見から安定が見込みにくい
オールオン4の治療期間とIODの治療期間は同程度ですが、外科処置の侵襲・本数・費用が異なります。
のページもあわせてご参照ください。
設計思想
ステップ1:上下総入れ歯の新製と咬合高径の再設定
本症例では、いきなりインプラント手術に入らず、まず上下とも新しい総入れ歯(下顎は前歯抜歯後の即時義歯を含む)を正しい咬合高径で作り直すところから始めました。長年の咬耗で低下していた咬合高径を再設定し、その咬合関係を口腔内で十分に検証してから、インプラントの埋入位置計画に進む方針です。

ステップ2:診断用義歯を用いた埋入位置計画
新しい上下総入れ歯(診断用義歯)を装着した状態でCT撮影を行い、最終的な義歯の位置から逆算してインプラントの埋入位置・角度・長さを決定しました。補綴主導型のインプラント計画は、IODでもオールオン4でも長期予後の鍵となります。

ステップ3:埋入位置と前後的配置
下顎左右の犬歯部(3番相当)に、ストローマン BLX 直径4mm・長さ10mmのインプラントを各1本、計2本埋入しました。犬歯部は下顎オーバーデンチャーで最も理想的な維持点とされる位置です。本症例では幸運にも、犬歯部までは骨が十分にあり、それより後方の第一小臼歯部から骨が急激に減少していたため、骨造成を行わずに「理想位置」へ正確に埋入することができました。

ステップ4:咬合接触と咬合様式
上顎が総義歯である症例の咬合は、上顎総義歯側の安定を最優先に設計します。咬頭嵌合位での均等接触、側方運動時のバランスを整え、特定のインプラントや上顎総義歯の一部に過大な力がかからないよう調整しました。
ステップ5:アタッチメントの選択
アタッチメントにはロケーターを採用しました。維持力の調整が容易で、義歯側のプラスチックインサート(ナイロン部品)の交換だけでメンテナンスが完結する利便性の高い設計です。
ステップ6:上部構造と固定方式
下顎オーバーデンチャー側は、3ヶ月の治癒期間中に使用した診断用義歯をそのまま活用し、最終的にはリラインによって完成形に仕上げる方針としました。診断用義歯の段階で十分な検証ができていたため、人工歯配列と咬合関係をそのまま最終へ引き継げる利点があります。
手術と治療経過
手術概要
・埋入本数:2本(下顎左右犬歯部に各1本)
・インプラント体:ストローマン BLX 直径4mm/長さ10mm
・GBR(骨造成):なし
・手術時間:約1時間
ストローマン BLXは初期固定獲得性能に優れ、補綴主導型計画との親和性が高いインプラントです。本症例では犬歯部の良好な骨条件と、サージカル計画に基づく正確な埋入により、骨造成を回避しつつ理想位置への埋入を実現できました。
術後経過
術後の腫脹と疼痛は、術後2日目から寛解傾向を示し、処方した鎮痛薬で十分にコントロール可能な範囲に収まりました。創傷治癒は概ね順調に推移し、感染や創開などの合併症は認められませんでした。
埋入後の治癒期間は約3ヶ月とし、その間は事前に製作した診断用義歯を継続使用していただきました。
治療期間と最終補綴
3ヶ月の治癒期間ののち、二次手術にてインプラント上部の歯肉を開放し、ヒーリングアバットメントを装着しました。その後ロケーターアバットメントに付け替え、診断用義歯の内面をリラインしてプラスチックアタッチメントハウジングを組み込み、最終的なオーバーデンチャーとして完成させました。
初診から上顎総入れ歯の新製・下顎IOD完成までの総治療期間は約7ヶ月です。
術後評価と審美的配慮
最終調整後の評価では、咬合は設計通りに均衡が取れ、上顎総義歯の安定も維持されていました。なお、強い咬合力の影響で上顎総義歯の人工歯が1本破折する事象がありましたが、診療室で修理対応いたしました。
審美的配慮としては、患者様の「少しでも若々しい笑顔を取り戻したい」というご希望に応え、上顎前歯の安静時露出量を一般的なご高齢の方の標準(ほぼ露出なし)よりも長めに、より若年層に近い露出量に設定しました。年齢とともに上唇が下垂し、上顎前歯の露出量は自然に減っていくため、この設定により表情がより明るく見える設計となります。
長期管理と歯科医師の解説
定期メンテナンス
オーバーデンチャーは、装着後の継続的なメンテナンスが長期予後の前提となります。本症例では特にインプラント2本支持のため、ロケーターの維持力が義歯安定の中核を担います。当院では3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスを推奨しており、インプラント周囲組織のプロービング、X線による骨レベル確認、義歯の適合と咬合の再評価、ロケーターインサートの摩耗確認、専門的なクリーニングを行います。
特に本症例のように咬合力が強い患者様では、ロケーターのプラスチックインサート(ナイロン部品)の摩耗が早まる傾向があり、現在は半年に1回の頻度で部品を交換しています。これは想定範囲内の経過であり、IODの長期管理として標準的な対応です。

