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口元と見た目の若々しさ

名古屋で「口元 老け」が気になり始めたとき、顔で何が起きているのか

鏡に映る自分の顔で、目や額よりも先に口元に年齢が出ていると感じたことはないでしょうか。この見え方は、皮膚のたるみだけで決まっているわけではありません。唇を内側から支えている歯と噛み合わせも関わっています。ただし関わり方の個人差は大きく、歯科で変えられる部分と変えられない部分は明確に分かれます。名古屋で口元の老けが気になり始めた方へ、その線引きを数値で確かめていきます。

鏡を見て「なんとなく老けた」と感じるとき、変化は一か所ではなく複数の場所で同時に進んでいます。まず、唇そのものが変わります。

20代から50代の中国人女性169名を3D写真計測で比較した研究があります(Chong ら、2020年、n=169、横断研究。20代48名・30代43名・40代43名・50代35名)。上唇の赤い部分(赤唇=唇のうち色が濃く見える部分)の高さは、8.10mmから6.57mmへ約1.54mm減っていました。一方、鼻の下から唇までの皮膚の部分は13.75mmから16.74mmへ、約2.99mm伸びていました。唇が薄くなり、鼻の下が間延びして見える。この二つが同時に起きます。中国人女性に限られた横断研究であり、個人が年齢を重ねる過程を追ったものではない点は、読むときの前提です。

同じ研究は、変化のスピードにも触れています。20代から30代、30代から40代の間の変化は比較的緩やかで、40代から50代の間で目立つようになる、という記述です。40代後半から気になり出す方が多いのは、感覚だけの話ではないのかもしれません。

唇の変化は、歯科では変えられない

上唇の皮膚が伸びること、赤唇が薄くなることは、歯科の治療で戻せる範囲ではありません。19歳から60歳までの265名を動画解析した研究でも、上唇の長さは男性で2.25mm、女性で0.49mm長くなっていました(Drummond & Capelli Jr.、2015年、n=265)。ここは加齢そのものの変化です。

それでも歯科の話が出てくるのは、唇の内側に何があるかで、同じ唇でも見え方が変わるからです。唇は自立していません。歯と歯ぐき、その下の骨に支えられて、前に押し出された形を保っています。支えが下がれば、唇は内側へ落ち込みます。

前歯の見え方は、加齢とともに上下が入れ替わる

先ほどの265名の研究には、もう一つ結果があります。上の前歯が見える量は、安静時・会話時・笑ったときのいずれでも年齢とともに有意に減り、逆に下の前歯が見える量は増えていました。

注目していただきたいのは、「下の前歯の露出が増える」という項目が、この研究で唯一、男女差が有意に出なかった変数だったことです。著者はこれを普遍的な加齢の特徴と表現しています。男女を問わず、年齢とともに上の歯が引っ込み、下の歯が出てきます。

原因は一つではありません。上唇が伸びること、上の前歯がすり減って短くなること、歯の位置が少しずつ移動すること。これらが重なった結果で、どれか一つを取り出して決めつけられる性質のものではありません。

日本の実態調査の数値も置いておきます。令和6年歯科疾患実態調査(2024年10〜11月実施、被調査者14,695人)によると、一人平均の現在歯数は40〜44歳で28.1本、50〜54歳で27.4本、60〜64歳で25.7本でした。40代から60代前半にかけて、平均では2本程度しか減っていません。この年代の口元の変化は、歯が大きく失われたからというより、残っている歯の形と位置が少しずつ変わったことによる部分が大きいと考えられます。ご自身の年代でどこまでが自然な変化かを知りたい方は、年齢別の考え方をまとめた記事が参考になります。

数値で確かめる、歯と「老けて見える」の距離

ここからは、印象の話を数値に置き換えます。ただし「歯科治療で見た目年齢が何歳変わる」という研究は、今回の調査では見つかりませんでした。

前歯の見え方と、他人が推定する年齢

笑顔の写真を加工して上下の前歯の露出量を変え、162名(矯正歯科医54名・歯科医54名・一般の方54名)に評価してもらった研究があります。下の前歯の露出が大きい画像ほど、有意に高い年齢が推定されました(Russo ら、2025年、評価者162名)。

この研究は査読前のプレプリントで、モデルは22〜24歳の女性2名の加工画像です。中高年の顔にそのまま当てはまるとは限らず、限定的なエビデンスとして扱ってください。それでも、前歯の見え方が年齢の印象に関与しているという方向は、先ほどの265名の研究と矛盾しません。

