歯ぎしり・食いしばりがある方の全顎治療|設計で何を変えるのか

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歯ぎしりがある方の全顎治療|壊れにくい設計にするには

寝ている間の力は、意識では止められません

大きな費用と時間をかけて全体を治したのに、数年で欠けた、外れた、割れた。この背景にいちばん多いのが、噛む力です。

むし歯や歯周病は歯みがきと通院である程度コントロールできます。ですが力は、本人の努力ではほとんど変えられません。

寝ている間の力は、意識では止められません

日中の食いしばりは、気づけば緩められます。しかし睡眠中の歯ぎしりは、意識で止めることができません。力の大きさも、食事のときの数倍になることがあります。

ですから「気をつけます」では解決しません。力がかかる前提で設計するほうが現実的です。

自分では気づきにくい

音が出るとは限りません。音の出ない食いしばりのほうが多く、家族に指摘されないまま何十年も続いている方がいます。

手がかりは口の中に残ります。次の節で、確かめ方を書きます。

自分で確かめられる5つの手がかり

ご自身で確かめられるものを中心に、5つ挙げます。3つ以上当てはまる方は、力が強い可能性があります。

① 歯の噛む面が平らになっている

どこを見るか:奥歯の山が削れて平らに、前歯の先が真っ直ぐに揃っている

なぜ分かるか:本来の歯には山と谷があります。すり減ると失われます

見分けのコツ:鏡で下の前歯の先を見てください。透けて見える、真横に一直線なら、すり減っています

② 骨が盛り上がっている

どこを見るか:下あごの内側、舌の下あたり。上あごの真ん中

何か:骨隆起といって、力がかかり続けた骨が厚くなったものです

大事なこと:病気ではありません。ただし力が強い証拠としては、かなり確実な手がかりです

③ 朝、あごが疲れている

どんな感じか:起きたときにあごが重い、こめかみが張る、口が開けにくい

なぜ朝か:寝ている間に力がかかっているためです

他の手がかり:肩や首のこりが朝に強い方も、同じ背景があることがあります

④ 治療した歯が繰り返し壊れている

どういうことか:詰め物が外れる、被せ物が欠ける、歯が割れる。これを何度も経験している

ここが重要:材料や技術の問題ではなく、力が原因のことがあります

見分け方:壊れる場所が毎回違う、左右どちらかに偏っている

⑤ 頬の内側や舌にあとがある

どこを見るか:頬の内側に白い線、舌のふちに歯の形のくぼみ

何を意味するか:歯に強く押し当てられている証拠です

気づきやすさ:鏡で口を大きく開ければ見えます。いちばん手軽に確かめられる項目です

当てはまるものがあっても、心配しすぎる必要はありません。分かっていれば、それに合わせて設計できます。問題なのは、気づかないまま普通の設計で治してしまうことです。

歯ぎしりがある方のインプラントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

力が強い方の設計で、変える5つのこと

力が強いと分かっている場合、設計そのものを変えます。何をどう変えるのか、5つ書きます。

① 材料を変える

どう変えるか:見た目を優先する部分と、強度を優先する部分を分けます。奥歯には割れにくい材料を選びます

トレードオフ:強い材料は、噛み合う相手の歯を削ることがあります。どちらにも一長一短があります

当院の考え方:前歯は透明感、奥歯は強度。境目の歯をどちらにするかは、力の強さで決めます

② 力を分散させる

どう変えるか:1本で受けさせず、何本かをつないで力を分けます。インプラントの本数を増やすこともあります

なぜ効くか:1点に集中する力が減ります

引き受けること:つなぐと、清掃が少し難しくなります。歯間ブラシの使い方をお伝えします

③ 当たり方を設計し直す

どう変えるか:あごを横に動かしたときに、どの歯が当たるかを決めます。奥歯に横向きの力がかからないようにします

なぜ大事か:縦の力より、横の力のほうが歯を壊します。横に動かしたときの当たりを整えるだけで、壊れ方が変わります

確認の場:仮歯の期間に、実際に動かしていただいて確かめます

④ ナイトガードを前提に組む

どう変えるか:完成後にナイトガードを使う前提で、形と高さを決めます

正直なところ:使っていただけないと効果はありません。だからこそ、違和感の少ないものを作ります。作る時期は、仮歯の段階のことも、完成後のこともあります

費用と手入れ:作り替えが必要になる消耗品です。年に1度は点検します