よくあるご質問
質問1:インプラント2本でも下顎の入れ歯は安定しますか
本症例のように下顎犬歯部に左右各1本、計2本埋入することで、入れ歯の「維持(外れにくさ)」を大きく改善できます。ただし支持(噛む力を受け止める力)は依然として粘膜が担うため、4本IODやオールオン4ほどの咀嚼能率は得られません。費用と機能のバランスで判断します。
質問2:オールオン4ではなく2本IODを選んでも問題ありませんか
ご予算、骨条件、咬合力、対合の状況によって最適解は変わります。本症例では「対合が総義歯で咬合力の絶対値が下がる」「後方の骨が乏しい」「ご予算」など複数の条件を踏まえて2本IODが現実解と判断しました。
質問3:プラスチック部品の交換はどれくらいの頻度ですか
咬合力やかみ合わせの状態によって変動しますが、一般的には1〜2年に1回程度が多く見られます。本症例のように咬合力が強い方では半年に1回となることもあります。
質問4:上顎総入れ歯を継続したまま下顎だけインプラントにできますか
可能です。本症例のように上顎総義歯にご満足されている場合、下顎のみインプラント治療とする設計は十分に成立します。ただし、上下の咬合関係を再構築するために上顎総義歯も新製することが多くなります。
質問5:費用は分割払いに対応していますか
当院ではデンタルローンや分割支払いに対応しています。詳細はカウンセリング時にご相談ください。自由診療であるため医療費控除の対象となりますので、領収書の保管をおすすめします。
歯科医師からのコメント
今回の症例で私が最も重視したのは、「ご予算・骨条件・咬合力・上顎の状態」という複数の制約条件を、どう1つの設計に統合するかという点でした。本症例は単独で見ればシンプルな2本IODですが、その背後には「下顎前歯を残せるか」「全抜歯すべきか」「オールオン4にすべきか」という複数の意思決定があり、すべてを患者様と共有しながら最終解を導きました。
設計上の注意点として、上顎が総義歯である症例で下顎IODを設計する場合、上下の咬合関係の再構築が長期予後に直結します。本症例では先に上下の新しい総入れ歯(診断用義歯)で咬合高径と人工歯配列を確定させてから、その情報をもとにインプラント位置を計画する補綴主導型のステップを徹底しました。
審美面でも、ご高齢の女性であっても「若々しい笑顔を取り戻したい」というご希望は当然のものであり、上顎前歯の露出量を年齢標準より若年寄りに設定することで、機能と審美の両立を図りました。これは細部の調整ですが、患者様の満足度に直結する設計判断であると考えています。
長期予後については、3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンス、半年に1回のロケーターインサート交換、年1回のX線検査と咬合再評価を継続することで、長期にわたって機能を維持していくことを目指していきます。
治療のリスク・副作用・費用・期間
治療期間:約7ヶ月(上下総入れ歯新製・診断・インプラント埋入・治癒期間・最終調整を含む)
費用:
・上顎総入れ歯:440,000円
・下顎インプラントオーバーデンチャー(インプラント2本):750,000円
・合計:1,190,000円
インプラント治療および総入れ歯製作はいずれも自由診療であり、費用は使用するインプラント本数、アタッチメントの種類、義歯素材、追加処置の有無により変動します。
主なリスク・副作用:
・術後に腫れや疼痛が生じる可能性があります
・創部の感染、出血の可能性があります
・術前の骨条件によっては骨造成が必要となる場合があります
・インプラント周囲炎を発症する可能性があるため、定期的なメンテナンスが不可欠です
・強い咬合力下では、上顎総義歯の人工歯破折やロケーターインサートの摩耗・交換頻度の増加が生じることがあります
・スクリューや義歯床の修理が必要となる場合があります
・全身状態や服薬状況により治療計画の変更が必要となることがあります
名古屋でオールオン4治療を検討されている方へ
オールオン4治療では、以下のことを総合的に診断することが重要です。
・骨の状態
・噛み合わせ
・補綴設計
・インプラントの埋入位置
当院では骨量不足症例や重度歯周病症例、多数歯欠損症例など、さまざまなオールオン4治療を行っています。
ご自身に近い症例を探したい方は以下の症例一覧も参考にしてください。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



