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パニック障害・過呼吸の既往がある方の歯科治療

名古屋でパニック障害があり歯科を探している方へ|まず共有することから

歯科の椅子で息が苦しくなった経験があると、次の予約がとても重くなります。名古屋でパニック障害があり歯科受診を迷っている方に先にお伝えしたいのは、診断と治療は主治医の領域であり、歯科はその前提のうえで段取りを組み立てる立場だということです。世界25か国14万人超の調査では、生涯に一度でもパニック発作を経験した人は13.2%と報告されています。この記事では、共有すべきことと、歯科側でできる範囲を分けて整理します。

この記事でわかること

  • パニック発作の生涯経験は13.2%、パニック障害は1.7%と国際調査で報告されています
  • 不安症のある方は歯科恐怖が高く出やすく、相対危険度7.44という報告があります
  • 歯科での急変は10万人あたり17.4件と報告され、その6割超は失神でした
  • 紙袋を使った再呼吸法は、現在は推奨されていないと報告されています

まず、通えていなかった期間について、こちらから理由を問いただすことはありません。受診が途切れることには、症状として説明のつく部分があると報告されています。

通院が途切れることは、記録として残っています

ドイツで行われた比較研究があります(Lenk M, Berth H, Joraschky P ら、2013年、Deutsches Ärzteblatt International)。心身症の患者212人と、健常な対照95人を比べた研究です。

病的に高い歯科恐怖を示した人は、患者群で30.5%、対照群で4.2%でした。不安症のある方に限ると31.3%で、相対危険度は7.44(95%信頼区間2.68〜20.70)と報告されています。

同じ研究で、恐怖の強い方の56%が予約をキャンセルするか、無断で行かなかったと記録されています。1年以上歯科を避けていた方は38.5%でした。行けなかったのは、意志の弱さではなく、こうした形で現れる症状の一部だという読み方ができます。

パニック発作そのものは、珍しいものではありません

25か国142,949人を対象にした世界精神保健調査があります(de Jonge P ら、2016年、Depression and Anxiety)。生涯に一度でもパニック発作を経験した人は13.2%と報告されました。パニック障害の生涯有病率は1.7%です。

発症年齢の中央値は32歳で、四分位範囲は20歳から47歳でした。仕事や家庭が忙しい時期と重なりやすい年代です。歯科の受診が後回しになりやすい時期とも重なります。

数字を挙げたのは、比較して安心していただくためではありません。ご自身の状態を説明するときに「特殊な事情を説明している」と感じなくてよい、とお伝えしたいからです。

最初に共有していただきたいことは3つです

一つ目は、主治医がいるかどうかと、通院先の診療科です。二つ目は、服用中のお薬です。三つ目は、過去に歯科でつらくなったことがあるなら、そのときの状況です。

この3つが分かると、進め方の選択肢がその場で絞れます。逆に、これが分からないまま処置を始めると、こちらは安全側に寄せた判断しかできません。結果として、できたはずの治療まで先送りになることがあります。情報の共有は、制限をかけるためではなく、選べる幅を広げるために行っています。

これらは、初回にすべて話していただく必要はありません。口の中を見せる前に、話すだけの回を作ることもできます。

怖さ全体の強さを点数で見ておきたい方は、質問票を使う方法もあります。

数値で見る、歯科での急変と過呼吸への対応

ここからは報告されている数値を並べます。目的は、起こりうることの大きさをあらかじめ共有しておくことです。

歯科での急変は、どれくらい起きているか

報告 対象 発生率 主な内訳 転帰
Al-Sebaei(2024年、サウジ、14年間) 受診1,722,252件 10万人あたり17.4件 失神62.3%、低血糖12%、パニック発作8件(約2.7%) 院内で回復87%、搬送13%、死亡例なし
Obata ら(2021年、日本、8年間) 1,146,929人 0.0037% 6割超が血管迷走神経反射 当日帰宅90.5%、入院9.5%

※スマートフォンでは表を横にスクロールできます

サウジアラビアの歯科大学病院の記録では、14年間で救急対応となったのは300件でした(Al-Sebaei MO、2024年、BMC Emergency Medicine)。平均年齢は34.2歳、女性が66%です。全身的に健康と分類される方が70%を占めていました。

