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噛み合わせをあげるとは|高さを上げると何が変わるのか
「噛み合わせをあげる」とは、どういうことか
「噛み合わせをあげましょう」と言われたら
「噛み合わせをあげましょう」。全体の治療を提案されるとき、こう言われることがあります。
言われた側からすると、意味がつかみにくい言葉だと思います。歯を高くする、ということ?それで何が良くなるのか。
上下を閉じたときの高さを、今より高く設定し直すことです
上の歯と下の歯を軽く閉じたとき、あごが止まる位置があります。この位置は、奥歯の高さで決まっています。
その高さが、長い年月のあいだに下がっている方がいます。下がった分を、被せ物や仮歯で作り直して元の高さに戻す。これが「噛み合わせをあげる」ということです。
本来あった高さに戻す、という考え方です
今より高くする、と聞くと不自然なことをするように感じるかもしれません。ですが多くの場合、目指しているのは「若い頃にあった高さ」です。新しく作り出すのではなく、失った分を戻します。
どこまで戻すかは、顔のバランス、発音、あごの関節の位置から決めます。上げれば上げるほど良い、というものではありません。
1本ずつでは、あげられません
高さは、上下の歯が同時に噛み合って決まります。1本だけを高くすれば、そこだけが強く当たって痛みます。だから、あげる治療はまとまった範囲で行うことになります。
全体の治療を提案される背景には、たいていこの事情があります。
なぜ、噛み合わせは下がるのか

なぜ高さが下がるのか
なぜ高さが下がるのか。原因は5つあります。ご自身に当てはまるものがあるか、見てみてください。
① 歯がすり減った
どういうことか:歯ぎしりや食いしばりで、噛む面が長年かけて平らになっていきます
どのくらいの速さか:1年では分かりません。10年、20年で数ミリ変わります
見分け方:奥歯の噛む面が平らになっている、前歯の先が真っ直ぐに揃っている、朝あごがだるい
ここが厄介:すり減るほど食いしばりやすくなり、さらにすり減ります。止まらない循環になります
② 奥歯を失ったまま過ごした
どういうことか:奥歯がないと、前歯や残った歯で噛むことになります
何が起きるか:支えを失った分、閉じる位置が深くなります。残った歯にも負担が集中します
見分け方:片側でしか噛んでいない、奥歯が何本かない、入れ歯を使っていない
期間の影響:失ってからの年数が長いほど、下がり方も大きくなります
③ 奥歯の被せ物が低く入った
どういうことか:被せ物を作るとき、少し低めに入ることがあります。1本なら影響は小さいのですが、何本も重なると高さが変わります
なぜ起きるか:高いと当たって痛むため、安全側に低く作られることがあります
見分け方:奥歯に何本も被せ物が入っている、入れたあと「噛みにくい」が続いた
正直なところ:1本ずつの判断としては間違っていません。積み重なると効いてきます
④ 治療のやり直しを繰り返した
どういうことか:詰め物や被せ物を外して作り直すたびに、歯はわずかに削られます
何が起きるか:削るたびに歯は短くなります。それが何本も重なると、全体の高さが下がります
見分け方:同じ歯を3回以上治療している、被せ物が何度も外れた
ここが分かれ目:1本ずつ直し続けるのか、全体の高さから見直すのか。この判断が全体治療の入口です
⑤ 歯周病で歯が動いた
どういうことか:支えている骨が減ると、歯が動いたり、沈み込んだりします
何が起きるか:噛む位置が安定せず、閉じる高さも変わっていきます
見分け方:歯ぐきが下がってきた、歯が動く感じがする、前歯にすき間ができてきた
順番:この場合、高さの前に歯ぐきの治療が先になります
①と②が重なっている方は、下がっている可能性が高くなります。ただし、下がっているからといって、必ずあげなければいけないわけではありません。次の節で、あげると何が変わるのかを書きます。
歯が全体的に悪くなっていく流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
あげると、何が変わるのか

あげると何が変わるのか
あげると何が変わるのか。良くなることと、引き受けることの両方を書きます。
変わること
前歯の負担が減る
どう変わるか:奥歯が本来の高さで当たるようになると、前歯が先に当たらなくなります
実感として:前歯が欠ける、すり減る、外れるという繰り返しが止まります
ここが本命:前歯を何度も直している方には、いちばん効く変化です
治した歯が壊れにくくなる
どう変わるか:力が全体に分散されるため、1本に集中しなくなります
実感として:数年おきに違う歯が壊れる、という流れが止まります
期待しすぎないこと:歯ぎしりが強い方は、ナイトガードの併用が必要になります
口元の見た目が変わる
どう変わるか:顔の下三分の一に高さが戻り、口周りのしわが浅く見えることがあります
正直なところ:劇的に変わるものではありません。これだけを目的にあげる治療は、おすすめしません
分かりやすい方:もともと下がり方が大きかった方ほど、変化を感じます
あごの筋肉の緊張が減ることがある
どう変わるか:あごが本来の位置に戻ると、周りの筋肉が楽になる方がいます
実感として:朝起きたときのだるさ、肩や首のこりが軽くなったという声があります
