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一部の歯だけ強く当たる状態を放置すると

名古屋で噛み合わせの一部が当たると感じたとき、まず知っておきたいこと

一部の歯だけ強く当たっていても、そのまま歯が抜けていくわけではありません。名古屋で噛み合わせの一部だけが当たる感じにお困りの方に、先にお伝えしたいのはこの点です。強く当たること自体が歯周病を起こす原因ではない、というのが現在の整理です。ただし、すでに炎症のある歯では話が変わります。この記事では、何が報告されていて何が言えないのかを分けて示し、削って合わせる判断をどう考えるかを整理します。

この記事でわかること

  • 強く当たることと歯周病の関係について、現在どこまで言えるのかが分かります
  • 干渉のある歯と、そうでない歯にかかる力の差が数値で分かります
  • 症状が出る人と出ない人がいる理由が分かります
  • 削って合わせるだけでは足りない場合の見分け方が分かります

「強く当たる=歯が抜ける」ではありません

一部の歯だけ強く当たる状態を放置するとどうなるか。この問いに対する現在の答えは、思われているほど極端ではありません。

da Silva Guimarãesら(2025年、Jaw Functional Orthopedics and Craniofacial Growth)のレビューは、咬合性外傷について整理しています。咬合性外傷とは、噛む力によって歯を支える組織が傷む状態のことです。

このレビューの結論は明快です。咬合性外傷は歯周病を単独で引き起こす原因ではなく、すでに傷んでいる組織の破壊を増悪させる因子である、としています。

つまり、歯ぐきが健康な状態で一部の歯が強く当たっていても、それだけで歯周病が始まるわけではありません。ここは安心していただいてよい部分です。

ただし、炎症がある歯では話が変わります

同じレビューは、動物実験の結果も紹介しています。マウスを使った研究では、咬合力によって骨を溶かす働きに関わる物質の発現が増え、骨の吸収が加速したと報告されています。

ヒトの研究でも、Campinoら(2021年)の後ろ向き調査で、歯周炎のある167名と対照205名を比べ、咬合性外傷と歯周炎のあいだに強い関連が認められています。

同じレビューでは、Tominaら(2021年)の報告も紹介されています。20歳から35歳の若い方を対象に、あごを横や前に動かしたときの干渉と、限られた範囲の歯ぐきの下がりのあいだに、統計的に有意な関連が認められたというものです。

ここから読み取れるのは、炎症と力が重なったときに影響が出やすい、という構図です。力だけでも、炎症だけでもない組み合わせの問題ということになります。

ですから確認すべき順序は決まってきます。まず歯ぐきの状態を確かめ、そのうえで力の当たり方を見る、という順です。逆にすると、炎症が落ち着いたときに歯の位置が変わり、せっかく合わせた当たり方がずれてしまいます。

高さ全体が下がっている場合があります

一部の歯だけ強く当たる状態には、もうひとつの背景があります。噛み合わせの高さ全体が下がり、力の配分が崩れた結果として、特定の歯に集中している場合です。

この場合、当たっている歯を削っても、しばらくすると別の歯が同じように当たり始めます。原因が1本の高さではなく、全体の配置にあるためです。

噛み合わせの高さが下がるとどうなるかについては、別の記事に整理してあります。

高さという枠組みから先に理解したい方は、そちらを読むと本記事の話がつながります。

歯がすり減って短くなってきた場合の治療も、同じ枠組みの中にあります。

すり減りが進んでいる自覚がある方は、あわせて読むと判断材料が増えます。

強く当たる歯に何が起きているのか、報告されている数値で見ます

干渉のある歯には、3倍近い力がかかっていました

「強く当たる」という感覚は主観的なものですが、これを測定した研究があります。

Nicolaeら(2025年、Bioengineering)は、52名を対象に1,423本の歯を調べた横断研究を報告しています。平均年齢は31.35歳です。

内訳は、干渉のある歯が493本、その隣の歯が473本、反対側の同じ位置の歯が457本です。それぞれにかかる咬合の負荷を比べています。

結果は次のとおりでした。干渉のある歯の負荷の平均値は208、隣の歯は72、反対側の同じ歯は97です。統計的な差が認められています。

隣の歯や反対側の歯と比べて、干渉のある歯には2倍から3倍近い力がかかっていたことになります。同じ人の口の中で、これだけ差がついているという点が重要です。

同じ研究では、干渉のある歯のほうが、歯周ポケットが深く、歯ぐきの下がりが大きく、歯を支える骨の吸収が多く、歯根膜のすき間が広いことも報告されています。歯根膜とは、歯と骨のあいだにある薄い組織のことです。

