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総入れ歯の吸着の仕組み|下の総入れ歯はなぜ難しい|名古屋・伏見の補綴専門医
下の総入れ歯が浮くのは、「縁の封鎖」が破れやすいからです
結論から言うと、下の総入れ歯が上より浮きやすいのは、作り方だけの問題ではありません。下あごには、吸着の条件がそろいにくい理由がいくつもあります。
総入れ歯が吸い付くのは、入れ歯の縁が全周にわたって粘膜で封じられ、内側に空気が入らないからです。下あごは、この縁の封鎖が破れやすいのです。
「上は落ちないのに、下だけ口を開けると持ち上がる」。名古屋でも、総入れ歯のご相談でよく伺うお悩みです。下が浮く理由が分かると、どこを直せばよいかも見えてきます。
この記事で分かること。
- 総入れ歯が吸い付く仕組み
- 下の総入れ歯が、上より難しい理由
- 吸着を目指すときに見るところと、足りない場合の選択肢
入れ歯治療の全体像は、以下のページにまとめています。
まず、今の状態を確かめてください
| 状態 | 目安 |
|---|---|
| 口を開けると下が持ち上がる | 一度ご相談を |
| 安定剤がないと食事ができない | 早めにご相談を |
| 作り直しても下だけ浮く | 設計の見直しを |
総入れ歯は、3つの条件がそろうと吸い付きます
総入れ歯には、歯にかけるバネがありません。歯ぐきの上に乗っているだけの入れ歯が落ちないのは、次の条件がそろうからです。
| 吸着の条件 | 働き |
|---|---|
| 広い面積 | 吸い付く面が大きい |
| 縁の封鎖 | 内側に空気が入らない |
| 唾液の膜 | 入れ歯と粘膜を密着させる |

図:総入れ歯が吸い付く3つの条件
ガラス板を2枚、水で濡らして重ねると、はがしにくくなります。総入れ歯の吸着も、これに近い仕組みです。入れ歯と粘膜の間に薄い唾液の膜があり、縁が封じられていると、入れ歯を引き離す力に抵抗します。
学会誌の基礎研究では、唾液の粘りが入れ歯の維持と安定に役立っていることが報告されています。口が乾くと入れ歯が外れやすく感じるのは、この膜が保ちにくくなるためと考えられます。
そして、3つの条件の中でいちばん崩れやすいのが縁の封鎖です。縁のどこか1か所でも空気の通り道ができると、そこから吸着が抜けてしまいます。
下の総入れ歯には、3つの不利があります
上の総入れ歯は、上あご全体を覆えるので面積が広く、縁の周りの粘膜も比較的動きません。下の総入れ歯は、条件がまったく違います。
| 比べること | 上の総入れ歯 | 下の総入れ歯 |
|---|---|---|
| 乗せられる面積 | 広い | 上の約半分 |
| 縁の周りの動き | 少ない | 舌・頬がよく動く |
| 骨の痩せ方 | ゆるやか | 上の約4倍 |

図:上の総入れ歯と、下の総入れ歯
面積は、上の約半分
総入れ歯を乗せられる面積は、平均で上あごが約23cm²、下あごが約12cm²と紹介されています。下は上の約半分しかありません。吸い付く面が小さいぶん、同じ力で引っ張られても外れやすくなります。
舌と頬が、縁を動かす
下の総入れ歯の内側には舌があります。話す、飲み込む、口を開ける。そのたびに舌や口の底が持ち上がり、入れ歯の縁を押しのけます。学会誌でも、従来の方法で作った下の総入れ歯は、口を開けると浮き上がることがあると指摘されています。
骨が痩せやすい
総入れ歯を使う方を25年追った研究では、下あごの前歯部の骨の高さの減少は、上あごの約4倍でした。骨が痩せると、入れ歯を乗せる土台が低く平らになり、縁で封じられる範囲も狭くなります。
私は、下が浮く入れ歯では「後ろの縁」と「舌の下の縁」を見ます
下の総入れ歯でも、縁を全周にわたって粘膜で封じることで、上と同じような吸着を得る作り方が学会誌で報告されています。吸着の一般名で「吸着義歯」と呼ばれることもあります。
下が浮くご相談で、私が最初に見るのは2か所です。
- 後ろの縁が、奥の歯ぐきのふくらみの手前で終わっていないか
- 舌の下で、縁が途切れていないか
奥の歯ぐきのふくらみ(レトロモラーパッド)は、下の総入れ歯の封鎖の要所です。実験では、入れ歯の後ろの縁をふくらみの前の端より約7mm以上後ろまで延ばすと、外れにくさが有意に上がったと報告されています。
もう1か所の舌の下は、舌を動かすたびに粘膜の高さが変わる場所です。縁が短すぎると舌を上げたときに隙間ができ、長すぎると舌に押されて入れ歯が持ち上がります。短すぎず、長すぎない位置を、舌を動かしていただきながら探ります。
縁の長さが合っていても、入れ歯の内側が歯ぐきに合っていなければ、唾液の膜は保てません。縁と内側の両方がそろって、はじめて吸着が生まれます。
技工を自分の手で行ってきたので、模型の上でぴったりでも、口の中では舌や頬が動くことを手で知っています。下の総入れ歯は、動く粘膜と一緒に動いても縁が離れない形に仕上げる必要があります。その形を決めるのは、型取りの段階でどれだけ動きの情報を写せるかです。
型取りと噛み合わせの詳しい話は総入れ歯の型取りが精密だと何が変わるかと噛み合わせが低くなるとどうなる|咬合高径の話で書いています。
吸着で足りない場合は、インプラントで留める