日本の単施設8年の記録でも、救急対応として相談された方は42人(0.0037%)でした(Obata K, Naito H, Yakushiji H ら、2021年、Acute Medicine & Surgery)。発生のタイミングは、治療前・治療中・治療後でほぼ同等だったと報告されています。

サウジアラビアの報告では、発生のタイミングとして局所麻酔の投与後が75.3%を占めていました。処置そのものより、その前後に集中しているという読み方ができます。この点は、段取りをどう組むかを考えるときの手がかりになります。

数字を出す理由は、頻度が低いから心配ないと言うためではありません。起きたときに何が起きるかが記録として残っている、という事実をお伝えするためです。日本の報告では入院に至った方が9.5%、当日帰宅された方が90.5%でした。

紙袋を使う方法は、現在は推奨されていません

過呼吸のときに紙袋を口に当てる方法は、今も広く知られています。ただし現在の医学的な解説では、この方法は推奨されていません。

理由として、急性心筋梗塞・気胸・肺塞栓症の患者を過換気症候群と誤認して紙袋再呼吸を行い、死亡した例が報告されている点が挙げられています。低酸素のリスクがあること、二酸化炭素そのものが不安の引き金になりうることも指摘されています。

代わりに挙げられているのは、横隔膜を使った腹式呼吸です。呼吸数が落ち、注意の向け先ができ、自分でコントロールしている感覚が得られるとされています。呼吸の再訓練に習熟した専門職への紹介も推奨されています。なお日本歯科麻酔学会は、歯科治療中の過換気症候群についてのプラクティカルガイドを2025年6月に公開しています。

その場の介入と、恐怖そのものへの介入は別でした

無作為化比較試験173件を対象にした系統的レビューがあります(Steenen SA, Linke F, van Westrhenen R, de Jongh A、2024年、Journal of Anxiety Disorders)。うち67件が14のプール解析に組み入れられました。

歯科不安そのものに対しては、認知行動療法が効果量マイナス0.65(95%信頼区間マイナス1.06〜マイナス0.24、確実性は中)と報告されています。歯科恐怖症に対する心理療法はマイナス0.48、認知行動療法はマイナス0.43でした。

一方、口腔外科処置中のその場の不安に対しては、催眠がマイナス0.31、ベンゾジアゼピン系薬剤がマイナス0.43でした。音楽・アロマ・VR・鍼はこのレビューでは支持されていません。薬を使う方法は一般的な選択肢としては存在しますが、確実性は低いと評価されており、服薬中の薬との関係もあるため医科的な判断が要ります。

麻酔そのものの受け方については、別に整理しています。

歯科側でできる範囲と、主治医に委ねる部分

ここは曖昧にしないほうがよい部分です。歯科が引き受けられることには、はっきりした境目があります。

診断と薬の判断は、主治医の領域です

パニック障害は精神医学上の診断名です。診断も、薬をどうするかも、主治医が決めることです。歯科の側でその判断に立ち入ることはありません。

歯科と精神科の連携を制度として組み立てる提案は出ていますが、この領域の診療ガイドラインは存在しないとも指摘されています(Narayan V、2023年、Cureus)。同じ論文では、複数の薬を服用している方が多く、歯科で処方する薬との相互作用を評価する必要があるとも述べられています。

ですので、私たちがお願いするのは情報の共有です。お薬手帳をお持ちいただければ、それだけで判断できることが増えます。主治医から歯科への申し送りが必要と考えられる場合は、こちらから文書でご依頼することもできます。

この照会は、許可をもらうための手続きではありません。歯科側が知らない情報を埋めるための確認です。返答の内容によって治療を断ることは、原則としてありません。進め方が変わるだけだとお考えください。

歯科側で調整できるのは、段取りです

歯科側でできるのは、いつ・どれだけ・どの姿勢で処置を行うかの調整です。1回の長さを短く区切るか、まとめて行うかは選べます。

途中で止める合図を先に決めておくこともできます。

口を開けている時間そのものがつらい方には、別の工夫が要ります。

ただし、これらの調整によって発作が起きなくなると申し上げることはできません。段取りの調整と発作の頻度の関係を調べた比較試験は、確認できていません。できるのは、起きたときに慌てない形を先に作っておくところまでです。