歯が失われると、加齢の変化はどうなるか

65歳以上の90名(完全に歯を失った方30名・部分的に失った方30名・歯が残っている方30名)と、24歳前後の若年者30名を3D光学スキャンで比較した研究があります。高齢群は若年群より上下の赤唇の幅が有意に狭く、皮膚部の上唇が長く、横顔が平坦でした。下顔面の高さは、完全に歯を失った群で最も小さい値を示しました(Skomina ら、2022年、n=120)。

著者の結論は、歯の欠損が加齢による顔貌の変化を、加齢単独の場合より増幅するというものです。歯を失うと老けるのではなく、加齢で起きる変化の幅が広がる、という言い方が正確です。

令和6年歯科疾患実態調査では、80歳で20本以上の歯を持つ方の割合は61.5%で、前回の51.6%から上昇しました。70〜74歳の装着状況は、ブリッジが50.3%、部分床義歯が32.6%、全部床義歯が11.0%です。多くの方が、何かを入れた状態で噛み、人と会っています。装置が入っていること自体は珍しくありません。

見え方に関わる要素 報告されている変化 歯科で対応できること(利点) 注意点(リスク・限界)
皮膚部の上唇が伸びる 20代→50代で約2.99mm伸長(Chong ら 2020) 歯科の治療では戻せない。加齢そのものの変化
赤唇が薄くなる 上赤唇高 8.10→6.57mm(同) 内側からの支えの回復で見え方が変わることがある 唇の組織そのものは変わらない。効果に大きな個人差
上の前歯が見えなくなる 加齢で有意に減少(Drummond & Capelli 2015) すり減った歯の形や長さを設計し直せる 削る量・費用・期間の負担が伴う
下の前歯が目立つ 加齢で増加。男女差のない唯一の変数(同) 上下の見える量のバランスを設計に含められる 前歯だけの対応では噛み合わせを崩すことがある
下顔面の高さが減る 完全無歯顎群で最小(Skomina ら 2022) 噛み合わせを含めた全体設計の対象 高さの扱いは慎重な検証が要る
咬筋が薄くなる 歯の喪失が独立予測因子(Yamaguchi ら 2018) 噛める場所の回復が前提 筋肉の厚みを直接増やす治療ではない

噛む筋肉は、年齢よりも歯の本数と結びついていた

表の最後の行の補足です。地域に住む健常な高齢者97名の咬筋(頬にある噛むための筋肉)を、超音波で測った研究があります(Yamaguchi ら、2018年、n=97)。筋肉の厚みに対する歯の喪失の影響は、男性の収縮時で標準偏回帰係数−0.39、女性で安静時・収縮時とも−0.35でした。著者は、歯の喪失は加齢や全身の骨格筋量よりも咬筋の厚みとの関連が強いと結論しています。

頬のあたりがこけて見える背景に、噛める場所が減ったことがある可能性を示すデータです。ただし横断研究であり、因果関係を示すものではありません。噛める・噛めないが食事や生活をどう変えるかは、栄養の側から整理した記事が具体的です。

なお、噛み合わせと見た目の話は、俗説が混ざりやすい領域です。何がどこまで確かめられていて、何が推測なのかという線引きは、肩こりや姿勢との関係を扱った記事にまとめています。

歯科で変えられないこと、そして向かないケース

ここは記事の中で一番大事な部分だと考えています。

まず、個人差が非常に大きい領域です。同じ治療をしても、見え方の変化が明確な方もいれば、ご自身では違いを感じにくい方もいます。唇の厚み、皮膚の状態、骨格、笑い方の癖。歯以外の要素が占める割合が大きいためです。「口元 老け」を主訴に来られた方に、私が最初に確認するのはそこです。

もう一つ、この記事の前提として書いておきたいことがあります。口元の見た目については、美容の文脈で語られる情報が非常に多く、そのなかには歯科の領域と重なるように見えて実は別物、というものが少なくありません。歯科医院で扱えるのは、あくまで歯と噛み合わせという内側の構造です。外側の皮膚や脂肪の話を、歯の治療で解決できるかのように説明することはできません。