ただし、これは横断研究です。干渉が先にあって歯周の変化が起きたのか、歯周の変化で歯が動いて干渉が生じたのかは、この研究からは決められません。

言えることと、言えないことを分けます

この分野は、断定的な説明が流通しやすい領域です。報告されている範囲を、正直に並べておきます。

論点 報告されていること まだ言えないこと
歯周病との関係 既にある炎症の破壊を増悪させる因子とされる 単独で歯周病を起こす原因である
歯周組織の状態 干渉歯はポケット・退縮・骨吸収・歯根膜のすき間が対照より大きい 干渉が先か、歯周の変化が先か
かかる力 干渉歯の負荷の平均値208、隣の歯72、反対側97 この数値が症状の発生を予測すること
筋の症状 習癖の多い群でのみ筋の痛みと頭痛が増えた 干渉があれば誰にでも症状が出ること
インプラント 動物では過大な負荷で骨の吸収。ヒトでは証拠が限定的 力の過負荷が周囲の炎症の主因であること
見極めの精度 咬合紙はデジタルより多く接触を検出する場合がある どれか1つの方法で正解が出ること

※スマートフォンでは表を横にスクロールできます

表の右の列を見ていただくと分かるとおり、断定できないことのほうが多いのが現状です。ですから当院では、一度の検査で結論を出さず、症状の変化とあわせて判断します。

症状が出る人と、出ない人がいます

同じように干渉があっても、困る人と困らない人がいます。これを実験で確かめた研究があります。

Michelottiら(2012年、Journal of Orofacial Pain)は、20名を対象に、干渉のない週、実験的に干渉を作った週、また取り除いた週の3週間を比べました。日常的に食いしばりなどの習癖が多い10名と、少ない10名に分けています。

干渉を入れたとき、咀嚼筋の痛みが増えたのは習癖の多い群だけでした。頭痛が増えたのも同じ群だけです。習癖の少ない群では、これらの増加は認められませんでした。

同じ研究では、噛み合わせの不快感そのものも、習癖の多い群のほうが強く訴えられていました。感じ方の差が、そのまま症状の差につながっている可能性があります。

もうひとつ興味深い結果があります。干渉を入れると、食事以外の場面で歯が触れ合う時間が減ったのです。習癖の多い群で55.3%から31.1%、少ない群で31.8%から14.0%への減少でした。

つまり体は、当たる場所を避けようとする反応を先に示します。片側でしか噛まなくなった、という自覚がある方は、この適応が起きている可能性があります。

歯ぎしりや食いしばりが背景にある場合の考え方は、別の記事で扱っています。

習癖に心当たりのある方は、そちらもあわせてお読みください。

削って合わせれば解決、とは限らない理由

咬合調整が効かなかった、という報告もあります

高いところを削れば楽になる、という期待はよくうかがいます。ただし、そう単純ではない報告もあります。

Viannaら(2020年、Brazilian Dental Journal)は、78名を対象としたランダム化比較試験を行っています。根管治療を受けた方を、咬合調整を加える群と加えない群に分けました。

術後の痛みが出た割合は、調整した群で71.1%、しなかった群で67.5%でした。6時間後、24時間後、72時間後のいずれの時点でも、統計的な差は認められていません。

著者らの結論は、咬合調整は術後の痛みの発生率に影響しなかった、というものです。この結果は咬合調整に意味がないことを示すものではありません。ただし、削れば痛みが引くとは限らない場面があることは示しています。

痛みの原因が力ではなく炎症にある場合、削っても届かないということです。何が痛みを起こしているのかを分けて考える必要があります。噛むと痛いという訴えは同じでも、力の当たりによるものか、歯の内部の炎症によるものかで対応が変わります。

そもそも「どこが強く当たっているか」を見るのが難しいのです

削る判断の前提になるのは、どこが強く当たっているかの見極めです。ここにも限界があります。

Manziucら(2024年、Journal of Clinical Medicine)は、25名を対象に、厚さ40μmの咬合紙とデジタル機器を比べています。検者間の一致度は咬合紙が最も高く、デジタル機器も0.9を超えていました。

