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ノンクラスプと保険の部分入れ歯の比較|名古屋・伏見の補綴専門医

比べる軸は、バネの色より「噛む力をどこで受けるか」です

結論から言うと、ノンクラスプデンチャーと保険の部分入れ歯は、バネの色より、噛む力をどこで受ける設計かで比べると違いが見えます。保険の部分入れ歯は、金属のバネと、歯の上に乗る小さな金属の支え(レスト)で、噛む力を歯にも受けさせる構成です。

ノンクラスプは、歯ぐき色の樹脂で歯を抱える入れ歯で、当院では自費で作ります。一対一で比べた研究では、3か月の比較で、見た目や心理面の満足に差が出ています。一方で、長い期間で比べた研究はまだ限られています。

「保険の入れ歯とノンクラスプ、何が違う?」「保険でノンクラスプは作れる?」。名古屋でも、こうしたご相談をいただきます。2つの入れ歯を、制度・研究・支え方の3つの面から比べます。

この記事で分かること。

  • 保険でノンクラスプは作れるのか
  • 一対一で比べた研究で分かっていること
  • 見た目以外の違い(支え方・修理の経路)

入れ歯治療の全体像は、以下のページにまとめています。

まず、今の状態を確かめてください

状態 目安
保険の入れ歯が痛い・外れる まず合いと支えの確認を
前の方のバネが気になる 比較の相談に向いています
奥歯の噛み合わせが少ない 設計から慎重に検討を

保険で、ノンクラスプは作れるのか

保険の部分入れ歯は、金属の装置で歯にかける

保険の点数表では、部分入れ歯の歯にかける装置として、鋳造鉤・線鉤・コンビネーション鉤などが区分されています。いずれも金属の装置です。レストだけを付ける場合も、金属の装置の区分に入ります。

保険の部分入れ歯の部品 役割
人工歯と床 歯と歯ぐきの代わり
金属のバネ(鉤) 歯にかけて外れにくく
レスト 噛む力を歯に受けさせる
バー 左右をつなぐ

保険の部分入れ歯の部品と役割|名古屋エデンデンタルオフィス

図:保険の部分入れ歯の部品と役割

確かめた範囲では、樹脂で歯を抱える維持部の区分は見当たりませんでした。ノンクラスプは、自費で作るのが一般的です。

「熱可塑性樹脂の入れ歯」とノンクラスプは別の話

保険の点数表には、床の材料に熱可塑性樹脂を使う入れ歯の区分もあります。ただ、これは床の材料についての区分です。歯にかける装置を樹脂にする、ノンクラスプの保険化とは別の話です。名前が似ているため、混同しないようにしてください。

令和8年度の見直しは、金属の種類の話

厚生労働省の令和8年度の改定の概要には、部分入れ歯のクラスプやバーの材料に係る運用の見直しがあります。対象は、金属のバネやバーに使う金属の種類です。ノンクラスプを保険に入れる内容ではありません。

研究で分かっていることと、見た目以外の違い

3か月ずつ使い比べた研究

部分的に歯を失った28名が、金属のバネの入れ歯とノンクラスプを、3か月ずつ使い比べた研究があります(24名が完了)。

項目 結果
歯・歯ぐきのトラブル どちらもなし
口の生活の質の点数 ノンクラスプで問題が少ない
差が出た面 見た目・痛み・心理面

口の生活の質の点数は、ノンクラスプのほうが平均9点低く、問題が少ないという結果でした。この差は、意味のある最小の差とされる6点を上回っていました。

分かっていないことも、並べておく

分かっていること 分かっていないこと
3か月の満足の差 何年も使ったときの差
3か月の合併症はなし 噛む力の数値の差
見た目の満足に差 設計ごとの違い

この研究で使ったノンクラスプに、金属の支えがあったかどうかは、抄録からは確かめられませんでした。どんな設計のノンクラスプでも同じ結果になる、とは言えません。

長い期間の研究では、課題も報告されている

日本補綴歯科学会誌のシステマチックレビューでは、ノンクラスプの長期の研究も紹介されています。6年後に使われていたのは42%という調査や、支えの歯の周りの歯ぐきに炎症が多く見られた調査がありました。

別の無作為化比較試験では、入れ歯の割れの割合に、2つの入れ歯で有意な差はありませんでした。研究の数はまだ少なく、根拠の水準も高くないとされています。

見た目以外の、大切な違い

研究の満足度だけでなく、支え方や修理の経路にも違いがあります。

項目 保険の部分入れ歯 ノンクラスプ(樹脂だけ)
噛む力の受け方 レストで歯にも受ける 歯ぐきに頼りやすい
歯を抱える力 金属でしっかり抱える 金属より小さい
学会の位置づけ 標準的な設計 最終の入れ歯は推奨せず
修理の経路 院内で対応しやすい 素材で経路が違う

保険の部分入れ歯とノンクラスプの見た目以外の違い|名古屋エデンデンタルオフィス

図:保険の部分入れ歯とノンクラスプの見た目以外の違い

樹脂のバネは、歯を抱える力が小さい

日本補綴歯科学会のポジションペーパーでは、樹脂のバネが歯を抱える力は、金属よりはるかに小さいとされています。そのため、噛む力を受ける金属のレストが必要とされています。