ここを正直に書いておく理由があります。「これで大丈夫です」と言われて臨んだ日に、それでもつらくなったとき、次の予約が取れなくなるからです。うまくいかない日があっても計画が崩れない形にしておくほうが、結果として続きます。

当院の環境として、事実だけをお伝えします

当院は完全予約制です。カウンセリングルームは完全個室で、診療室は半個室です。待合で長く待つ形にはなりにくい構造になっています。来院そのものが難しい段階であれば、Zoomでの相談もできます。

一方で、当院で提供できる処置の範囲には限りがあります。医科的な管理が前提になる方法が必要と判断される場合は、その旨をお伝えし、対応できる施設をご案内します。抱え込むことのほうが危ないと考えています。ご案内した先で治療を受けたあと、当院に戻っていただく形でも構いません。

相談の前に、ご自身で整理しておけること

  • ☑ 主治医と診療科。通院先があれば、科名だけでも分かると連携の判断が早くなります
  • ☑ 服用中のお薬。お薬手帳をそのままお持ちいただければ、書き出す必要はありません
  • ☑ つらくなった場面。椅子を倒したとき、口を開けたときなど、思い出せる範囲で構いません
  • ☑ 止めてほしいときの合図。手を挙げる、指を動かすなど、やりやすい方法をお考えください
  • ☑ 同席してほしい人がいるか。一人で来るのが難しければ、その旨だけで足ります

書き出してお持ちいただく必要はありません。当日、口頭で断片的に伝えていただければ、こちらで整理します。

私が治療の順序に「負担の置き場所」を組み込む理由

ここからは私自身の考え方をお話しします。息苦しさの起きやすさを、当日の気配りではなく治療計画の条件として扱っているという話です。

順序を決めることは、負担を配分することです

私は米国インディアナ大学大学院で補綴学を3年間学びました。そこで印象に残っているのは、個々の歯の治し方より、治療の順序をどう決めるかに授業時間の大半が割かれていたことです。

順序を決められるということは、体への負担をどこに置くかも決められるということです。長く口を開ける処置を1日にまとめるのか、分けるのか。上を向く時間の長い処置を、通い始めのどの段階に置くのか。これらは設計として扱えます。

パニック発作の既往がある方の場合、私は最初の数回に、姿勢の負担が軽い内容を置くことがあります。診療室と体を慣らす時間を、治療の中に組み込んでおくという考え方です。

遠回りに見えるかもしれません。ただ、順序を先に決める設計では、この配分を最初から織り込めます。処置を思いついた順に足していく進め方では、負担がどこに集中するかを誰も管理していない状態になります。全体を先に描いておく実利は、こういうところにも出ます。

ゴールを先に決めてから走り出す

米国で驚いたのは、お口全体の治療では完成形の模型を先に作り、ゴールを患者と共有して合意してから最初の1本に着手する文化でした。ゴールを決めずに走り出さない、という考え方が徹底されていました。

何が起きるか分からない時間そのものが、負担になります。今日は何をして、何をしないのか。あと何回で何が終わるのか。これが先に分かっているだけで、椅子に座る前の重さは変わってきます。予定の紙をお渡しして、ご自宅で確認していただくこともできます。

この考え方は、日本で受けた教育とは少し違いました。日本では、目の前の困っている歯から手をつける進め方が自然とされる場面が多くあります。どちらが正しいという話ではなく、前提の置き方が違います。ただ、不安の強い方にとっては、先に地図がある形のほうが負担が軽いと私は考えています。

全体を治す道のりのどこに山があるかを共有しておくことも、同じ目的です。

見通しが立たない状態を長く続けないことが、私の考える設計の役割です。

仮歯の期間に、実際の負担を確かめます

指導医から教わったことの一つに、仮歯は仮の歯ではなく完成形のテスト走行だ、という考え方があります。噛み合わせの高さ、発音、見た目をそこで検証してから、最終の歯に置き換えます。