一方で接触点の検出数は、咬合紙のほうが多いという結果でした。特に奥歯で顕著で、歯1本あたり平均0.5から1点ほどの差があります。

著者らは重要な指摘をしています。咬合接触の記録に確立された基準は存在しない、というものです。どの方法にも見え方の癖があるということになります。

だから当院では、咬合紙の印だけで削る場所を決めません。印の濃さと力の強さは一致しないためです。何をどう調べるかは別の記事にまとめました。

検査の内容を先に知りたい方はそちらをご覧ください。

削る前に、足して確かめる方法があります

削合は元に戻せません。ですから、削る前に確かめる手立てを持っておくことが大事になります。

高さを一時的に足す装置を使って反応を見る方法があります。この装置を何のために使うのかは、別の記事で説明しています。

装置を勧められた理由が分からないという方は、そちらが参考になります。

顎関節に不安のある方は、削る判断の前に確認しておくことがあります。

あごの音や開けにくさがある方は、先に読んでおくと相談が進めやすくなります。

相談の前に、ご自身で整理しておけること

  • ☑ いつから当たると感じるようになったか。治療の直後からなのか、少しずつなのかで見立てが変わります。
  • ☑ どの歯が当たる感じか。場所が特定できなくても構いません。上か下か、右か左かだけでも手がかりになります。
  • ☑ 噛み方が変わっていないか。片側でばかり噛むようになっていれば、避ける反応が起きている可能性があります。
  • ☑ 朝のあごと頭の状態。起きたときのだるさや張りは、力の関与を考える材料になります。
  • ☑ 歯ぐきから血が出ることがあるか。炎症があるかどうかで、力の扱い方の優先順位が変わります。

私が、強く当たる歯をどう診て、どこまで削るか

削る場所を決める前に、炎症を落ち着かせます

私は米国インディアナ大学大学院で補綴学を3年間専攻し、MSDとCertificate in Prosthodonticsを取得しました。そこで受けた治療計画の授業は、個々の歯の治し方より、治療の順序をどう決めるかに大半の時間が割かれていました。

強く当たる歯の扱いは、まさにこの順序の問題です。歯ぐきに炎症が残っている状態で削って合わせると、炎症が落ち着いたときに歯の位置が変わり、当たり方も変わります。

先ほどのレビューが述べているとおり、咬合調整は細菌が起こす炎症の治療の代わりにはなりません。ですから私は、炎症を落ち着かせてから力の話に移ります。

順序を逆にすると、削った分だけ後で不足が出ます。削合は足し戻せないため、この順序は動かしません。

患者が「避けている」ことを、先に確認します

診察で私が最初に見るのは、当たっている場所そのものではありません。その方がどう噛んでいるか、です。

Michelotti 2012 が示したとおり、干渉が入ると人は食事以外の場面で歯を触れ合わせなくなります。避ける反応が先に起きるということです。

ですから「最近どちら側で噛んでいますか」と毎回うかがいます。片側に偏っている場合、当たっている歯はその反対側にあることが多いためです。

指導医からは、1本の歯を診る前に顔と噛み合わせの全体を診ろ、と繰り返し言われました。当たっている場所だけを探しに行くと、その方が何を避けているかが見えません。

どこまで削り、どこから設計し直すかの線引き

削って合わせるだけで足りるのは、局所的な高さのずれがある場合です。被せ物を入れた直後の当たりなどが、これに当たります。

一方、高さ全体が下がって力の配分が崩れている場合は、削っても別の場所が当たり始めます。この見分けを、私は仮の材料で高さを足して確かめます。

高さを足して楽になるなら、原因は高さ側にあります。変わらないなら、局所の形の問題として扱います。この確認をしてから削る場所を決めます。

米国では、仮歯は仮の歯ではなく完成形のテスト走行だと教わりました。削る判断も同じで、いきなり本番をやらずに一度試す、という順序が身についています。

私自身、通常は歯科技工士に委ねられる製作の工程まで自分の手で行ってきました。設計から製作まで一人で仕上げた入れ歯は100床近くになります。自分で作ると、図面の上では均等に当たる設計が、口の中では一点に集中する場所が見えます。

この経験から学んだのは、当たりの強さは形だけで決まらないということです。同じ形でも、力の入れ方や噛む方向が違えば、集中する場所が変わります。ですから記録は一度では取りません。日を変えて確かめ、同じ場所が出るかを見ます。

もうひとつ、削る量には上限を設けます。歯を守っているのは表面のかたい層ですので、そこを抜けてしまう深さまでは削りません。上限に達しても当たりが強いままなら、それは削る問題ではないという判断になります。