骨が大きく痩せている、舌の位置が後ろに下がっている、口がとても乾く。こうした条件では、吸着だけで下の総入れ歯を安定させるのが難しいことがあります。
そのときの選択肢が、インプラントオーバーデンチャーです。あごの骨に埋めたインプラントを留め具の土台にして、その上に取り外し式の入れ歯をはめ込みます。吸着に頼るのではなく、留め具で入れ歯を留める方法です。
| 比べること | 吸着の総入れ歯 | インプラントで留める |
|---|---|---|
| 入れ歯を支えるもの | 粘膜と縁の封鎖 | 粘膜+インプラント |
| 口を開けたとき | 浮きやすい | 留め具で外れにくい |
| 取り外して洗う | できる | できる |
| 手術 | 不要 | 必要 |
| 留め具の点検 | なし | 定期的に必要 |
下あごは、2本のインプラントが基本です
2002年の国際的な合意(マギル声明)では、下あごに歯が1本もない方には、2本のインプラントで入れ歯を留める方法を第一選択とすべきとされています。2009年に英国の学会で出されたヨーク声明でも、2本のインプラントで支える入れ歯を、最低限の第一選択として提供すべきとしています。
厚生労働省の委託事業でまとめられたQ&Aでも、下あごのインプラントオーバーデンチャーは従来の総入れ歯に比べ、入れ歯の安定、満足度、快適性、会話や噛む能力で優れていると紹介されています。
固定式との違いと、留め具の種類
オールオン4のような固定式は、より多くのインプラントで歯を固定し、自分では外せません。インプラントオーバーデンチャーは、少ない本数で入れ歯を留め、取り外して洗えるのが特徴です。将来、ご家族が手入れを手伝う場合にも扱いやすい形です。
留め具には、ボタンのようにはめ込むタイプ、磁石で留めるタイプ、インプラント同士をバーでつなぐタイプなどがあります。あごの形、噛む力、手先の動かしやすさを見て選びます。留め具の部品は使ううちにすり減るため、定期的な点検と部品の交換が前提の治療です。
私は、インプラントを入れる位置を、先に理想の入れ歯の形を決めてから逆算して決めます。骨だけを見て位置を決めると、留め具が入れ歯の中に収まらず、厚く大きな入れ歯になることがあるためです。全身の状態や骨の量によってはインプラントが難しい場合もあるため、CTで骨を確認し、主なリスクも含めてご説明します。
これから総入れ歯になる方は初めての総入れ歯|流れ・期間・心構えを、全体像は総入れ歯|噛めない・外れる原因と、しっかり噛むための選び方【完全ガイド】をご覧ください。
話しにくさは名古屋で総入れ歯の発音・違和感に悩む方へ|原因と改善策を解説、見た目は総入れ歯の見た目が気になる方へ|名古屋で選択肢を整理するで整理しています。
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名古屋・伏見で「下の総入れ歯が浮く」を相談するなら
浮く入れ歯を安定剤で押さえ続けると、合わないまま歯ぐきに負担がかかり、骨の痩せ方にも影響します。様子見より相談を先にしていただければ、今の入れ歯の縁のどこで封鎖が破れているかをお伝えできます。
当院での進め方は、今の入れ歯を入れた状態で口を開け、話し、飲み込んでいただき、どの動きで浮くかを確認するところからです。そのうえで、今の入れ歯の調整や裏打ちで対応できるか、作り直すか、インプラントで留める設計を考えるかを分けてご説明します。
地下鉄伏見駅6番出口から徒歩2分です。名古屋市内・愛知県内から通われる方が多くいらっしゃいます。
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よくあるご質問
上と同じように吸い付く下の総入れ歯は作れますか?
縁を全周で封じられる条件があれば、下でも吸着を目指せます。ただ、骨の痩せ方や舌の位置によっては、吸着だけでは足りないこともあります。どちらに当たるかは、お口の状態を拝見して判断します。
入れ歯安定剤を使えば、吸着するようになりますか?
安定剤は隙間を埋めて一時的に安定させるものです。縁の封鎖が破れている原因そのものは変わりません。安定剤がないと食事ができない状態なら、入れ歯の縁や合い方を見直す時期です。
吸着しない下の入れ歯は、インプラントで留められますか?
下あごは、2本のインプラントで入れ歯を留める方法が、国際的な合意で第一選択とされています。取り外して洗える入れ歯のまま、口を開けても浮きにくくなります。手術が必要なため、骨の量や全身の状態を確認してから判断します。
口が乾くと、入れ歯が外れやすいのはなぜですか?
総入れ歯は、入れ歯と粘膜の間の唾液の膜で密着しています。唾液が少ないとこの膜が保ちにくく、吸着が弱くなると考えられます。お薬や体調で口が乾く方は、そのこともお知らせください。
※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。
検査・診断のうえ、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
CONSULTATION 無料相談・セカンドオピニオン
インプラントをはじめ、審美補綴や義歯などの外科的治療に関するご相談を承っております。その他の治療内容についてもお気軽にお問い合わせ下さい。