この期間には、もう一つ役割があります。どの姿勢なら耐えられるか、何分までなら大丈夫かを、実際に試せることです。仮歯の調整は短い処置が中心ですので、確かめるには適した時期です。大きく削る処置がほとんど発生しないため、体への負担も比較的軽い局面になります。

確かめた結果は、そのまま計画に反映します。20分が限界だと分かれば、以降の処置はその中に収まるよう組み直します。逆に思ったより耐えられたなら、まとめて進める選択肢も出てきます。どちらであっても、実際に試した数字をもとに決められるのが仮歯の期間の利点です。

私は通常なら歯科技工士に委ねられる製作の工程まで自分の手で行ってきました。設計から製作まで一人で仕上げた入れ歯は100床近くになります。どの工程で何が起きるかを実感として知っているので、次に何が来るかを先にお伝えできます。音やにおいが引き金になる方には、その予告が特に意味を持ちます。

帰国後は、補綴の設計や治療計画について歯科医師向けの講演を続けてきました。そこで議論になるのも、処置の巧拙より順序の決め方です。体への負担への配慮は気配りの話に見えて、実際には計画の話だと私は考えています。

名古屋でパニック障害があっても始められる歯科治療の整理

名古屋でパニック障害があり歯科受診を迷っている方に、お伝えしたいことは3つです。診断と薬の判断は主治医の領域であり、歯科はその情報を共有したうえで段取りを組みます。歯科での急変は10万人あたり17.4件と報告され、記録上その6割超は失神でした。紙袋を使う方法は、現在は推奨されていないと報告されています。

最初にしていただくのは、主治医の診療科とお薬手帳をお持ちいただくところまでで足ります。当院は完全予約制で、カウンセリングルームは完全個室、診療室は半個室です。名古屋市中区栄、地下鉄「伏見駅」7番出口から徒歩2分です。無料相談は無料です。

一人で来るのが難しければ、ご家族に同席いただく受け方もあります。

長く通えていなかった経緯から整理したい方は、まず全体像をご覧ください。

よくあるご質問

Q1. 予約のときに、パニック障害があると伝えたほうがいいですか。

お伝えいただけると助かります。詳しい経緯まで話す必要はなく、「パニック障害の既往があります」「主治医がいます」の2点で足ります。それだけで、予約枠の取り方や当日の進め方を変えられます。伝えたことで受診を断られることはありません。話しにくければ、来院してから紙に書いていただく形でも構いません。電話で言葉が出てこなくても、こちらから順に伺いますのでご心配は要りません。

Q2. 治療中に発作が起きたら、どうなりますか。

まず処置を止めて、姿勢を戻し、落ち着けるまでお待ちします。紙袋を使う方法は、誤診時の死亡例が報告されているため用いません。挙げられているのは横隔膜を使った腹式呼吸です。歯科での急変の記録では、サウジアラビアの14年間の報告で院内で回復した方が87%、死亡例はなしと報告されています。必要と判断すれば、医療機関への連絡や搬送を行います。その日の残りの処置は中止して構いません。中断したからといって、計画全体をやり直すことにはなりません。

Q3. 主治医に相談してから行くべきでしょうか。

先に相談していただければ理想的ですが、それを条件にはしていません。相談すること自体が負担になる場合もあります。まず歯科で話を伺い、必要と判断した時点でこちらから文書での照会をお願いすることもできます。順番はどちらからでも構いません。なお、歯科と精神科の連携については、確立した診療ガイドラインがないと2023年の論文で指摘されています。手順が決まっていない領域ですので、その都度ご相談しながら決めていきます。

Q4. 何年も行っていません。事情を説明するのがつらいのですが。

説明していただかなくて構いません。通えなかった期間の長さを、こちらが評価することはありません。ドイツの研究では、強い歯科恐怖のある方の38.5%が1年以上受診を避けていたと報告されています。珍しいことではありません。話したくない部分は伏せたまま、無料相談で今できることだけを決めていく形にもできます。その日に治療を始める必要もありません。次に何をするかだけ決めて帰っていただく回で構いません。

※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。

検査・診断のうえで、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明します。ご説明の前に治療を進めることはありません。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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