前歯の重なりが深い方は、この線引きが変わります。詳しくは別の記事で扱っています。

前歯が深く重なっている自覚のある方は、そちらを先に読むと設計の違いが分かります。

まとめ|名古屋で噛み合わせの一部が当たる感じが続くとき

一部の歯だけ強く当たっていても、それだけで歯周病が始まるわけではありません。ただし炎症のある歯では、力が破壊を進める因子になると報告されています。干渉のある歯には隣の歯の3倍近い負荷がかかっていたという測定もあります。

名古屋で噛み合わせの一部が当たると感じているなら、整理していただきたいのは3つです。いつからか、どちら側で噛んでいるか、歯ぐきから血が出ることがあるか。この3つが分かると、削る前に何を確かめるべきかが決まります。

噛み合わせを組み直す治療の全体像は、まとめ役の記事に整理してあります。

この記事は当たり方の偏りに絞っていますので、治療全般から入りたい方はそちらが入口です。

治療後の安定の話は別記事にあります。

他院の説明で迷う方には別の見方を聞く選択肢もあります。

まずは無料相談で構いません。削るかどうかを決めてから来ていただく必要はありません。

よくあるご質問

Q1. 何年も気になっていましたが、放置してきました。手遅れでしょうか。

手遅れという状態ではありません。強く当たること自体が歯周病を起こす原因ではないと整理されていますので、年数が経ったからといって何かが決定的に進むわけではありません。確かめるのは、歯ぐきの炎症の有無と、高さ全体が下がっていないかどうかです。名古屋市中区栄の当院は、カウンセリングルームが完全個室で、診療室は半個室です。完全予約制ですので、話すだけの相談から始めていただけます。Zoomでの相談にも対応しています。

Q2. 当たっているところを削ってもらえば済みますか。

済む場合と済まない場合があります。被せ物を入れた直後の当たりのような局所的なずれであれば、調整で改善することが多くあります。一方、噛み合わせの高さ全体が下がっている場合は、削っても別の歯が当たり始めます。削った分は戻せませんので、仮の材料で高さを足して反応を見てから、削る場所を決めます。この確認に1回から2回の来院をいただきます。

Q3. 当たっているのに、痛みも何もありません。それでも治したほうがよいですか。

困っていないなら、すぐ治す必要はありません。実験的に干渉を作った研究でも、筋の痛みや頭痛が増えたのは食いしばりなどの習癖が多い群だけで、少ない群では増えていませんでした。反応には個人差があります。ただし歯ぐきに炎症がある場合や、支えている骨が減っている場合は、力の影響を受けやすくなります。定期的に確認し、変化がなければ様子を見る選択もあります。

Q4. 前の歯科医院で「気のせい」と言われました。もう一度見てもらえますか。

見せていただけます。噛み合わせの当たり方は、記録の仕方によって見え方が変わります。25名を対象とした比較研究では、咬合紙とデジタル機器で検出される接触点の数が違い、確立された基準は存在しないと報告されています。見え方が食い違うこと自体は起こりえます。当院では咬合紙とデジタルの記録、症状の変化を突き合わせます。セカンドオピニオン外来は5,500円(税込)でお受けしています。

名古屋市中区栄、地下鉄「伏見駅」7番出口から徒歩2分がEden Dental Officeです。CTと口腔内スキャナーを備え、完全予約制で診療しています。保険と自費のどちらにも対応しています。

※お口の状態には個人差があり、適した治療や結果は人によって異なります。検査・診断のうえで、費用・期間・主なリスクをまとめてご説明し、書面でお渡ししたうえで進めます。削って調整した部分は元に戻せませんので、削る範囲と理由を事前にお伝えしたうえで進めます。

監修者情報

EDEN DENTAL OFFICE (エデン デンタル オフィス)

院長 村井亮介

名古屋中区の伏見駅から徒歩2分の「エデンデンタルオフィス」では、米国補綴専門医の資格を持つ院長が、10年、20年先を見据えた精密な治療を提供します。歯科医院特有の緊張感を和らげるため、家族のように寄り添う丁寧な対話を重視。患者様の背景や「どうなりたいか」という想いを深く汲み取り、できる限りの最高の治療クオリティーを常に心掛けております。

経歴

  • 愛知学院大学歯学部歯学科卒業
  • 大手歯科医療法人勤務
  • インディアナ大学歯学部補綴科卒業

資格

  • 米国補綴専門医

所属学会

  • 日本補綴歯科学会
  • ACP american academy of prosthodontics member
  • ITI international team
    for implantology 会員
  • AO academy of
    osseointegration 会員

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