慎重に見ること:すべての症状が噛み合わせのせいとは限りません。他の原因も並行して見ます
引き受けること
- 慣れるまで2週間から1ヶ月かかります:体は今までの高さを覚えています。発音しにくい、あごが疲れる、といったことが一時的に出ます
- 範囲が広がります:高さを変えるなら、まとまった本数を同時に治すことになります。費用も期間も、部分的な治療より大きくなります
- 元には戻せません:被せ物を入れるために歯を削ります。削った歯は戻りません
- 上下同時に進めます:片方だけ先に完成させることはできません
入れたあとの慣れについては、以下の記事にまとめています。
どうやってあげるのか、あげない判断|名古屋の臨床から
実際にどうやってあげるのか
実際にどうやってあげるのか。そして、あげないほうがよい場合について書きます。
あげる量は、数ミリです
前歯のところで2〜4ミリ、奥歯では1〜2ミリ程度が目安です。数字にすると小さく聞こえますが、口の中では大きな変化として感じられます。
顔のバランス、発音、あごの関節の位置、残っている歯の状態から決めます。「とりあえず高くする」ということはしません。
仮歯で、1〜3ヶ月試します
決めた高さで仮歯を入れ、その状態で生活していただきます。食事、発音、朝のあごの状態、頬や舌を噛まないか。ここで問題が出れば、削って調整します。
この期間があるから、最終的な歯で失敗しません。逆に、ここを飛ばして本番を作ると、合わなかったときに全部やり直しになります。
あげないほうがよい場合
- 奥歯が両側にしっかり残っていて、すり減りも少ない
- 被せ物が長くもっていて、繰り返し壊れていない
- あごの症状も、見た目の悩みもない
- 治したい歯が1〜2本に限られている
この場合は、今の高さのまま部分的に治すほうが、費用も期間も体への負担も小さく済みます。高さを変えると、範囲が一気に広がるためです。
当院で判断するときに見ているもの
- 顔の写真:正面と横から。顔の下三分の一の比率を見ます
- 歯のすり減り方:前歯だけか、全体かで意味が変わります
- あごの動き:閉じる位置、開ける量、動かしたときの音
- レントゲンとCT:関節の位置と、骨の状態
- 口腔内スキャナ:今の高さを数値で記録します
そのうえで、「あげる案」と「あげない案」の2つをお出しします。費用と期間、それぞれで諦めることになる点まで書きます。
他院で提案を受けていて、あげるべきかどうか分からない場合も、その計画をお持ちいただければ妥当性だけを見ます。転院を前提としたご説明はしません。
名古屋・伏見駅から徒歩2分の当院は完全予約制・半個室で、無料相談とZoom相談をご用意しています。治療を受けることを前提にしないセカンドオピニオン外来(5,500円・税込)もあります。
まとめ|あげるかどうかを決める前に|よくあるご質問
まとめ|要点は3つです
要点は3つです。
第一に、あげるとは「本来あった高さに戻す」ことです。新しく高くするのではなく、すり減りや欠損で失った分を作り直します。
第二に、疑う手がかりは2つです。前歯だけが欠ける・出てくること。そして、数年おきに違う歯が壊れていくこと。この2つが揃うなら、高さが下がっている可能性があります。
第三に、必ず仮歯で試してから決めます。1〜3ヶ月、その高さで生活していただきます。ここを飛ばすと、合わなかったときに全部やり直しになります。
名古屋・伏見駅から徒歩2分の当院は完全予約制・半個室で、無料相談とZoom相談をご用意しています。治療を受けることを前提にしないセカンドオピニオン外来(5,500円・税込)もあります。
治療の順番については、以下の記事にまとめています。
期間と通院回数は、以下の記事をご覧ください。
よくあるご質問
Q1. 噛み合わせをあげると、顔は変わりますか。
顔の下三分の一に高さが戻るため、口周りのしわが浅く見えることがあります。ただし劇的に変わるものではありません。見た目だけを目的にあげる治療は、おすすめしていません。
Q2. どれくらいあげるのですか。
前歯のところで2〜4ミリ、奥歯で1〜2ミリ程度が目安です。上げれば上げるほど良い、というものではありません。顔のバランスと発音、あごの位置から決めます。
Q3. あげたあと、違和感は残りますか。
2週間から1ヶ月で慣れる方がほとんどです。体が今までの高さを覚えているためで、発音しにくい、あごが疲れるといったことが一時的に出ます。慣れないものは調整します。
Q4. 元に戻すことはできますか。
できません。被せ物を入れるために歯を削るためです。だからこそ、仮歯の段階で納得できるまで確かめます。
Q5. あげなくても治せませんか。
治せる場合があります。奥歯が両側に残っていて、被せ物も長くもっているなら、今の高さのまま部分的に治すほうが負担は小さく済みます。両方の案を出したうえで選んでいただきます。
Q6. 噛み合わせが原因で、肩こりや頭痛が起きることはありますか。
関係することはありますが、すべてがそうとは限りません。他の原因も並行して見る必要があります。噛み合わせを治せば必ず治る、という説明には慎重になってください。
関連する内容は以下のページでご説明しています。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
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