そのうえで、歯科の守備範囲を整理します。

  • 変えられる可能性があるもの:歯の長さ・形・並び・色、失った場所の回復、上下の前歯が見える量のバランス、唇を内側から支える面の位置
  • 変えられないもの:皮膚のたるみ、鼻の下の皮膚が伸びること、赤唇そのものの厚み、ほうれい線の溝そのもの、骨格
  • 慎重な検証が要るもの:噛み合わせの高さの変更。見た目のためだけに動かす対象ではなく、機能の側から必要性を判断します

負担の現実も先に書いておきます

前歯の見え方に関わる治療は、複数の歯にまたがることが多く、通院回数が増えます。仮歯で過ごす期間も生まれます。歯を削る場合は元に戻せません。費用は自費が中心になります。「思ったほど変わらなかった」という結果が起こり得ることも、始める前に共有しておくべきことです。

自分はどうか、を整理する4つの確認ポイント

  • 笑ったときに、上の前歯と下の前歯のどちらがよく見えているか(写真で確認できます)
  • 上の前歯の先端が、若い頃より短くなっていないか。角が丸くなっていないか
  • 奥歯で左右ともしっかり噛めているか。片側だけで噛む癖がついていないか
  • 気になっているのは歯の部分か、それとも唇や皮膚の部分か

4つ目が特に重要です。気になっている場所が唇や皮膚であれば、歯科では解決できません。その場合は、無理に歯科の治療を勧めることはしません。

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持病がある方は、進め方そのものが変わります。血圧や心臓の薬を飲んでいる方、内科で治療中の方は、外科的な処置の可否や順番の組み立てが違ってきます。骨に関わるお薬を使っている方は、抜歯やインプラントの判断に事前の確認が必要になります。

口元の変化は、口の働き全体がゆっくり落ちていく流れの一部として起きることもあります。その流れには「オーラルフレイル」という整理の枠組みがあり、見た目より前の段階から確認できる指標が並んでいます。

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関連記事▶ 噛める力と全身の健康【完全ガイド】(近日公開)

噛める力と見た目、そして全身の健康がどうつながっているのかを通しで理解したい方は、ハブとなる完全ガイドから読み始めると、この記事の位置づけが分かりやすくなります。個別のテーマがどの順番で関係しているかが整理されています。あわせて、噛むことと脳の働きの関係についてはデータの読み方に注意が要る領域なので、線引きを扱った記事も参考になります。

私が口元の相談を受けたときに、最初にすること

口元の見え方についてのご相談で、私が最初にすることは、希望を形にして見比べられる状態に置くことです。見た目の希望は、言葉にすると人によって指す内容が違います。「若く見えるように」の中身が、歯の長さのことなのか、笑ったときの歯ぐきの見え方なのか、上下どちらの歯の見える量なのかは、話しているだけでは一致しません。

ゴールを決めてから、最初の1本に着手する

米国で驚いたのは、診断の文化でした。お口全体の治療では、完成形の模型(ワックスアップ。最終的な歯の形を蝋で作って見せる模型)を先に作り、そのゴールを患者さんと共有して合意してから、最初の1本に着手します。ゴールを決めないうちは走り出さない、という原則が徹底されていました。

見た目の相談では、この手順の価値がとくにはっきりします。模型があれば、「もう少し短く」「この角をもう少し丸く」という調整を、歯を削る前に行えます。言葉のやり取りだけで進めて、装置ができてから違いに気づく場合とでは、引き返せる幅がまったく違います。

そして合意したゴールは、そのまま途中経過を評価する基準にもなります。数値の裏づけもあります。インプラント支持の補綴で口の中全体を治した99名(年齢中央値67歳)の前向き研究があります(Manfredini ら、2024年、n=99)。審美の視覚的評価尺度はベースラインと比べて、仮の補綴装置の段階で+30.44点、最終補綴で+51.97点動いていました(いずれもp<0.001)。同じ研究でOHIP-14という指標の合計は32から20、18へと下がっています。対照群のない単施設の研究なので因果は言えませんが、最終の装置に入る前の段階ですでに評価が大きく動いているという点は、着手前にゴールを形にしておくことの意味と重なります。

実際の診療でも、私は仮の装置を入れた状態で数週間過ごしていただき、ご家族の反応も含めて伺います。「口を開けたときにここが気になる」という言葉は、鏡の前で1回見ただけでは出てきません。日常の中で使ってみて、初めて出てくるものです。