レストがないと、噛む力が支えの歯に集中して揺れたり、入れ歯が沈んで歯ぐきに炎症が出たりした例も示されています。

金属の骨組みがあるかで、位置づけが変わる

同じ学会の見解では、金属の骨組みのない、樹脂だけのノンクラスプがあります。金属アレルギーなど特別な場合を除いて、最終の入れ歯としては推奨されないとされています。

金属の骨組みがあるタイプは、見える位置に金属のバネが来ることを受け入れにくい場合に推奨できる、とされています。

修理の経路は、素材で違う

ポジションペーパーでは、ポリアミド系の樹脂は、診療室での修理や裏打ちが難しく、技工所での作業が必要とされています。ポリエステル系は、診療室で修理できるとされています。ノンクラスプを選ぶときは、どの素材で作るかも確かめておきましょう。

私は、比べる前に「レストを置ける歯」と「奥歯の噛み合わせ」を見ます

ノンクラスプと保険の入れ歯で迷う方に、私が最初に確かめるのは、レストを置ける歯があるかと、奥歯の噛み合わせの支えが残っているかです。

奥歯で上下が噛み合っている場所が残っていれば、入れ歯が受ける力は限られます。噛み合わせの支えが少ないと、入れ歯の動きが、そのまま樹脂のバネと支えの歯にかかります。ポジションペーパーでも、奥歯の噛み合わせの支えがない場合は、ノンクラスプを使うべきではないとされています。

「後で直せるか」は、作る前に決まる

技工を自分の手で行ってきたので、金属のバネは、支えの歯の形に合わせて作り、使いながら締め具合を調整できることを知っています。

  • 金属のバネ:使いながら締め具合を調整できる
  • ノンクラスプ:熱で溶かした樹脂を型に流して作る
  • 素材によって:院内で直せるか、技工所かが変わる

比べるときは、割れたり緩んだりしたときに、どこで直すかまで確かめておくと安心です。型取りは、スキャンより型取り材での型取りを基本にしています。

今の保険の入れ歯から、作り替えるときは

今の保険の部分入れ歯が合っていて、支えの歯にも問題がなければ、作り替えを急ぐ必要はありません。見た目の悩みがあるなら、作り直しの時期に合わせて設計を考えることもできます。

痛い、外れる、噛めないといった悩みがあるときは、見た目より先に、合いと支えを確かめます。悩みの原因が支え方にあれば、ノンクラスプに替えても同じ悩みが残ることがあるためです。

保険の入れ歯にも、確かな役割がある

保険の部分入れ歯は、金属のバネと床で支える標準的な設計です。修理や調整に対応しやすく、まず保険の入れ歯で様子を見る、という進め方もあります。見た目の悩みがどれくらい大きいかと、残っている歯の条件を合わせて選びます。

バネの見え方の選択肢は笑うとバネ(金具)が見えるのが嫌な方の選択肢で書いています。弱点と寿命はノンクラスプデンチャーのデメリットと寿命|正直に解説をご覧ください。

向かない方の条件はノンクラスプデンチャーが向かないケースで書いています。金属と組み合わせる設計は金属床と組み合わせるノンクラスプという設計をご覧ください。

前歯の見た目は前歯を失ったとき|見た目重視の選択肢、費用はノンクラスプデンチャー|バネが目立たない入れ歯の費用とデメリット【完全ガイド】で整理しています。

修理や調整はノンクラスプデンチャーの修理・調整はできる?で書いています。最終の入れ歯として勧められた方は、以下の記事もご覧ください。

名古屋・伏見で「ノンクラスプと保険の入れ歯」を相談するなら

見た目だけで選ぶと、噛む力を歯ぐきで受ける設計になり、支えの歯や歯ぐきを傷めることがあります。様子見より相談を先にしていただければ、どちらの入れ歯が、どんな設計なら合うかをお伝えできます。

当院での進め方は、残っている歯の数と並び、奥歯の噛み合わせ、支えの歯の揺れと歯ぐきの状態、今の入れ歯の合いを確認するところからです。そのうえで、保険の部分入れ歯、ノンクラスプ、金属の骨組みと組み合わせる設計を、利点と注意点を並べてご説明します。

地下鉄伏見駅6番出口から徒歩2分です。名古屋市内・愛知県内から通われる方が多くいらっしゃいます。

よくあるご質問

保険で、ノンクラスプは作れますか?

保険の点数表で確かめられる、歯にかける装置は金属のものです。ノンクラスプは自費で作るのが一般的で、当院でも自費になります。

令和8年の改定で、ノンクラスプは保険になりましたか?

令和8年度の見直しは、金属のバネやバーに使う金属の種類についてのものです。ノンクラスプを保険に入れる内容ではありません。

今の保険の入れ歯を、ノンクラスプに作り替えられますか?

残っている歯の条件によります。レストを置ける歯や奥歯の噛み合わせの支えを確かめたうえで、作り替えるか、どんな設計にするかをご説明します。

ノンクラスプは、保険の入れ歯より歯にやさしいですか?

樹脂のバネは、金属より歯を抱える力が小さいとされています。噛む力を受ける金属の支えがないと、支えの歯に負担がかかることもあります。

※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。

検査・診断のうえ、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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