⑤ 壊れる場所をあらかじめ決めておく

どういう考え方か:力は必ずどこかにかかります。壊れるなら、直しやすいところで壊れてほしいという設計です

具体的には:インプラント本体ではなく上の被せ物側で、根が割れるより被せ物が欠ける側で受け止める

意味:壊れないことより、壊れたときに小さく済むことを狙います

⑤は聞き慣れないかもしれませんが、力の強い方の設計では大事な考え方です。「絶対に壊れません」という説明より、こちらのほうが現実的です。

被せ物が割れる背景については、以下の記事もご参照ください。

当院でしていること|名古屋の臨床から

当院で、力の強い方に対してしていることを書きます。

初診で必ず確認します

  • 歯のすり減り方(写真とスキャンで記録)
  • 骨隆起の有無
  • 頬の内側と舌のあと
  • 朝のあごの状態、家族から指摘されたことがあるか
  • 過去に何を、何回壊したか

とくに「過去に何を壊してきたか」は、いちばん確かな情報です。同じことが繰り返される可能性が高いためです。

仮歯の期間を長めに取ります

力の強い方には、仮歯の期間そのものが試験になります。仮歯が欠ける、外れる、すり減る。ここで起きたことは、最終的な歯でも起こりえます。

仮歯で問題が出たら、設計を変えてから本番に進みます。ここを急ぐと、高い材料で同じことを繰り返します。

ナイトガードを、完成前に作ることがあります

力が強い方には、完成してから「使ってください」とお渡しするのではなく、仮歯の段階から使っていただくことがあります。慣れるまでの期間を、仮歯のうちに済ませておけるためです。

ただし、全員にそうするわけではありません。力の強さ、仮歯の期間の長さ、生活の都合によって、完成後にお作りすることもあります。どちらにするかは、その方の状態を見て決めます。

正直にお伝えしていること

力の強い方は、そうでない方より作り直しの可能性が高くなります。これは技術で完全になくせるものではありません。

ですので、保証の範囲と、壊れた場合にどこまで直せるかを、始める前に書面でお渡しします。「壊れません」とは申し上げません。

名古屋・伏見駅から徒歩2分の当院は完全予約制・半個室で、無料相談とZoom相談をご用意しています。治療を受けることを前提にしないセカンドオピニオン外来(5,500円・税込)もあります。

まとめ|壊れても小さく済む設計へ|よくあるご質問

要点は3つです。

第一に、寝ている間の力は意識で止められません。「気をつけます」では解決しないので、力がかかる前提で設計します。

第二に、自分で確かめられる手がかりがあります。下の前歯の先が一直線、下あご内側の骨の盛り上がり、朝のあごのだるさ、頬の内側の白い線。鏡で見られます。

第三に、狙うのは「壊れないこと」ではなく「壊れても小さく済むこと」です。力は必ずどこかにかかります。直しやすいところで受け止める設計にします。

名古屋・伏見駅から徒歩2分の当院は完全予約制・半個室で、無料相談とZoom相談をご用意しています。治療を受けることを前提にしないセカンドオピニオン外来(5,500円・税込)もあります。

噛み合わせの高さを変える場合の話は、以下の記事にまとめています。

入れたあとの点検については、以下の記事をご覧ください。

よくあるご質問

Q1. 歯ぎしりを治すことはできますか。
止める方法は、今のところ確実なものがありません。ですので、力を受け止める側を設計します。ナイトガードは止めるためではなく、力を逃がすための道具です。

Q2. 音がしないので、歯ぎしりはないと思います。
音の出ない食いしばりのほうが多いです。下の前歯の先が一直線になっている、頬の内側に白い線がある、下あごの内側に骨の盛り上がりがある。こうした痕跡で判断します。

Q3. 力が強いと、インプラントはできませんか。
できます。ただし本数を増やす、つなぐ、上に付ける被せ物の材料を変えるといった設計の変更が入ります。何もしないまま普通に入れると、ネジが緩んだり被せ物が欠けたりしやすくなります。

Q4. ナイトガードは一生使うのですか。
力が続く限りは使っていただきます。消耗品なので、すり減れば作り替えます。年に1度は点検します。

Q5. 力が強いと、費用は高くなりますか。
設計が変わる分、変わることがあります。本数を増やす、材料を変える、ナイトガードを追加する。その差額は、最初の見積もりに入れてお出しします。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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