日米で違うのは、この入口の作り方

米国と日本、その両方の診療の現場に身を置いてきて、進め方に差が出ると感じるのは、着手前にどこまで形を決めておくかという点です。日本の診療報酬は、訴えのある部位ごとの処置を単位として組み立てられており、主訴の歯から着手する流れが自然になります。制度の設計の違いであって、どちらが優れているという話ではありません。

ただ、口元の見え方の相談は、主訴の歯を1本治しただけでは解けないことが少なくありません。上の前歯を1本だけ長くすれば、左右のバランスと下の歯との関係が同時に動きます。だからこの領域では、着手前にゴールの形を決める手順を、私は日本の診療にも持ち込む形で運用しています。時間は前倒しで必要になりますが、削ってから決め直す場面を減らせます。

名古屋で口元の見え方についてご相談を受けるとき、私がまずワックスアップと写真の話から始めるのは、この理由によります。

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なお、歯を支える土台に問題がある場合は、見た目の設計より先にそちらを整える必要があります。糖尿病がある方の歯周組織の扱いは特に順番が重要で、そこは専門の記事に譲ります。

当院では、カウンセリングルームは完全個室、診療室は半個室にしています。見た目の悩みは人前で話しにくいことが多いので、まずは落ち着いた場所でお話を伺うところから始めます。

まとめ|名古屋で口元の老けが気になったときの整理の順番

口元の見え方は、唇と皮膚の変化、歯の見え方、噛み合わせの支え、噛む筋肉という複数の要素の合算で決まっています。このうち歯科が関われるのは一部で、皮膚のたるみや赤唇の厚みそのものは対象外です。まず、ご自身が気にしている場所がどこなのかを分けてみてください。

順番としては、写真で上下の前歯の見える量を確かめる、奥歯で左右とも噛めているかを確認する、そのうえで気になる場所が歯なのか唇なのかを切り分ける。この3ステップで、相談すべき相手が歯科なのかどうかがかなり見えてきます。歯の側に理由がありそうなら、検査を受けてから判断すれば十分です。

名古屋・伏見で口元 老けについてご相談いただく場合、まず無料相談で構いません。話を聞くだけで終わっても問題ありません。

よくあるご質問

Q1. 何年も歯医者に行っていません。見た目のことで相談したら、まず説教されそうで怖いのですが。

説教はしません。通えなかった時期には、それぞれ事情があります。私が伺いたいのは、なぜ来なかったかではなく、今どう見えているのが気になるのか、そして今どこで噛めているのかです。令和6年の歯科疾患実態調査では、過去1年間に歯科検診を受けた方は63.8%でした。裏を返せば3人に1人以上は受けていません。空いた年数は治療計画の中身をほとんど左右しません。

Q2. 歯を治せば若く見えるようになりますか。

そう言い切れる根拠はありません。「歯科治療で見た目年齢が何歳変わる」という研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。分かっているのは、前歯の見え方が年齢の印象に関与していると示唆する報告がある、という段階までです。変化の感じ方には非常に大きな個人差があり、ご自身では違いを感じにくい場合もあります。ここは正直にお伝えするようにしています。

Q3. ヒアルロン酸などの美容施術と、歯科の治療はどちらを先にすべきですか。

気になっている場所によります。唇の厚みやほうれい線の溝そのものが対象であれば、歯科では変わりません。一方、歯が短くなっている、噛み合わせが下がっている、失った場所がある、という状態が背景にある場合は、内側の支えを整えてから外側を検討したほうが、判断の材料がそろいます。当院で美容施術を行うことはありませんので、どちらが向いているかを一緒に整理するところまでをお手伝いします。

Q4. 費用と期間はどのくらいかかりますか。

状態によって幅が大きく、この場で目安の金額をお示しすることはできません。CTや口腔内スキャナーによる検査と診断を行ったうえで、費用・期間・主なリスクをまとめてご提示します。初回のご相談は無料です。他院で提案を受けていて意見を聞きたい場合は、セカンドオピニオン外来(5,500円税込)もご利用いただけます。遠方の方や、まず話だけ聞きたい方にはZoomでのご相談もご用意しています。

※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。見た目に関わる変化は特に個人差が大きく、同じ処置でも感じ方が異なります。

治療にかかる費用・期間・主なリスクについては、検査・診断のうえでまとめてご説明します。歯を削る処置は元に戻せないこと、通院回数と仮歯の期間が必要になること、装置の維持と定期的な調整が続くことを含めて、始める前にご確認ください。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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