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入れ歯が外れる・浮き上がる原因と安定させる方法
浮き上がりを止めているのは、バネではありません
結論から言うと、入れ歯の外れにくさはバネの強さだけで決まりません。浮き上がりを抑えているのは、別の働きです。
「バネをきつくしてほしい」というご相談はよくいただきます。名古屋でお話を伺うときも、まずここから順番を整理します。
この記事で分かること。
- 入れ歯を安定させている3つの働きと、その順番
- 浮く場所・浮くタイミングから原因を絞る方法
- 作り直さずに変えられる範囲
入れ歯治療の全体像は、以下のページにまとめています。
3つの働きがあります
日本補綴歯科学会の資料では、部分入れ歯の働きが3つに分けて整理されています。
| 3つの働き | 担っていること |
|---|---|
| 支持 | 噛む力を受け止める |
| 把持 | 横ぶれと浮き上がりを抑える |
| 維持 | 外れにくくする |
多くの方が「維持」だけを見ています。ですが、食事中の浮き上がりを抑えているのは把持の働きです。
資料には、把持作用について「義歯床の側方的な動揺を抑制し、着脱方向以外への浮上・離脱を防止する」という趣旨の説明があります。つまり、上に引き抜く方向以外の動きは、バネの担当ではありません。
だから、バネを締めても食事中の浮きは止まらないことがあります。止まらないどころか、支えている歯に無理な力がかかります。
設計の順番が決まっています
同じ資料でさらに重要なのが、順番です。設計は支持から始め、次に把持、最後に維持とされています。
そして維持を優先するのは禁物だとはっきり書かれています。アンダーカットに多くを求めず、必要最小限で十分だという立場です。
これは「維持は弱くてよい」という意味ではありません。支えと横ぶれ止めができていれば、維持は少しで足りる、という考え方です。
なぜそうなるのか。資料によれば、噛む力は天然歯列で平均およそ35kgあります。この力をどこで受けるかが、まず決まっていなければなりません。
沈み込み方の差が効いています
もうひとつ、数字で見ておきたい点があります。粘膜の沈み込みは、歯根膜の5〜10倍とされています。
つまり歯ぐきに乗っている部分は大きく沈み、歯で支えている部分はほとんど沈みません。この差が、入れ歯を傾ける動きを生みます。
前だけが浮く、後ろだけが浮くという現象は、ここから説明できることが多くあります。左右どちらかだけ浮く場合も同じです。
どこが浮くかを伝えていただけると、この傾きの向きから原因を絞れます。

粘膜と歯根膜で沈み込み方が違う
浮くタイミングと場所で絞れます
受診のときは、次の3つを教えてください。それだけで確認する順番が変わります。
ひとつ目はいつ浮くかです。食事のときだけなら噛む力の受け止め方、会話のときなら床の縁の形、常に浮くなら内面の適合を先に疑います。
ふたつ目はどこが浮くかです。前か、後ろか、片側か。浮き上がる場所の反対側に、原因があることがよくあります。
みっつ目はバネのかかる歯の状態です。その歯が動いてきているなら、設計そのものを見直す段階です。
この3つは、どれもご自身で分かることです。診察室で言葉にできるよう、来院の前に思い出しておいてください。
作り直さずに変わることがあります
支えの受け皿を置く位置を変えるだけで、力の向きが変わります。資料では、手前側に置いた受け皿は隣の歯に支えられて傾きが抑えられ、力が歯の軸の方向に伝わるとされています。
奥側に置いた場合は、支えている歯を欠損側に傾ける力が働きます。同じ入れ歯に見えても、ここが違えば結果が変わります。
そのうえで資料は、同じ欠損の形でも、歯ぐきの状態や噛み合わせによって症例ごとに設計が異なるのが本来の姿だと述べています。既製の答えはありません。
痛みも一緒に出ている場合は入れ歯が痛いときの原因別対処法|当たる場所で分かることをご覧ください。
噛めなさのほうが強い場合は入れ歯で噛めない・力が入らない原因の切り分け|慣れか、設計かが参考になります。

受診のときに伝えたい3点
私がバネを最後に触る理由
バネを締めると、その場は外れにくくなります。ですが、外す・入れるたびに支えている歯が引っ張られます。
維持を強めることは、支えている歯に借金をすることだと考えています。今日の安定を、その歯の将来から前借りしている形です。
だから私は、まず噛む力をどこで受けているかを見ます。次に横ぶれが抑えられているかを見ます。バネはそのあとです。
日々の扱いも安定に関わります。長寿科学振興財団の資料では、1日1回、就寝時などに一定時間は外すことが勧められています。
同じ資料に、乾燥したままでは変形の原因になるという記載もあります。外している間は、水か義歯洗浄剤につけて保管してください。
形が変わってしまえば、どれだけ設計が良くても合いません。保管は、安定を保つための手入れの一部です。
定期検診についても、3〜6か月おきが勧められています。浮き始めてからではなく、変化を早く捉えるための間隔です。
安定剤でしのいでいる状態が続いているなら入れ歯安定剤に頼らない入れ歯にするにはをご覧ください。
調整で追いつく範囲かどうかは入れ歯の調整では何をする?回数・期間・調整の限界にまとめています。
そのまま使い続けた場合については合わない入れ歯を我慢し続けるとどうなるかにまとめています。
口元の見え方が気になる方は入れ歯で口元が老けて見える?原因と設計での対処をご覧ください。
型取りがつらい方は嘔吐反射がつらい方の型取り・入れ歯設計の工夫が参考になります。
総入れ歯で浮く場合は、仕組みが別になります。
名古屋・伏見で入れ歯の外れやすさを相談するなら
外れやすさは、慣れでどうにかするものではありません。様子見より相談を先にしていただければ、調整の範囲で収まることがあります。
当院での進め方は、入れたまま実際に動かして浮く方向を確かめ、支持・把持・維持のどこが足りていないかを切り分けるところからです。そのうえで、直せる範囲をお伝えします。
地下鉄伏見駅6番出口から徒歩2分です。名古屋市内・愛知県内から通われる方が多くいらっしゃいます。
他院で作った入れ歯についてのご相談も承っています。
よくあるご質問
バネをきつくしてもらえますか?
調整はできますが、最初の手段にはしていません。バネを締めると外す・入れるたびに支えている歯が引っ張られ、その歯が動き始めることがあります。まず噛む力の受け止め方と横ぶれの抑え方を確認し、それでも足りない場合に維持を足していきます。
食事のときだけ浮くのはなぜですか?
噛む力の受け止め方に偏りがある可能性があります。歯ぐきに乗っている部分は大きく沈み、歯で支えている部分はほとんど沈みません。この差が入れ歯を傾ける動きを生みます。浮く場所の反対側に原因があることがよくあります。
作り直さないと直りませんか?
そうとは限りません。支えの受け皿を置く位置や、床の縁の形を変えるだけで変わることがあります。一方で、支えている歯が減っている場合は設計から見直す段階です。どちらに当たるかは、実際に動かして確かめます。
※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。
検査・診断のうえ、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。
監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)
院長 村井亮介
名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。
経歴
- 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
- 大手歯科医療法人勤務
- インディアナ大学歯学部補綴科卒業
資格
- 米国補綴専門医
所属学会
- 日本補綴歯科学会
- ACP american academy of prosthodontics member
- ITI international team
for implantology 会員 - AO academy of
osseointegration 会員
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